後頭部の頭痛:医師が考える原因と対処法|症状辞典

後頭部の頭痛

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 強い打撲などきっかけがはっきりしており、強い痛みがある
  • 今まで経験したことのない激しい痛みがある
  • 手足のまひ、しゃべりにくいなどの症状がある
  • 意識がもうろうとしている
  • 目の充血、吐き気、視力が落ちているなどの症状がある

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 痛みが続いている
  • 額や頰が痛く、鼻づまり・鼻水がある
  • 顔の皮膚や頭皮に発疹ができており、強い痛みがある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • もともと片頭痛や月経周期に伴う頭痛があり、なじみのある痛みである
  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない

植田救急クリニック

加藤 之紀 先生【監修】

頭痛は誰もが一度は経験する症状ですが、頭の中に何か悪いことが起こっているのでは?と不安を感じがちな症状であるともいえます。

  • 後頭部から首にかけて急激な痛みがあり、めまいやふらつきもある
  • 熱と頭痛があり、首を振ると頭痛が悪化する
  • パソコン操作を長時間していると、肩こり・首の痛み・目の疲れと共に、頭を締め付けられるような頭痛が起こる

このような場合、考えられる原因にはどのようなものがあるでしょうか。

脳や脳の周囲の血管などで問題が起きている場合には、速やかに受診し治療を開始する必要があります。具体的には脳血管障害(脳出血脳梗塞(のうこうそく)くも膜下出血など)、髄膜炎(ずいまくえん)・脳炎などです。

これらの特徴として、

  • 一瞬でゼロから100に跳ね上がるような急激な頭痛
  • 今まで経験したことのない頭痛
  • 意識がおかしい、しびれ・麻痺(まひ)など、今までできていたことができなくなっている
  • 発熱、嘔吐などがある

といったことがあげられます。こういった場合は早急な受診が必要です。

特に後頭部から首の後ろ側、左右どちらかに強い痛みが起こり、めまい・ふらつき・物が飲み込めない・体の感覚がおかしいといったことがある場合、椎骨動脈解離(ついこつどうみゃくかいり)という病気の可能性があります。40代など比較的若い人にも起こり得る病気で、首を無理に動かす刺激が引き金になることもあります。

脳出血
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脳梗塞
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くも膜下出血
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髄膜炎
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上記のような特に危険な原因以外には、主に以下のようなものがあります。

急に起こる頭痛の原因には、主に以下のようなものがあります。

発熱などに伴うもの

風邪やインフルエンザで熱が出たとき、頭が痛い感じがする経験がある方も多いでしょう。考えられる病気は多岐にわたりますが、頭痛が激しい場合や高熱を伴うような場合には早めに医療機関を受診したほうがよいでしょう。

かぜ症候群
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インフルエンザ
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後頭神経痛

後頭部の感覚をつかさどる神経に起きる神経痛です。神経が筋肉に圧迫されることが原因の一つと考えられており、猫背や長時間のパソコン操作、肩こりがあると起こりやすくなる場合があります。

ビリっと電気が走るような痛みや、痛くないときもしびれのような違和感を感じることもあります。

帯状疱疹(たいじょうほうしん)

水ぼうそうの原因にもなるヘルペスウイルスの一種によって、神経に沿って水疱ができる病気です。体中のどこにでもできますが、後頭部にできる場合もあります。ピリピリとした痛みを伴う水疱が特徴ですが、水疱ができる数日前から、痛みや違和感だけが現れる場合もあります。目の周りも痛くなる帯状疱疹は視力に影響を及ぼすことがありますので、早めの医療機関受診が必要です。

帯状疱疹
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何度も繰り返し起こる頭痛の原因には、主に以下のようなものがあります。

緊張型頭痛

後頭部を中心に、頭の周囲を鉢巻きで締め付けるような痛みが起こります。首や肩こりを伴うこともあります。長時間同じ姿勢が続くなど、筋肉の緊張が原因となって起こっているといわれています。

緊張型頭痛
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片頭痛

ズキズキ、ガンガンと脈打つような頭痛です。後頭部のみ、頭のどちらか片側などに起こることが多く、目の奥やこめかみあたりも痛くなることがあります。吐き気、光や音に過敏になる、視界にモザイクのような光が見える(閃輝暗点)といった症状が起こることもあります。

片頭痛
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慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)

脳を保護する硬膜という膜の下で、じわじわとした出血が起こります。1〜3ヵ月など長い期間をかけて血がたまり症状が現れるのが特徴で、またきっかけとなった出来事も些細な打撲などであることもあります。

子どもや高齢者、お酒をたくさん飲む方などに起こりやすいといわれています。頭痛を伴う場合も多いですが、いつもと様子がおかしい、歩くのがおぼつかない、失禁するなどの症状が出てきたときには特に注意が必要です。

慢性硬膜下血腫
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脳腫瘍

良性・悪性に関わらず脳に腫瘍ができると、頭蓋骨の中の限られた空間がさらに狭くなり圧迫され、頭痛が起こることがあります。朝に痛みが強くなり時間がたつにつれ改善していく傾向があります。

脳腫瘍
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急に起こった後頭部の痛みで程度が強い場合やひどくなっている場合、発熱など他の症状を伴う場合には受診しましょう。また、程度は軽くても頻繁に繰り返しているような場合も一度受診を検討したほうがよいでしょう。

専門科目は原因によって分かれる場合がありますが、後頭部の痛みをメインに受診するのであれば脳神経外科などが適しています。しかし、脳神経外科は総合病院などでなければ受診が難しい場合もあるため、近くにない・すぐにかかれないなどの場合には、まずは近くの内科やかかりつけの医療機関で相談してみましょう。

受診の際には、いつからの症状か、繰り返している場合にはどのくらいの頻度か、他にはどのような症状があるのかなど、できる限り詳しく伝えることが大切です。

日常生活上の習慣などが原因となり、後頭部の痛みが起こることもあります。

頭と首・肩・顔の筋肉は互いに関係しており、肩こりや首の疲れがあると頭痛が起こりやすくなります。また、目の疲れ(眼精疲労)も頭痛につながります。

肩こりや目の疲れを感じたら

デスクワークなど肩こりや首の疲れにつながりやすい作業をする時には、適宜休憩を取り、ストレッチを取り入れるようにしましょう。また、こりがある部分を温めることもよいでしょう。

月経前や妊娠中、更年期など、ホルモン状態が急激に変化することで頭痛が起こることがあります。

ホルモンバランスの変化の影響かなと思ったら

休養と水分を十分取りましょう。月経前に症状が強くなる場合や、更年期障害の場合、婦人科で治療を受けることで改善がみられることもあります。

自分でできる対処法を試しても後頭部の痛みがよくならない場合には、思いもよらない原因が潜んでいることもあります。一度病院で相談してみましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。