眉間が痛い:医師が考える原因と対処法|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
頭痛の一つとも捉えられがちな眉間の痛みは、目の疲れなど日常生活の中でよく起こるものです。しかし時には病気の症状のひとつとして現れることもあります。
このような場合、一体何が原因となって痛みが現れているのでしょうか。
眉間に痛みが生じる病気の多くが脳や神経に関連しています。また、鼻の病気でも痛みが現れる場合があります。
脳や神経などの病気としては、片頭痛、脳出血・くも膜下出血、脳梗塞、脳腫瘍、髄膜炎などが挙げられます。
片頭痛とは、脈に合わせてズキンズキンと痛みが生じる頭痛で、主にこめかみ周辺の側頭部、眉間あたりの前頭部が痛むことが多いといわれています。
頭痛以外に、目の奥の痛み、吐き気・嘔吐、光や音に過敏になるなどの症状が伴う場合もあります。
脳の中で出血が起こる脳出血やくも膜下出血では、いずれも一般的に症状のひとつとして頭痛が生じますが、くも膜下出血ではバットで殴られたような激しい痛みを感じる事が多いといわれています。痛みを感じる部位はさまざまですが、眉間に痛みを感じることもあります。
出血する部位や出血量によって異なりますが、吐き気・嘔吐、めまい、手足のしびれ・麻痺、失語(うまく喋れない)などが伴うこともあり、一般的に頭痛を含めた症状全般が激しいことが多い傾向にあります。
脳の血管が出血すると、意識障害や呼吸不全に陥って命を落とすケースも少なくありません。症状に当てはまる場合はすぐに脳血管外科や救急外来を受診するか、緊急の場合には救急車を呼びましょう。
脳梗塞とは、脳の血管が詰まることで脳の一部が死んでしまう病気です。
脳梗塞になるとさまざまな症状が現れますが、特に多いのが手足の痺れや力が入らないといった右半身または左半身の運動麻痺です。また、うまく喋れない、ろれつが回らないなど言葉に関する症状も多く、発症者のおよそ半数にみられるといわれています。
そのほか、頭痛やめまい、吐き気・嘔吐などもよくみられる症状で、頭痛に関しては眉間に痛みを感じることもあります。
腫瘍とは、異常に増殖した細胞のかたまりのことです。これが頭蓋骨内にできて頭蓋骨内の圧力が高まると、頭痛や吐き気・嘔吐などの症状が現れます。これらの症状は特に起床時に強い傾向があり、頭痛においては頭だけでなく眉間が痛くなる場合もあります。
ほかの症状として、腫瘍がある場所によっては、手足の痺れ・麻痺、言語障害や歩行障害、視野傷害などの神経症状が現れる場合もあります。
脳や脊髄は髄膜という膜で保護されています。この膜に炎症が起きた病気が髄膜炎で、多くは細菌が原因となって発症するといわれています。
主な症状は頭痛、首の痛み、吐き気・嘔吐、発熱、けいれん、発疹です。一般的に頭痛は頭全体に現れることが多いものの、眉間やおでこ付近、後頭部に強い痛みを感じる場合もあります。
早期の治療が必要な病気のため、もし当てはまる症状があった場合にはすぐに受診しましょう。
このような脳や神経関連の病気のほかに、副鼻腔炎という鼻の病気が原因となって眉間に痛みを感じる場合もあります。
鼻の周囲には、上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞という4つの空間があります。これらの空間を総称して副鼻腔といい、いずれかの空間に炎症が生じたものが副鼻腔炎です。
副鼻腔炎になると、鼻が詰まる、粘り気のある鼻水がでる、鼻水が喉に流れる、痰・咳がでるなどの症状が現れることが多く、進行すると炎症部位に伴って頬や目、おでこ、眉間などに痛みが生じることもあります。
脳の病気では、治療が遅れる後遺症が残ることや死に至るケースも少なくありません。眉間の激しい痛みや、なんらかの強い症状が伴う場合にはすぐ受診しましょう。また、そこまで症状が強くなくとも痛みが長く続いている場合には、一度病院で診察を受けましょう。
急を要する場合には救急車を含めた対応が必要なこともありますが、そうでない場合には脳神経外科などへの受診が適しています。脳神経外科は総合病院などでなければ受診が難しいことも多いため、近くにない・すぐにかかれないような場合には、内科やかかりつけの医療機関でまず相談してみましょう。
診察の際には、痛みはどのように現れたか、いつから痛むようになったのか、いつ・どのような時に痛むことが多いか、他にどのような症状があるかなどを具体的に伝えましょう。
日常生活で眉間が痛くなることも多く、原因としては肩こりや目の疲労、ホルモンバランスの変化、寝不足などが考えられます。
肩や首のこりは、筋肉が疲労して血流が悪くなることで起こるといわれています。そして神経が圧迫されると痛みが生じますが、その影響で後頭部やこめかみ、眉間などに痛みが発生することがあります。また、目が疲れることでも頭痛が現れる場合があります。
肩や首がこったときには、血流をよくすることで改善されることが多々あります。肩や首がこっていると感じたら、手を上に挙げる、肩を回すなど軽いストレッチをしてみましょう。
目の疲れにおいては、パソコンを長時間使用する、メガネ・コンタクトレンズの度数が合っていないなど、さまざまな原因が考えられます。画面の見過ぎであれば時間を短くする、メガネ・コンタクトレンズの度数が合っていなければ合うものに変更するなど、原因に応じて対策をとるようにしましょう。
女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌量が減ると、脳内でセロトニンという物質の分泌量も減少します。セロトニンには痛みを抑える働きや血管の収縮をコントロールするはたらきがあるので、セロトニンの分泌量が減少すると痛みに対して過敏になるなどして、後頭部やこめかみ、眉間などに痛みが現れやすくなると考えられています。
ホルモンバランスの乱れは、ストレスや食生活など、さまざまなことが原因になっているといわれています。
ホルモンバランスの影響で眉間に痛みがでていると思ったら、娯楽時間を増やしたり周囲の人に話を聞いてもらうなどしてストレスを発散する、バランスのよい食生活を心がけるなど、原因に応じた対策を積極的に行いましょう。
寝不足によって自律神経が乱れやすくなります。自律神経の乱れは頭痛の原因のひとつに考えられ、頭痛のほかにさまざまな全身症状が現れることも少なくありません。
寝不足を感じたら、睡眠時間を確保しましょう。また、睡眠の質を高めるために自分に合った寝具を使用する、睡眠環境を整えることも大切です。
寝不足だけでなく過眠によっても頭痛が引き起こされやすくなります。寝不足でも過剰な睡眠を避け、6~8時間に留めておきましょう。
眉間の痛みは日常生活が原因となってよく起こるものですが、日常生活が原因と思っていても、病気が原因になっている可能性も考えられます。上で挙げた日常生活上の対策をとってもよくならないときには、一度病院への受診を検討しましょう。