眠気:医師が考える原因と対処法|症状辞典
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気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】
日中に眠気が起きることは、夜の睡眠障害が関係していることが多く、寝つきが悪い、何度も目が覚めるなどによって、熟睡できていないことが多いと考えられます。
こういった場合、どのような原因が考えられるでしょうか。
睡眠障害や眠気は、体の病気や心の病気などが原因となって起こることがあります。
睡眠障害や眠気を引き起こす体の病気としては、以下のようなものが挙げられます。
睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に呼吸が止まる状態を繰り返す病気のことで、加齢とともに増え、高齢者では20%を超えるといわれています。
睡眠中に大きないびきをかくことが多く、熟睡ができないために日中に眠気が起きます。また、無呼吸の間は酸素欠乏状態に陥りやすいことから、起床時に頭痛が起きたり、体のだるさを感じたりすることもあります。
下肢静止不能症候群とは、じっとしているときに足がムズムズする、かゆい、痛いといった不快な症状が出る病気です。
夕方から夜にかけて症状が起こりやすく、睡眠障害(寝つけない・夜中に目が覚めるなど)に悩まされることが少なくありません。
周期性四肢運動障害とは、睡眠中に片足または両足がビクンと動くことによって睡眠が妨げられる病気のことを指し、上で挙げた下肢静止不能症候群と合併することが多いとされています。周期性四肢運動障害では、睡眠が妨げられることで日中に眠気が生じます。
夜の眠りの量や質に関係なく、日中に強い眠気が生じる状態を過眠症といいます。過眠症にはさまざまな種類がありますが、過眠症の中でも代表的なものがナルコレプシーで、脳内物質のオレキシンをつくる神経細胞のはたらきが悪くなることで起こると考えられています。ナルコレプシーは夜ぐっすり寝ているにもかかわらず、日中に激しい眠気が生じ、眠気に抵抗できずに居眠りを繰り返すという特徴があります。
また、覚醒時に情動脱力発作(気持ちが高ぶったとき、驚いたときに体の一部が脱力する症状)、入眠時に幻覚や睡眠時に金縛りが起こることもあります。
低血糖とは、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が低くなりすぎる状態のことを指し、具体的には60mg/dl以下になった状態です。
人によって現れる症状は異なりますが、血糖値がおよそ70mg/dl以下になると主に発汗や手指の震え、動悸、不安感、顔色が青くなるなどの症状が現れるようになります。
また、血糖値が50mg/dl程度になると眠気(生あくび)や頭痛、集中力の低下など、50mg/dl以下になるとけいれんや一時的な体の麻痺、意識消失、昏睡などの症状がみられ、50mg/dl以下の状態が続くと生命にかかわる場合があります。
以下のような病気も眠気を引き起こす原因に挙げられます。
不眠症とは、寝つきにくい、何度も目が覚める、朝早くに目覚めてその後寝られないなどの睡眠障害が1か月以上続き、日中の生活に支障をきたす状態のことを指します。
熟睡できないことで日中に眠気が起こりますが、ほかにも体のだるさや意欲の低下、集中力の低下、食欲の低下などの不調が現れることがあります。
うつ病とは、気分の落ち込みや興味や喜びの感情の減退といった症状が長期的に続き、日常生活に支障をきたす状態を指します。主に心に関する症状が現われ、気分が憂鬱になる・沈む、イライラしたり不安になったりする、集中力ややる気がなくなる、睡眠障害や日中に眠気を感じるなどの症状が生じます。心に関する症状とともに、体がだるい、疲れやすい、食欲・性欲がない、頭痛や肩こり、動悸、めまいなど、体に関する症状が現れることもあります。
日中の眠気が長く続いている、毎日でなくても体のだるさや集中力の低下、気分が沈むなどの心と体の不調があれば、一度病院への受診を考えましょう。
原因によって専門となる科目はかなり幅が広いですが、「眠れない」ということで困っているのであれば、まずはかかりつけの病院や、近くの内科などで相談してみるとよいでしょう。
受診時には、いつからの症状なのか、夜間の睡眠状況(睡眠の質と量、就床・起床の時間)はどうか、眠気以外の症状はあるかなどについて詳しく伝えましょう。
寝不足やストレス、飲酒、カフェインの過剰摂取など、日常生活が原因となって眠気が生じる場合もあります。
脳には睡眠の調整機構があり、朝起きて夜寝る習慣がある場合には午後から夜にかけて眠気が増加し、夜寝つく頃に眠気が頂点に達します。
そして睡眠中に眠気が減少し、朝起きたときに眠気がもっとも少なくなりますが、寝不足が続くと睡眠中の眠気が十分に下がりません。その結果、朝や日中などの活動時間に眠気が現れるとされています。
寝不足なら睡眠時間を確保することが第一ですが、良質な睡眠をとることも大切です。寝る前にカフェイン入りの飲料を飲まない、寝る前にパソコンやスマートフォンなどの電子機器を使わないようにするなどのことに気をつけるとよいでしょう。
また、リラックスできる寝床環境をつくる、自分の体に合った寝具を使うことも良質な睡眠の確保に欠かせません。できることから積極的に始めていきましょう。
勉強や仕事、家庭の問題などで悩みを抱えているとき、寝ようと思っても悩み事が気になってしまい、寝つくのに時間がかかってしまうものです。
また、ストレスによってホルモンバランスや自律神経が乱れることでも、寝つきが悪くなる、何度も起きる、早朝に起きてその後寝られなくなるなど、睡眠が障害されて日中に眠気が起こりやすくなります。
ストレスを強く感じたら、趣味や娯楽、運動、レジャーなどで気分転換する、イライラや不安といった感情を周囲の人に聞いてもらうなどして、ストレス発散に取り組みましょう。
やる気が出ないときや疲れているときなどには、しっかりと休養することも大切です。
アルコールの代謝過程でアセトアルデヒドという有害物質に生成され、この物質が原因となって顔が赤くなる、胸がどきどきする、頭痛や吐き気・嘔吐、眠気などの症状が現れます。
眠気が起こることで寝つきがよくなることがありますが、アセトアルデヒドには興奮状態に導く作用があることから、何度も起きてしまうなど、睡眠が阻害されやすくなります。
アセトアルデヒドの分解速度は人によって違います。まずは自分の適量を知り、適量を守って飲むよう心がけましょう。また、一気飲み(早飲み)をしない、ご飯を食べながら飲む(空腹時には飲まない)、飲酒時や飲酒後に水分をしっかりと補給するようにしましょう。
お茶やコーヒー、チョコレートなどに含まれているカフェインには覚醒作用や利尿作用があるため、摂りすぎると睡眠が阻害される可能性があります。
カフェインを摂りすぎないために、カフェインレスのものに変えるなど工夫してみましょう。また、カフェイン入りの飲食物の摂取は朝や日中に留めておき、寝る前3~4時間は控えるとよいでしょう。
上で挙げた対策をとってもよくならないときには、一度病院で相談してみましょう。思いもよらない原因が潜んでいることがあります。