不正出血:医師が考える原因と対処法|症状辞典

不正出血

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 出血量が多く、立ちくらみ、顔色が悪い、意識が遠のくなどの症状がある
  • 激しい腹痛がある
  • まとまった出血や強い腹痛があり、妊娠しているもしくはその可能性がある

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 普段の月経とは時期や量、色合いなどが異なる出血がある
  • 量は少ないが長期間続いている
  • 量に関わらず繰り返している
  • 痛みがある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 排卵期に一致して、ごく少量の出血がある
  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

不正出血とは、月経時以外に腟から排出される出血のことです。若者から高齢者まで幅広い年代で起こりうる症状であり、場合によっては重篤な病気が潜んでいる可能性があります。

  • 月経時以外に出血がみられるようになった
  • 閉経したのに月経様の出血がみられるようになった
  • 下腹部痛や腰痛、発熱、おりものの変化などの症状がある

不正出血は、他の症状を伴うケースも少なくありません。こういった場合に原因として考えられるものにはどのようなものがあるのでしょうか。

不正出血は、腟や子宮、卵巣などさまざまな部位の病気によって引き起こされます。

腟内の出血は、不正出血として体外へ排出されます。腟の病気が原因で生じる不正出血には以下のようなものがあります。

腟炎

腟は性行為などによってさまざまな細菌やウイルスに感染されやすい部位です。また、肛門と隣接しているため、便中の大腸菌などが腟内に入り込んで感染を引き起こすことも少なくありません。性感染症や細菌性腟炎は腟の粘膜にダメージを与えて出血の原因となることがあります。おりものの臭い・量・性状の変化を伴うことが多いほか、腹痛や発熱などの症状も伴うことがあります。

萎縮性腟炎

閉経後の女性によく見られる病気です。閉経によって女性ホルモンの分泌が低下すると腟粘膜が萎縮し乾燥した状態となることで、些細な摩擦などの刺激によって粘膜にダメージが生じやすくなります。悪化すると粘膜から出血することもあり、不正出血の原因になります。特に性行為によって腟内が傷つきやすいため、性行為後の不正出血や痛みが多く見られます。

子宮に生じた出血は、腟を通じて不正出血として排出されます。子宮の病気が原因で生じる不正出血には、以下のようなものがあります。

子宮がん

子宮にできるがんには2種類あり、子宮体部にできる「子宮体がん」と子宮頸部にできる「子宮(けい)がん」があります。いずれも病変部位から出血を引き起こして不正出血の原因となることがあります。

症状はがんの進行度によって異なりますが、進行すると腹痛や腰痛、おりものの悪臭などの症状が見られるようになります。

子宮筋腫

子宮筋腫とは、子宮の筋肉にできる良性腫瘍のことです。子宮筋腫が生じると、月経量が多くなるだけでなく、月経時以外にもダラダラとした出血を引き起こし、慢性的な貧血におちいることがあります。また、月経時の下腹部痛などを生じることもあります。

子宮腟部びらん

女性ホルモンの分泌が盛んな若い世代に生じやすい病気です。女性ホルモンが活発に分泌されることで、子宮と腟の移行部である「子宮腟部」の粘膜が過度に成熟して、びらん状になる病気です。通常は痛みなどを伴わず多くは無症状ですが、びらん部分から出血を生じて不正出血を引き起こすこともあります。

子宮ポリープ

子宮内にできるポリープです。発生する場所により子宮頸部ポリープと子宮内膜ポリープに分類されます。多くは無症状であり、健康診断などで偶然発見されることが多いですが、サイズが大きくなると出血を引き起こすことがあります。特に子宮頸部にできるポリープは、性行為によってダメージを受けやすいため、性行為後の不正出血の主な原因の一つとなり得ます。

異常妊娠

妊娠中は月経が停止しますが、流早産や胎盤剥離、子宮外妊娠など妊娠の異常によって不正出血を生じることがあります。不正出血だけでなく、お腹の張りや痛みなどを伴うことも少なくありません。また、胎盤剥離や子宮外妊娠では大量の出血が生じるため、血圧の急低下や頻脈、意識消失などの重篤な症状を引き起こすこともあります。

卵巣からはエストロゲンとプロゲステロンと呼ばれる女性ホルモンが分泌されます。排卵と月経といった性周期はエストロゲンとプロゲステロンの分泌量によって左右され、これらのバランスが乱れると不正出血を引き起します。その原因には以下のようなものが挙げられます。

卵巣機能不全

卵巣機能不全とは、卵巣のホルモン分泌能が低下し、正常な性周期が生じない病気です。女性ホルモンの分泌バランスが乱れるため、不正出血が生じやすくなります。卵巣機能不全の原因はさまざまですが、卵巣を刺激して女性ホルモンの分泌を促す性腺刺激ホルモンが分泌される脳の下垂体や下垂体に指令を出す視床下部などの異常、加齢による卵巣機能の低下などが挙げられます。

多嚢胞(たのうほう)性卵巣症候群

卵巣の多数ののう胞が形成される病気で、卵巣の機能が低下するため性周期の乱れや排卵障害が生じます。その結果、子宮内膜の成熟が不安定になりやすく、性周期が乱れることで不正出血を引き起こしやすくなるのです。

不正出血は、単なる月経周期の乱れと思われがちです。このため、不正出血が生じても適切な検査・治療がなされないケースも少なくありません。しかし、腟や子宮、卵巣に何らかの病気が潜んでいる可能性もありますので、不正出血が続く場合はなるべく早めに婦人科を受診しましょう。特に妊娠中の不正出血は早急にかかりつけの産婦人科に相談する必要があります。また、不妊症不育症の原因になることも少なくありません。

受診した際には、いつごろから症状がでたのか、出血の量や頻度、その他の症状などをしっかり伝えましょう。また、排卵の有無や卵巣機能の異常を確認するため、基礎体温の記録は非常に重要な情報となります。記録している場合は、必ず持参するようにしましょう。

不正出血は日常生活上の原因によって引き起こされることがあります。

過度なストレスや睡眠不足などは性腺刺激ホルモンの分泌を抑制するCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)の分泌を促し、結果として卵巣機能不全の原因となることがあります。

ストレスが溜まったときは

日頃から、適度なストレス解消方法を身に着け、しっかり睡眠・休息を取るようにしましょう。

生活習慣の改善を行っても不正出血が治まらないときは、何らかの病気が潜んでいる可能性が高いです。一度婦人科を受診して適切な検査・治療を受けるようにしましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。