院長インタビュー

頭の病気なら“いつでも、誰でも、何でも”を理念に、信頼を積み上げる富士脳障害研究所附属病院

頭の病気なら“いつでも、誰でも、何でも”を理念に、信頼を積み上げる富士脳障害研究所附属病院
塩川 芳昭 先生

富士脳障害研究所附属病院 院長、杏林大学 名誉教授

塩川 芳昭 先生

目次
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富士脳障害研究所附属病院は、脳卒中をはじめ、頭部外傷脳腫瘍(のうしゅよう)、脊椎疾患など脳神経外科の診療を専門とする病院です。開院当時から“頭のことなら、いつでも、誰でも、何でも”という理念を掲げ、地域での信頼を積み重ねてきました。24時間365日体制で、この分野において高度な医療を提供し続ける同院の特徴や思いについて、院長の塩川 芳昭(しおかわ よしあき)先生に伺いました。

外観
病院外観(富士脳障害研究所附属病院ご提供)

当院は、1980(昭和55)年に97床の病院として開設しました。富士宮市出身で日本の脳神経外科の父と呼ばれる佐野 圭司先生(元東京大学脳神経外科学教授)が、この地域に脳神経外科の病院が少ないことを憂慮し、立ち上げられたのが始まりです。

新しい病院は地域に馴染むまでが大変であり、開設当時は当院もなかなか地域の方からの信頼を得るのが難しい状況がありました。しかし、 頭の病気であれば“いつでも、誰でも、何でも”と掲げた理念が少しずつ浸透し、徐々に信頼の獲得へつながっていきました。

当院の位置する富士宮市とお隣の富士市とで構成される富士医療圏には、三次救急医療機関がなく、急性期に対応する医療機関が今でも十分とはいえないのが現状です。一方でこの地域は高齢化も進んでおり、脳卒中などの病気は今後も増加していくことが予想されます。こうした状況のなかで、当院は地域の脳神経疾野の医療を支えるため、日々尽力しています。

当院は脳神経外科を専門とする病院のため、脳梗塞(のうこうそく)や頭部外傷など、治療に緊急を要する病気を診ることが少なくありません。そのため当院は、頭の病気は“断らない”ことをモットーに、開院以来の40数年にわたり24時間365日の救急体制をとってきました。

“24時間365日”という体制をオープンに掲げることは、相当な覚悟と決意が必要です。しかしながら、目の前の忙しさから患者さんを断ることは患者さんにとって不幸であり、医療人としてもやり切れない思いにとらわれるでしょう。

そういった覚悟のもとで当院は、“いつでも、誰でも、なんでも”の理念を胸に、積極的な救急医療に取り組んでいいます。

当院は、脳神経外科領域の中でも特に脳卒中や脳梗塞など脳血管障害を多く治療しています。また、水頭症や良性腫瘍、外傷にも対応しており、主に手術と血管内治療で患者さんの状態に合わせた治療アプローチを選択して行います。

一方で、専門性の高い病院であるがゆえに、合併症を抱えている患者さんでは当院で診療が難しい場合もあります。そうした場合には、他院へご紹介するなど他の病院との間でしっかり連携を取って診療を行っています。当院にはヘリポート施設を設置しているため、陸路だけでなく空路での搬送も可能です。

がん治療については、手術のほかに放射線治療や化学療法を行うこともあるため、より専門的な治療が可能な静岡がんセンターなどへご紹介しています。こういった協力体制の構築は、効率的な役割分担がこの地域で機能している証でもあると考えています。

当院では、医師をはじめ看護師など医療従事者の短期研修の受け入れも行っています。また、脳神経に関する病気や外傷は時間との戦いであり、搬送中の処置も予後に大きくかかわるため、救急隊員への研修も行っています。

1人でも多くの患者さんの命を救うために、当院の専門性を教育という面でも生かし、地域医療に貢献していければと考えています。

当院の特徴の1つとして“脳ドック”の実施が挙げられます。当院は、国内でもかなり早期から脳ドックを始めており、脳ドック学会認定施設としても認定されています。くも膜下出血など脳ドックを受けることで予防が可能な病気もあるので、ぜひ定期的に受けていただければと思います。

当院は、治療だけでなく患者さんの社会復帰を早期に実現するためのリハビリテーション、予防として早期発見を目指す脳ドックの取り組みなど、予防から社会復帰まで一貫した医療を提供しています。

これからも、頭の病気なら“いつでも、誰でも、何でも”をモットーに、脳神経外科を専門とする病院として、救急診療を含め地域医療への貢献に尽力してまいります。

*提供している医療の内容等についての情報は全て、2025年7月時点のものです。

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