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クリスマス、帰省、初詣…コロナ感染を防ぎながら年末年始の恒例行事を楽しむ方法

公開日

2020年12月18日

更新日

2020年12月18日

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2020年12月18日

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国際医療福祉大学救急医学 主任教授、国際医療福祉大学成田病院 救急科部長

志賀 隆 先生

この新型コロナウイルス感染症に関する記事の最終更新は2020年12月18日です。最新の情報については、厚生労働省などのホームページをご参照ください。

年末年始はクリスマスやお正月で、特別な人と過ごしたり、久しぶりに帰省したり、家族でゆっくり旅行をしたりと、楽しいことが目白押し、でした……今年のお正月までは。しかし、この年末からお正月にかけては、新型コロナ感染症のせいで「いつも通り」というわけにはいきそうにありません。今回は、コロナ感染を防ぎながら年末年始の行事を楽しむ方法を考えてみましょう。

クリスマス前の2週間は外食・飲酒をがまん

12月の重要な行事の1つにクリスマスのディナーがありますね。恋人や家族との楽しい時間ですが、いつも食事を共にしている家族はともかく、恋人とのディナーは互いに感染させるリスクもあり、今年は悩んでしまうところです。とはいえ、こうした大事な時間まで「自粛」してしまうと、人生は味気なくなってしまいます。

ではどうするか。完全ではなくとも、感染リスクを極力低くすることです。

まず考えていただきたいのは、大切な日に備えて10~14日間「友人・同僚との外食・飲酒をしない」ということです。「マスク会食」という方法も厚生労働省などが提案していますが、どうしても「アルコールが入る」「食べながら話が盛り上がる」とマスクを外してしまいがちです。大人数での食事や飲酒、会話や大きな発声、激しい呼吸が原因と考えられるクラスター事例は多く報告されています。

また、マスク無しの「スポーツジムでの運動」「屋内での合唱」も控えていただけたらと思います。通勤や職場でも、可能な限り不織布マスクの着用をお願いします。発声や激しい呼吸がないなかで「マスクをして」電車に乗っていたとしても、そこで感染する可能性は極めて低いと考えられます。

上述のようなリスクのある機会や行動を一定期間避け、その間に体調不良などがみられなければ、自分が相手に感染させる可能性は非常に低いといえます。お互いが事前に配慮していれば、当日は安心して楽しい時間を過ごすことができるでしょう。

もう一つ、安心のために必要なのが当日のお店選びです。避けるべきお店の目安としては、以下のような点をチェックするといいでしょう。

  • 換気がしにくい
  • 消毒剤などが提供されない
  • 客席の間が近い
  • 大声で大人数でしゃべっている客が多い
  • 店員の方がマスクをしていない

さらに詳しくチェックしたい方は、日本フードサービス協会などが公開しているガイドラインを参照してください。

忘新年会、帰省は「オンライン」も検討を

年末年始の恒例行事といえば、職場の同僚などとの忘新年会、そしてお正月休みの帰省もあります。今シーズンの一番のお薦めは、とても味気ないのですが「オンライン忘新年会」「オンライン帰省」になります。

なぜでしょう。集まって飲酒してしまった際、最初は気を付けていても盛り上がればマスクはとってしまうでしょうし、大きな声で話したり歌ったりしてしまうものです。その結果として「忘新年会クラスター」「帰省クラスター」が発生してしまう可能性が高いのです。

それでも集まって忘新年会を開く方もいるでしょう。こうした会では、歓談・飲食だけでなく「出し物」を企画することも多いと思います。「歌う」「踊る」「声をかける」などは感染を引き起こすエアロゾル発生の確率が上昇します。少しでもリスクを低減するため、出し物は事前に録画をして動画を公開するなどの工夫を検討してください。

また、どうしても帰省をせねばならない、という事情のある方もいらっしゃるでしょう。そうした場合には、以下のような注意をしてください。

  • お酒は控える
  • 食事は家族ごとに分かれて食べる
  • みんなで集まって話すときには全員がマスクをする

もちろんせっけんやアルコールを用いての手洗い・消毒も徹底してください。特に、お食事や飲み物を口にする際には手洗いを忘れずに。また、パソコンやスマートフォンからの感染の可能性もあります。「食事のときにはスマートフォンを触らない」ということについても気をつけましょう。

初詣のリスクは?

初詣はどうでしょう。飲食を伴う可能性は低いので、参拝のみなさんがマスク着用を徹底すれば、初詣でのクラスター発生の可能性は高くはないでしょう。ただ、賽銭箱の上につるされた鈴のひもは多くの人が触りますので、鳴らした後に顔を触るなどしないよう気を付けましょう。また、最近はお賽銭をキャッシュレス決済できる神社があり、よりリスクを低減できます。

写真:Pixta

神主さんからは、「神様も年内の初詣についてご理解いただけるだろう」というお言葉もあるようです。密を避けられるように「年内の初詣」も選択肢に入れてはいかがでしょうか。

いろいろと制約があって悲しい2020年でしたが、工夫をすればその中で楽しめることもあると思います。ワクチンの接種が広がっていくことによって2021年にはコロナ禍から徐々に脱却できることを期待しています。忍耐の多い日々ですが、投げやりならずに、大切な人のため、仕事や経済を守るため、そしていざとなったときに医療体制が崩壊しないために、ぜひこの年末年始も感染対策にご協力をいただけましたら幸いです。
 

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国際医療福祉大学救急医学 主任教授、国際医療福祉大学成田病院 救急科部長

志賀 隆 先生

学生時代より総合診療・救急を志し、米国メイヨー・クリニックでの救急研修を経てハーバード大学マサチューセッツ総合病院で指導医を務めた救急医療のスペシャリスト。東京ベイ・浦安市川医療センターでは救急の基盤をつくり、国際医療福祉大学医学部救急医学講座教授に着任。後進の育成にも力を注ぐ。