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恥骨が痛い(女性):医師が考える原因と受診の目安|症状辞典

恥骨が痛い(女性)

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 転倒したなど、きっかけがはっきりしていて痛みが強い
  • 眠れないほど痛む
  • 激しい腹痛や、性器からの多量の出血が伴う

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 腹痛や不正出血が伴う
  • 日常生活に支障はないが、痛みが慢性化している

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 他の症状がなく、妊娠している
  • 痛みが短期間で、その後繰り返さない

[医師監修] メディカルノート編集部【監修】

恥骨(ちこつ)骨盤(こつばん)を形成する骨のひとつで、骨盤の前下部に位置します。左右対になっており、体の正中部で軟骨組織から成る恥骨結合を形成して、骨盤を形成する左右の骨を連結させています。

女性の骨盤内には腸や膀胱(ぼうこう)の他、子宮や卵巣などの生殖器も含まれており、さまざまな筋肉と靭帯(じんたい)が付着して体幹を支えています。このため、さまざまな病気や日常生活上の習慣が原因となって骨盤に痛みを生じることがあり、特に女性は恥骨部に痛みを感じることが多々あります。

  • 激しい運動の後に恥骨がズキズキ痛む
  • 妊娠、出産を機に恥骨に痛みが生じるようになった
  • 排尿時の痛みや腹痛、尿の異常を伴う恥骨の痛みがある

これらの症状がみられた場合、どのような原因が考えられるでしょうか。

恥骨の痛みは生活習慣が大きく関与していることもありますが、女性の場合以下のような病気や妊娠・出産に伴う体形の変化などが原因となることがあります。恥骨の痛みを引き起こす主な病気には以下のようなものが挙げられます。

恥骨に関連する体の構造に何らかの病気が生じると痛みを生じることがあります。

恥骨結合炎

軟骨組織で構成された恥骨結合に炎症が生じる病気です。ランニングやキック、ジャンプ動作など恥骨に負荷がかかりやすい運動を繰り返すことが原因で発症します。

また、女性では、出産時に恥骨結合が緩むことが原因となることもあります。出産後は通常、徐々に骨盤の広がりは改善していきますが、育児などで恥骨に過度な負担がかかり続けると炎症を引き起こすことがあります。

症状は恥骨の痛みだけでなく、炎症が波及すると下腹部痛や股関節痛を伴うこともあります。

筋肉や靭帯の炎症

恥骨には体幹を支えたり、足を動かしたりするための筋肉や靭帯が多く付着しています。このため、過度な運動や無理なストレッチなどを行うと筋肉や靭帯がダメージを受けて炎症を起こし、痛みを生じることがあります。

通常は自然に改善しますが、痛みを我慢して運動を続けると炎症が悪化して痛みが長引くことがあります。また、動くと痛みが強くなるのが特徴です。

恥骨の痛みは、恥骨周辺の病気が原因のことがあります。主な原因には以下のような病気が挙げられます。

鼡径(そけい)ヘルニア、大腿(だいたい)ヘルニア、閉鎖孔(へいさこう)ヘルニア

脚の付け根にある人体の隙間である鼡径管や骨盤の閉鎖孔などから腸管が脱出する病気です。女性では大腿ヘルニアや閉鎖孔ヘルニアが多くみられ、特に高齢者に多い病気です。

脱出した腸管が締め付けられて痛みや吐き気などを伴い、重症な場合には腸管が壊死(えし)して死に至ることもある重篤な病気のひとつです。痛みは恥骨部に放散し、恥骨の痛みとして感じられることも少なくありません。

鼠径ヘルニア
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膀胱(ぼうこう)炎、尿道炎など

恥骨の後面には膀胱が存在します。そのため、膀胱炎尿道炎などによる痛みが恥骨に放散して恥骨の痛みとして感じられることがあります。

特に排尿時に痛みが強くなるのが特徴で、頻尿や尿の汚染などの症状を伴うことがあります。

膀胱炎
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尿道炎
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子宮内膜症、子宮筋腫など

骨盤内には子宮や卵巣などの生殖器官があり、それらに生じる痛みが恥骨に放散することがあります。特に、子宮内膜が子宮外で生育する子宮内膜症子宮筋腫などでは強い腹痛を引き起こし、月経時に強くなるのが特徴です。また、多月経・過長月経など月経の異常を伴うこともあります。

子宮内膜症
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子宮筋腫
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骨盤腹膜炎

クラミジアなどの性感染症が主な原因となって骨盤内に炎症が波及する病気です。高熱や強い下腹部痛を生じ、その痛みや炎症が恥骨に波及することがあります。多くは、悪臭を放つおりものや不正出血などの婦人科的な症状を伴います。

骨盤腹膜炎
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恥骨の痛みは、過度な運動などによって日常的によくみられる症状です。しかし、思わぬ病気が原因のこともあるため、注意が必要です。

歩行できないくらいの非常に強い痛みがある、発熱や腹痛などの症状を伴う、恥骨部や恥骨の周辺に腫瘤(しゅりゅう)を触れる、などの場合には、特に早めに病院を受診するようにしましょう。 

受診に適した診療科は、整形外科ですが、おりものの異常など婦人科疾患が強く疑われるような場合には婦人科を受診しましょう。また、原因がはっきり分からないものの、恥骨の痛み以外に腹痛などの症状がある場合には内科やかかりつけ医に相談するのもよいでしょう。

受診の際には、恥骨の痛みがいつから生じたのか、歩行などの動作に支障はないか、恥骨痛以外の症状、出産歴などを医師に詳しく伝えるようにしましょう。

恥骨の痛みは以下のような日常生活上の好ましくない習慣が原因で引き起こされることがあります。

恥骨は上半身の荷重がかかりやすい骨であり、前傾姿勢や左右に偏った姿勢を取ると、過度な負担が一部にかかって痛みを引き起こすことがあります。

恥骨をいたわる姿勢とは

恥骨に負担をかけないためには、背筋を伸ばして腰部をやや後屈させるのがポイントです。また、なるべく体が偏らないように意識するのもポイントといえます。座位では、脚を組むと恥骨への負荷が大きくなるため、控えるようにしましょう。

肥満は骨盤や股関節、膝関節などさまざまな部位に過度な負担を引き起こし、痛みの原因となることがあります。特に、女性は恥骨の位置が男性より低く傾きが大きいため、過度な体重によるダメージを受けやすいのが特徴です。

肥満を解消するには

肥満を予防・改善するためには適正カロリーを厳守して、適度な運動習慣を持つことが大切です。

日常生活上の対処法を講じても、恥骨の痛みが改善されない場合は治療が必要となることがあります。それぞれの症状に合わせた診療科を受診しましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。