北海道釧路市にある釧路孝仁会記念病院は2017年12月に開院10年を迎えました。同院は開院から脳卒中や心筋梗塞などの心血管系や、脊椎脊髄の病気に対する救急患者さんの受け入れを強化しています。また、同院では「救急患者さんを断らない」ことをスタッフ一同が意識し、実行を心がけています。同院が尽力している救急医療の受け入れはどのような取り組みなのでしょうか。また、地域完結型医療の提供を目指して行っている取り組みについて、社会医療法人孝仁会 釧路孝仁会記念病院の理事長である齋藤孝次先生にお話を伺いました。
当院の経営法人である、社会医療法人孝仁会は1989年に釧路脳神経外科病院を開院し、地域の脳神経外科診療を開始したことがはじまりです。その後、2007年12月に当院を開院し、地域や道東の脳外科や脳卒中を中心とした急性期医療の提供に尽力してきました。
また、同法人が経営している回復期医療の提供やリハビリテーションの提供をしている病院や施設と連携し、地域のみなさまに切れ目のない医療を提供することを目指しています。
当院のある釧根地区で医療が完結できるように、診療技術や設備を充実させ、地域のみなさまの医療ニーズに応えていきたいと思います。
当院では地域完結型の医療を提供するために同法人の施設や地域の病院との連携を行っています。たとえば、地域の病院で救急患者さんの受け入れをした際に、脳卒中や心筋梗塞などの症状や検査結果だった場合は遠隔医療を行っています。遠隔医療を行うときには、CT画像を当院に伝送してもらいます。伝送していただいた画像を参考にして、当院に常駐している医師が診断、治療のアドバイスなどをします。
そのため、当院では脳卒中ホットラインや心血管ホットラインを配置、整備しています。
当院では地域完結型医療の提供をするために、検査に使う機器や手術に使用する機器を多く取り入れるようにしています。地域完結型の医療を目指すためには、釧根地区で都市部と変わらない医療の提供をしていかなくてはならないと考えています。
PET検査では中枢神経の病気や心臓の病気、がんの健診や診療に活用しています。PET検査でがんがみつかった際には、全身の状態をみて今後の治療の方針を決めています。がんの治療後も、経過観察でPET検査を活用しています。
また、PET検査はがん健診で行っています。がん健診で行うことで、早期発見、早期治療に役立てています。
当院では自由診療で再生医療の提供を行っています。再生医療の提供は厚生労働省に提出し、受理された治療計画に従って行っています。
再生医療とは、病気やけがなどで臓器や細胞組織の壊れてしまった働きを、再生させる細胞または組織を、体外で培養、加工し、体に移植します。
当院で行っている再生医療は、患者さんの皮下脂肪にある幹細胞*を使います。幹細胞を増やし、注射や局所投与で患者さんの体内に戻します。
2018年2月現在で対象となる病気は、変形性膝関節症、脳梗塞や脊髄損傷の後遺症などです。
※診療にかかる費用は釧路孝仁会記念病院へお問い合わせください
幹細胞…複製能力とさまざまな細胞に分化する能力がある細胞
当院では、透析センターを設置し、入院患者さんや旅行で釧路、根室地域を訪れた方々に透析治療を提供しています。同センターでは、循環器内科と心臓血管外科の医師が担当しています。透析治療にともない、心臓や脳血管の病気、骨粗しょう症などの骨の病気などの合併症を併発することがあります。同センターは、担当する2科がほかの診療科とも連携を取り、急な変化にも迅速に対応できるようにしています。また、合併症が併発しないように、生活指導やフットケア、シャント管理、食事指導などを行い、患者さんに安心して透析治療を受けていただけるように取り組んでいます。
当院では、救急患者さんの受け入れを積極的に行い、断らない医療の実現を目指しています。救急患者さんはさまざまな症状で搬送されます。当院に専門の診療科がない場合でも救急受け入れをしています。その後、当院で診察をしたうえで治療を行える病院にご紹介をしています。
当院のスタッフは「救急患者さんを断らない」や「当院に要請があったら必ず受け入れる」ことを意識して日々の診療にあたっています。
