頭が重い:医師が考える原因と対処法|症状辞典

頭が重い

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 強い打撲などきっかけがはっきりしており、強い痛みがある
  • 今まで経験したことのない激しい痛みがある
  • 手足の麻痺、しゃべりにくいなどの症状がある
  • 意識がもうろうとしている
  • 目の充血、吐き気、視力が落ちているなどの症状がある

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 痛みが続いている
  • 額や頰が痛く、鼻づまり・鼻水がある
  • 顔の皮膚や頭皮に発疹(ほっしん)ができており、強い痛みがある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • もともと片頭痛や月経周期に伴う頭痛があり、なじみのある痛みである
  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない

植田救急クリニック

加藤 之紀 先生【監修】

頭が痛いわけではないけれども、なんとなく重い・すっきりしないような症状に悩んだことのある方も多いのではないでしょうか。

  • 痛いわけではないけど、頭がすっきりしない
  • この頃、ぼんやりして頭が重い日が続いている
  • 頭が重いだけじゃなくて、めまいや耳鳴りがする

このような症状がみられた場合、考えられる原因にはどのようなことが考えられるでしょうか。

頭の重さは以下のような病気が原因となって起こることがあります。

急に「頭が重い」と感じたとき、主に次のような原因が考えられます。

片頭痛

ズキズキと脈打つような頭痛が、頭の片側など限られた部分に起こることが特徴の頭痛です。

気圧の変化やストレスからの開放などにより、脳の血管が急に拡張することによって起こるもので、女性では男性の4倍多い病気だといわれています。

片頭痛
関連記事数: 13記事

脳梗塞・脳出血

脳梗塞(のうこうそく)脳出血(のうしゅっけつ)でも頭が重いと感じることがあります。

激しい頭痛や、体の一部にしびれや麻痺がある、ろれつが回らないなどの症状を伴う場合が多いといわれています。頭の重さに加えて、このような症状がみられる場合はすぐに医療機関を受診しましょう。

脳梗塞
関連記事数: 44記事
脳出血
関連記事数: 12記事

熱中症

夏の暑い日に外で作業する場合や、屋内でもエアコンなどをつけずに過ごしている場合は熱中症になる危険性があります。特に高齢者では、室内でエアコンをつけないことが原因で熱中症を発症するケースが多いといわれています。熱中症の症状は気分不良から意識障害まで多彩ですが、頭の重さや倦怠感などを感じる場合も多く、注意が必要です。

熱中症
関連記事数: 20記事

一酸化炭素中毒

冬などでファンヒーターやガス暖房機、石油ストーブなどを使用する際に、不完全燃焼などが原因で一酸化炭素中毒が起こることがあります。重症の場合には意識を失うなど命に関わることもありますが、頭の重さのような軽い症状が初期症状の場合もあります。心当たりがある場合には病院を受診することが大切です。

一酸化炭素中毒
関連記事数: 0記事

頭の重さが長期間に及ぶ場合は、次のような病気が考えられます。

高血圧

血圧が高い状態が続くことや、もともと高血圧の方がなんらかの原因でさらに急激に血圧が上がったような場合、頭の重さ、頭痛、視力の低下、耳鳴り、めまい、吐き気などの原因となることがあります。

すでに治療中の場合でも、このような症状があるときには主治医に相談しましょう。

高血圧症
関連記事数: 24記事

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まったり減ったりする病気です。夜間の眠りが浅く熟睡できないため、起床時や日中の頭の重さや眠気につながることも少なくありません。

この病気の特徴としていびきなども挙げられますが、寝ている間のことなので本人が自覚することは少ないといわれています。もし、心配な症状が身近な人にあれば、一度耳鼻咽喉科で相談してみるとよいでしょう。

睡眠時無呼吸症候群
関連記事数: 19記事

自律神経失調症

ストレスなどで自律神経が乱れ、心身にさまざまな症状が出る病気です。症状には個人差がありますが、頭の重さ、だるさ、動悸、めまい、のぼせなどが比較的多いといわれています。

