院長インタビュー

地域のがん予防に注力する国立病院機構函館病院

地域のがん予防に注力する国立病院機構函館病院
加藤 元嗣 先生

国立病院機構函館病院 病院長

加藤 元嗣 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年03月13日です。

北海道函館市にある国立病院機構函館病院は、地域のみなさまのがん予防に貢献するべくさまざまな取り組みを行っています。がん検診や、企業や大学などに訪問し、がんのことを解説する講座などを行い、若年層の方々を中心にがんについての啓発に尽力しています。今回は、院内でミニコンサートを開くなど、地域のみなさまの憩いの場にもなっている国立病院機構函館病院 病院長の加藤元嗣(かとうもとつぐ)先生に同院で行っている取り組みについてお話を伺いました。

1978年4月に旧国立函館病院と旧国立療養所が統合し、国立函館病院が発足されました。発足以降、2003年6月まで地域の病院として診療を行ってきました。2003年7月に、国立函館病院と北海道第一病院が統合し、現在の函館病院となりました。

2018年2月現在、当院は病床数305床を保有しています。そのうち、一般病床が300床あります。この300床のうち6床がICUの病床になっており、残りの5床は結核の病床となっています。

当院は内科や外科のほかに、放射線科などの診療科があります。以下の診療科で地域の診療にあたっています。

<函館病院の診療科>

  • 呼吸器科
  • 消化器科
  • 循環器科
  • 外科
  • 心臓血管外科
  • 放射線科
  • 泌尿器科
  • 皮膚科

などの診療科です。

国立病院機構函館病院より画像提供

当院は2016年に北海道がん診療連携拠点病院に指定されました。函館市だけでなく、診療圏である渡島、檜山管内のみなさまのがん診療やがん検診の発展に貢献できるように努めています。

また、地域のがん予防に貢献するために当院ではがん予防センターを設置いたしました。以下では、当院のがん予防センターについて解説いたします。

当院では早期発見・早期治療の二次予防だけではなく、がんの一次予防に注力しています。がんの一次予防とは、「がんにならないように予防する」ことを指します。たとえば、胃がんの原因といわれているピロリ菌の除菌を行うことで、胃がんになるリスクを下げることができるとされています。

当院では、がんの二次予防として検診などを行っています。検診を通じて、がんの早期発見に貢献できればよいと考えています。

<国立病院機構函館病院で行っている検診>

これまでピロリ菌を調べたことがない希望者に対して、ピロリ菌に感染しているかを調べるため、迅速の尿検査を行っています。さらに、ピロリ菌専門外来を設置して、二回の除菌治療でもピロリ菌除菌ができなかった方、ペニシリンアレルギーの方など、保険適用外のピロリ菌除菌を検討している方々に対して、自費診療で対応しています。函館市では希望する中学生に対してピロリ菌検査を行っていますが、ピロリ菌陽性の中高生に対しても、ピロリ菌の除菌を行っています。

ピロリ菌検診と大腸がん検診は、検査後すぐに検査結果を患者さんにお渡ししています。また、大腸がん検診では、申し込み者に採便容器を郵送しており、患者さんの便を採便容器に入れて、本人ではなくご家族が持参することでも検診が可能です。便潜血陽性者には、その場で内視鏡検査の予約ができるようにしており、内視鏡検査でポリープ等が発見された場合には、すべてのポリープを内視鏡的に切除をしてクリーンコロン(ポリープのない大腸)にすることを心がけています。

当院では、平日の診療時間に乳がん子宮がんの検診を実施していますが、平日は働いており、検診に行くことが難しい女性の方々でも検診が受けられるように、さまざまな取り組みを行っています。

たとえば、毎月第2火曜日に朝7時から早朝マンモグラフィー、第2木曜日は夜19時までのイブニングマンモグラフィーで乳がん検診を実施して、年間5回は土曜日と日曜日の午前中に乳がん検診を実施しています。

働いている女性の方々に子宮がんや乳がんの検診を気軽に行ってほしいと思っています。

がん予防検査の充実で、地域のみなさまのがん予防に貢献できればよいと考えています。そのために、当院では函館市だけではなく周辺地域にも出前講座と出前検診を行っています。出前講座では、当院の医師が各地域や企業や大学などに訪問し、がんに関するさまざまなことを解説し、予防を訴えています。

また、出前講座のなかで出前検診を行うこともあります。講座終了後に検診の申し込みを受けて、後日、尿などを入れた容器を回収に行き、受診した方へのご自宅に結果を郵送しています。

出前講座を受けた方のご家族の尿などを提出していただくことで、家族の方全員の検査も可能です。

当院の職員全員を対象としてピロリ菌検診を行いました。また、職員の家族の方にも、ピロリ菌検診をを広げています。現在は新規の職員に対してピロリ検診を継続しています。

当院では、月に1回院内の栄養士が中心となって手作りケーキやコーヒーなどの軽食を外来患者さんや入院患者さん、またそのご家族のみなさまに提供している、喫茶りぼんを開催しています。

国立病院機構函館病院より画像提供

楽器の演奏ができる医師や事務職員によるミニコンサートも開催しています。2018年1月に開催した際には、当院の医師2名がピアノとフルートを演奏いたしました。このミニコンサートは毎月第3火曜日に開催しています。

国立病院機構函館病院より画像提供

年1回、周辺住民の皆さんと健康を楽しく学んでもらうために、病院内を解放して、健康・栄養・薬などの相談、健康チェック、職業体験などのブースを作り、住民と当院職員の交流会を行っています。

地域のみなさまの健康維持のために、当院を活用していただけるような病院づくりを目指しています。病気での受診以外にも健康相談など、日常的になにか気になることがあったら来院していただければよいと思います。

また当院でも、函館市のみなさまの健康維持のためにがん予防検診の充実や、スタッフの教育などに注力していきたいと考えています。

当院のスタッフたちにも、楽しく仕事ができるように働く環境の改革や、アイデアを出してもらい、よりよい病院づくりに尽力してもらっています。私が、働くスタッフが楽しく仕事ができなければ、患者さんにもそのことが伝わってしまうと考えているからです。

また、患者さんにもご自身の健康を守ることを意識してほしいと考えています。そのために当院を活用していただければよいと思います。病気以外でも健康相談や、院内で行っているイベントなどがあります。

当院が函館市のみなさまのがん予防や健康維持に貢献できればよいと思います。

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