前頭部の頭痛:医師が考える原因と対処法|症状辞典
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翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
植田救急クリニック
加藤 之紀 先生【監修】
頭痛とは頭のどこかが痛くなることですが、頭全体でなくおでこや前頭部など一部だけに痛みを感じたことのある人も多いのではないでしょうか。
このような症状が見られる場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。
前頭部に頭痛を感じることのある病気には、以下のようなものがあります。
原因や場合によっては他の場所が痛むこともあります。
前頭部の頭痛で頻度の高い原因は、緊張性頭痛、片頭痛、群発頭痛、副鼻腔炎、帯状疱疹などです。
緊張性頭痛は慢性頭痛の一種で、ストレスや同じ姿勢がずっと続くなどが原因となっているといわれています。主な症状は締め付けられるような痛みや頭重感ですが、目の疲れ、めまい、軽い吐き気などが出ることもあります。
片頭痛とは、ズキンズキンと波打つような痛みのある慢性頭痛の一種です。
主な症状は頭痛で、頭の片側や両側、後頭部などが部分的に痛みます。こめかみや目の奥、眉間が痛いと感じることもあります。場合によっては、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
痛くなる頻度は人によって異なり、ほとんど起こらない人もいれば、週に1~2回痛む人もいます。
群発頭痛とは、目の周りから前頭部、側頭部にかけて、のたうち回るような激しい頭痛が起きる病気です。
主な症状は繰り返す頭痛で、特定の季節や特定の時間に頭痛が起き、それ以外のときにはおさまっているという一定のパターンを持つ特徴があります。頭痛以外の症状としては、目の充血、涙、顔に汗をかく、顔が赤くなるなどです。
副鼻腔炎とは、鼻の周りにある副鼻腔という空洞にウイルスや細菌が感染して炎症が起きる病気です。副鼻腔炎には急性と慢性がありますが、前頭部の頭痛を起こすことがあるのは、主に急性副鼻腔炎のほうです。
副鼻腔は全部で4つあり、前頭部が痛むのは眉間のあたりにある前頭洞と呼ばれる場所で炎症が起きた場合です。主な症状は痛み、鼻水、鼻づまりなどで、症状によっては発熱することもあります。
帯状疱疹とは、水痘・帯状疱疹ウイルスが原因となって起きる病気です。これはみずぼうそうを起こすウイルスでもあり、過去にみずぼうそうにかかったことのある人の体内にウイルスが潜んでいて、何らかのきっかけで再活性化すると帯状疱疹として発症します。
主な症状としては、ピリピリとした痛み、赤い発疹、水疱などで、たいてい体の左右どちらかに現れます。
体のどこにでも起こる病気ですが、頭部や顔面にできることもあります。水疱などの皮膚症状に先駆けて痛みだけが起こることも多いため、頭痛と思われることもあります。
前頭部に痛みを感じる頭痛の原因には、脳血管障害、もやもや病、脳腫瘍、髄膜炎など、注意が必要な病気もあります。
脳血管障害は、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの総称で、脳卒中とも呼ばれています。
これらの病気が原因で頭痛が起こるときには強い痛みを感じることが多く、その他にもろれつが回らない、言葉が出にくい、物の見え方がおかしい、手足のまひなどの症状が現れることがほとんどです。
頭のどこが痛むかは病気がどこで起こっているかなどにもよりますが、いずれにせよこれらの症状が見られる場合にはすぐ受診しましょう。
もやもや病は、脳にとって大切な血管である内頚動脈という血管が徐々に狭くなり、脳の血流が悪くなる病気です。
主な症状は子どもと大人で異なります。子どもの場合には、泣いたときや息を「フーフー」と吹きかけたときなどに手足の脱力や言語障害などが現れることがあります。また、朝方の頭痛を訴えることがよくあります。
大人の場合は子どものようにはっきりした症状が現れないことも多く、脳梗塞や脳出血などの重大な病気が起こってから気づかれることも多いといわれています。ものが二重に見えることがある、転びやすくなった、ふとしたときに手足のまひを感じることがあるなどの場合には早期に受診するようにしましょう。
脳腫瘍とは、脳や髄膜にできた腫瘍のことで、良性・悪性どちらも含みます。
腫瘍が小さい場合には自覚症状があまりないことも多いですが、症状が現れる場合には頭痛、吐き気・嘔吐、視力低下などの症状が多いといわれています。
髄膜炎とは、脳や脊髄を保護する髄膜や髄液に、感染などが原因となって炎症が起こる病気です。主な症状は、激しい頭痛、発熱、首の痛み、けいれんなどです。
早急な治療を必要とする病気のため、あてはまる症状がある場合には速やかに受診しましょう。
激しい頭痛など、強い症状がある場合には速やかに受診しましょう。
定期的に頭痛を繰り返す場合や、なんとなく痛い状態が続いているような時にも一度受診しておきましょう。
頭痛を主な症状として受診する場合には脳神経外科などが適していますが、総合病院などでなければ受診が難しいこともあります。近くにない・すぐにかかれないなどの場合には近くの内科やかかりつけの医療機関でまずは相談してみるのでもよいでしょう。
医師に伝えたほうがよいポイントは、いつからどのような症状が出ているのか、繰り返している場合には頻度やタイミングなど、他の症状があるかどうかなどです。
日常生活の中で感じるストレスや、ホルモンバランスの変化によっても頭痛が起きることがあります。
ストレスがたまると、自律神経のバランスが乱れたり、睡眠の質が低下したりすることがあります。これらが原因で頭痛につながることがあります。
ストレスがたまっていると感じたときには、ストレスの原因から離れ、リフレッシュすることが効果的です。
好きな音楽を聴く、ゆっくりと入浴する、適度な運動で汗を流すなどの方法でリフレッシュできるでしょう。仕事や人間関係での悩みが原因なら、友達に話を聞いてもらうだけでスッキリすることもあります。
また、腹式呼吸でゆっくりと深い呼吸をするだけでもリラックスしやすくなるといわれています。
月経や排卵、更年期障害などでホルモンのバランスが変わると、脳の血管が拡張して頭痛が起きやすくなるといわれています。
アルコールやカフェインなどの刺激物を控えましょう。冷えや緊張、肩こりなどがある場合には体を温めたり、ストレッチなどで体をほぐすのもよいでしょう。
更年期障害が原因の場合には、バランスのよい食事を心がける、ヨガなどの有酸素運動をするとよいともいわれています。
いずれにせよ、生理周期や更年期などと頭痛が連動しているように感じる場合には一度婦人科で相談してみると治療が受けられる場合もあります。
自分でできる対策をしても頭痛がおさまらない場合には、思いもよらぬ原因が潜んでいることもあります。一度病院で相談してみましょう。