自律神経失調症
関連記事数: 5記事

脳腫瘍

頭蓋内にできる腫瘍のことです。頭の重さのほかに頭痛、吐き気、視力低下などを伴うこともあります。

脳腫瘍
関連記事数: 29記事

もやもや病・脳動脈瘤

脳へ血液を送る内頚動脈が閉塞するもやもや病、脳の動脈にコブができる脳動脈瘤も、頭が重いと感じさせる原因になることがあります。

もやもや病では手のしびれ、麻痺、言語障害、けいれんなどが見られる事があります。脳動脈瘤は破裂しないうちはほとんど症状は出ませんが、破裂するとくも膜下出血となるので脳ドックなどでの早期発見が大事です。

もやもや病
関連記事数: 6記事
脳動脈瘤
関連記事数: 44記事

受診の目安として以下のようなポイントが挙げられます。

  • 頭の重さが続き、ひどくなっている
  • 頭痛など、ほかの症状がある

このような場合には早めに受診を検討しましょう。

頭の重さの原因となる病気にはさまざまなものがありそれぞれ専門科目が異なるため、まずは受診しやすい近くの内科やかかりつけのクリニックなどで相談するとよいでしょう。

受診の際のポイントとして、いつから頭が重いと感じているのか、症状の程度、ほかの症状がある場合はどんな症状かなどを具体的に医師に伝えることが大切です。

日常生活上の原因によって頭が重いと感じることもあります。

寝不足や疲労で脳にストレスがかかると頭が重く感じることがあります。また、寝すぎも頭部の血管を拡張し、血管周辺の神経を刺激し片頭痛の原因となる事があります。

寝不足や疲労が原因のときには

寝不足や疲労を解消しようと、週末に寝だめをしたり、二度寝をしたりすることは避けましょう。空腹と寝すぎが重なって片頭痛由来の頭の重さを強くしてしまうことがあります。

できるだけ早寝早起きをし、規則正しい生活リズムを保つようにしましょう。

過度の飲酒で翌日まで頭の重さ、頭痛めまい、吐き気などが残ることがあります。アルコールを代謝する途中で生じるアセトアルデヒドという有害物質が原因です。

二日酔いのときには

アルコールの代謝機能を助けるアミノ酸、ビタミンB12が豊富なしじみ、まいたけなどを摂取するよう心がけるとよいでしょう。

カフェインも二日酔いを和らげる効果が期待できるといわれているため、コーヒー、お茶などを飲むのもよいでしょう。ただし、アルコールを分解する際には水分を多く必要とするため、水分不足に陥る可能性があります。二日酔いのときは、利尿作用の少ない飲み物(水、ノンカフェインの飲み物など)もしっかり取るようにしましょう。

精神的なストレスにさらされた状態は、頭部の血管が収縮しやすくなっています。そのため、頭が重いと感じることもあります。

ストレスが強いときには

ストレスの原因を取り除くように努めることも大事ですが、職場の人間関係など、自分1人では解決しがたい原因もあります。無理して解決しようとすることでかえってストレスが高じるリスクもあるでしょう。

そんなときは嫌なことを忘れ、趣味やスポーツでストレス発散するのもよい方法です。お稽古ごとなど、何か夢中になれる趣味を見つけるのも効果的な方法といえるでしょう。

肩や首のこりによって、頭が重いと感じることもあります。とくに1日中デスクワークをしている人などに多く見られる現象です。

肩や首のこりを改善するには

肩や首を冷やしすぎないようにしましょう。冬の寒さだけではなく、夏のエアコンのかけすぎも影響する事があります。冷気をできるだけ避けて、カイロや蒸しタオルなどで肩と首をゆっくり温めるのもひとつの方法です。

また、パソコン画面との距離は40cm以上離すようにし、目線は下になるように位置を調節する事も肩や首の負担軽減に効果があるといわれています。

デスクワークに没頭すると同じ姿勢のまま何時間も過ごしてしまいがちです。少なくとも1時間に1回は席を立つなどし、伸びをするようにしましょう。

症状がよくならないときには、一度病院を受診しましょう。思いもよらぬ原因が潜んでいることもあります。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。