生理不順:医師が考える原因と対処法|症状辞典

生理不順

受診の目安

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 正常な月経周期(25~38日周期)から外れている
  • 毎回周期が異なり、いつ月経がくるかわからない
  • 出血量、出血のある日数などにムラがある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 初潮(初経)から数年以内である
[医師監修] メディカルノート編集部

[医師監修] メディカルノート編集部

生理不順とは、月経周期が乱れる症状のことです。一般的には生理不順といわれることが多いですが、正確には「月経不順」といいます。月経は25~38日の一定周期で生じますが、月経が早まったり遅れたりすることを一般的に月経不順と呼びます。

月経不順は、健康な女性でもしばしば起こりうるものなので、軽く考えてしまいがちです。しかし、中には子宮や卵巣などに何らかの病気が潜んでいたり、不妊症につながったりすることも少なくありません。

  • 月経量が多く、月経期間が長い
  • 妊娠していないのに月経が3か月以上停止している
  • 月経が遅れたため、妊娠検査薬を使用したが陰性である

こういった場合に原因として考えられるものには、どのようなものがあるのでしょうか。

月経は、卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンのはたらきによって子宮内膜の成熟・剥離が生じることで引き起こされる生理現象の一つです。このため、女性ホルモンの分泌に異常が生じると月経不順の原因となることがあります。ホルモン分泌の異常を生じる病気には以下のようなものが挙げられます。

機能性子宮出血

子宮内膜は女性ホルモンの一つであるプロゲステロンの作用によって成熟し、排卵後2週間程度で受精卵の着床がない場合は、子宮内膜が剥がれ落ちます。この剥がれ落ちた子宮内膜が体外へ排出されたものが月経です。しかし、女性ホルモン分泌の異常が生じやすい思春期や更年期障害の女性などは、月経とは異なるタイミングで子宮内膜が剥がれ落ち、月経不順を引き起こすことがあります。このほか、女性ホルモンの分泌バランスが変化することで、自律神経の乱れや抑うつ気分などさまざまな症状を伴うことも少なくありません。

黄体機能不全症

排卵後の卵胞は黄体に変化し、プロゲステロンとエストロゲンを分泌します。その作用によって子宮内膜が成熟しますが、黄体の機能が十分でない場合は、子宮内膜が十分に成熟せずに剥がれ落ちるため、月経周期が短くなります。妊娠を希望する場合は、受精卵が正常に着床しなかったり、着床した受精卵の生育が妨げられたりするなど不妊症や不育症の原因となることがあります。

多嚢胞(たのうほう)性卵巣症候群

卵巣に多くののう胞が形成され、卵巣のホルモン分泌能が低下する病気です。卵巣表面が硬くなるため、排卵障害を生じることが多く、月経周期が長くなるのが特徴です。他にも、にきびが多い、毛深い、肥満傾向などの症状が見られます。

脳の病気

月経は、卵巣から分泌される女性ホルモンの作用によって生じる現象です。一方、女性ホルモンは性腺刺激ホルモンが卵巣を刺激することによって分泌が促されています。この性腺刺激ホルモンを分泌するのは脳の下垂体であり、さらに下垂体を刺激するのは視床下部と呼ばれる部位です。

この下垂体や視床下部に何らかの外傷や炎症、腫瘍などが生じた場合に、性腺刺激ホルモンが正常に分泌さなくなると、月経不順の原因になることがあります。

月経不順は、日常のストレスやダイエットなど不適切な生活習慣によって引き起こされやすいため、適切な検査・治療を受けずに放置されがちです。しかし、月経不順は不妊症や不育症の原因となる病気だけでなく、脳腫瘍などの重篤な病気が潜んでいることもあります。このため、月経不順が長引くときは、早めに婦人科を受診することがすすめられています。

受診した際には、直近半年ほどの月経周期や月経量、月経期間、その他の症状を必ず伝えるようにしましょう。また、基礎体温は排卵の有無や黄体の機能を把握するうえで非常に重要な情報となります。月経不順がある場合にはまずは基礎体温を記録し、持参するようにしましょう。

月経不順は日常生活に原因があることがあります。その原因と対処法には以下のようなものが挙げられます。

過度なストレスは視床下部から放出されるCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)の分泌を促します。CRHは下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンの分泌を抑制する効果を持つため、結果としてエストロゲンやプロゲステロンの分泌量も低下し、月経不順を引き起こすことがあります。

ストレスや疲れがたまったときには

日頃から、適度なストレス解消方法を身に着け、ストレスが溜まらない生活を心がけましょう。また、十分な睡眠や休息を確保することも大切です。

ヒトの脂肪細胞からはレプチンと呼ばれるホルモンが分泌されています。レプチンには女性ホルモンの分泌を調整する作用があり、極端な体脂肪の減少によってレプチンの分泌量が減少すると月経不順を引き起こすことがあります。また、肥満の人はレプチンの分泌量が多いものの、レプチンの作用が弱まった状態となり、月経不順の原因となることがあります。

体重の極端な増減が生じたときには

適正カロリーを厳守し、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。また、体脂肪の急激な増加や減少には、糖尿病・甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患、摂食障害・うつ病などの精神疾患などが原因のこともありますので、定期的な健康診断などで体調管理を行うようにしましょう。

規則正しい生活習慣を維持しても月経不順が治らない場合には、思わぬ原因が潜んでいることも考えられます。放置すると不妊症や不育症の原因になることもあり、将来的には女性ホルモンの分泌量が低下していることで、骨粗鬆症などの発症リスクが高くなります。月経不順が続く場合は様子を見ずに、診察を受けるようにしましょう。