同法人では、1996年に星が浦病院の開設した際にヘリポートやヘリの格納庫を併設しました。その後ドクターヘリ運行の誘致活動を行い、2009年に市立釧路総合病院と道東ドクターヘリを立ち上げました。
ドクターヘリの運行は同法人開設者の夢のひとつでもありました。ドクターヘリの運行を開始したことで地域や、道東での救急患者さんの搬送に貢献できているのではないかと思っています。
当院では救急患者さんの受け入れを断らないために脳卒中診療部に所属する医師が365日24時間常駐しています。また、循環器の医師も水曜日と金曜日の夜間を除き院内に常駐しています。医師が常駐することで夜間の救急患者さんの対応や、診療を行えることができます。
「救急患者さんを断らない」ことを意識し、実現を目指しているからです。
また2018年には、脳神経外科の医師が365日24時間対応する心疾患ホットラインの体制づくりを行っていきたいと考えています。さらに、心血管ホットラインも循環器内科と心臓血管外科が協力して対応ができる体制づくりを検討しています。
同法人では、後進の看護師の育成に尽力するために、2013年4月に釧路孝仁会看護専門学校を開校いたしました。当院の位置する釧路、根室地域は少子高齢化が進み、病院では看護師不足が問題になっています。そのため、看護師を育成することは、将来の地域医療に貢献してくれると思っています。
当院は、釧路、根室地域で医療が完結できるように最新の医療機器を備えるようにしています。最新の医療機器を使用した手術や検査などを行うことで、若手医師には多くの経験や知識、技術を身に着けてほしいと思います。
また、若手医師には、海外発表や研究などさまざまなことにチャレンジして、経験を積んでほしいと考えています。経験を積むことで地域医療への貢献や、社会貢献につながると考えています。
急性期医療から在宅医療まで切れ目のない医療の提供に貢献し、地域完結型医療の実現を目指します。そのために、同法人が経営している病院や介護施設、地域の先生方とも連携を取っていくことが重要になります。当院では、患者さんやそのご家族、地域のみなさまには「釧路孝仁会記念病院に受診してよかった」と思っていただけるようなサービスや医療の提供を心がけています。当院で専門の医師が少ない場合には、近隣や道内の専門の医師がいる病院へ紹介しています。
また、脳卒中や心筋梗塞、脊椎脊髄の病気に対しての24時間365日受け入れをさらに強化し、救急患者さんを断らない医療の実現を行っていきたいと思います。
社会医療法人孝仁会 理事長、社会福祉法人孝仁会 理事長、医療法人 礼風会 理事長、医療法人社団 敬愛会 理事長、医療法人 聖愛会 理事長、医療法人社団 南1条セントラルクリニック 理事長、医療法人社団 康仁会 理事、医療法人 修誠会 理事、徳島大学 医学部 臨床教授、学校法人青森山田学園 理事、評議員、北海道病院協会 常務理事、日本臨床脳神経外科協会 理事
社会医療法人孝仁会 理事長、社会福祉法人孝仁会 理事長、医療法人 礼風会 理事長、医療法人社団 敬愛会 理事長、医療法人 聖愛会 理事長、医療法人社団 南1条セントラルクリニック 理事長、医療法人社団 康仁会 理事、医療法人 修誠会 理事、徳島大学 医学部 臨床教授、学校法人青森山田学園 理事、評議員、北海道病院協会 常務理事、日本臨床脳神経外科協会 理事
日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医日本脳卒中学会 脳卒中専門医・脳卒中指導医日本脊椎脊髄病学会 脊椎脊髄外科専門医
1972年札幌医科大学卒業後、同大学脳神経外科関連施設に勤務。
1989年釧路脳神経外科病院を開院し、院長として病院経営に携わる。
救急医療事業への貢献が評価され2009年7月より社会医療法人として認定、現在は中核となる釧路孝仁会記念病院、札幌孝仁会記念病院をはじめ北海道内に5病院8診療所を運営。
急性期の入院医療から三大疾病(がん・脳卒中・心臓病)の予防事業、幹細胞による治療である再生医療を提供。今後も地域医療への貢献と患者様に愛される病院施設づくりを目指す。
齋藤 孝次 先生の所属医療機関
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。