物忘れ:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
物忘れは、年とともに誰にでも起こるものといわれています。しかし、その程度や進み方が速いなどの場合には注意が必要なこともあります。
こういった場合気をつけた方がよいこととは何でしょうか?
物忘れは年齢によって起こることもあれば、病気の症状のひとつとして起こることもあります。物忘れの症状が現れる主な病気には、以下のようなものがあります。
病気による物忘れのうち、認知症は大きな原因のひとつです。認知症には以下のような種類があります。
アルツハイマー型認知症は、認知症の原因としてもっとも多い病気といわれています。
初期には物忘れのほか、物事を段取りよく進めることができなくなる、物を盗られたという妄想などの症状が現れる場合もあります。数年単位で症状が進んでいくのが一般的です。
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの病気が原因となり起こるものです。ごく小さな脳梗塞などは自覚症状がなく気づかないこともあるため、ある日突然物忘れがひどくなったように感じられる場合があります。
レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症についで2番目に多い認知症といわれています。
違いとして、物忘れなどに加えて幻視や妄想など精神面での症状が強く現れる場合が多いことが挙げられます。
病気による物忘れといえば認知症と思いがちですが、物忘れの症状を起こす病気は他にもあります。主なものには以下のようなものがあります。
慢性硬膜下血腫は、脳をつつむ硬膜と脳の間に血が溜まる病気です。頭をぶつけたことで起こる場合がほとんどですがその場では症状がなく、じわじわと出血が続き、1〜2ヶ月など長い時間が経ってから症状が現れることがあります。また、血管がもろくなっている高齢者に多い病気であることも見過ごさやすい理由の一つといわれています。
物忘れなどの症状が急に進行し、1〜2ヶ月以内に頭をぶつけた心当たりがあればすぐに脳神経外科や救急外来を受診することが勧められます。
水頭症とは、脳や脊髄を保護している脳脊髄液が、なんらかの原因により過剰に貯留した状態を指します。認知症のような症状の他に、歩きにくい、尿失禁などの症状がおこることもあります。治療することが可能な病気であるため、早期発見が大切です。
甲状腺機能低下症は、「やる気ホルモン」ともいわれることのある甲状腺ホルモンの分泌が大きく減る病気で、女性がかかりやすいといわれています。
やる気が出ない、やたらと寒い、むくむ、などの症状が伴う場合が多く、心当たりがあれば一度内科もしくは内分泌科などへの受診を考えましょう。
うつ病はどの年代にも起こりますが、老年期の発症がもっとも多いとされています。基本的なうつ病の症状は、喜びの喪失、意欲の低下、思考力の低下などです。加えて、老人性うつの場合には原因不明の体の症状を感じる場合が多いといわれています。
認知症と区別がつきにくい場合も多く、疑わしい時には発症するきっかけとなるような環境の変化などがなかったか確認してみましょう。
病院に行く目安には、物忘れの程度がひどい、急激に物忘れが進む、物忘れだけでなく他の症状が伴っているなどが挙げられます。このような場合には一度受診を考えてみるとよいでしょう。
認知症の診断は、専門的には精神科や神経内科が行う場合がありますが、最近では「もの忘れ外来」などの専門外来を設置している病院もあります。かかりたい病院がある場合には何科にかかるのがよいか事前に問い合わせておくとスムーズです。また、どの病院にかかったら良いのかわからない場合には、科目によらず普段かかりつけの病院で相談してみるのもよいでしょう。
また受診時のポイントは、身近な人・ご家族の症状の場合には普段の様子をよく知っている人が一緒に受診することです。普段近くで見ているからこそ気づけることが診断の手がかりになることもあります。
日常生活に潜む物忘れの原因やその対処法には、以下のようなものがあります。
いわゆる認知症でなくとも、加齢によって多少の物忘れが生じる事は十分考えられます。日常生活に不自由するほどの程度でないか、物忘れをしている自覚があるかどうかなどがポイントといわれています。
ある程度の年齢の方であればあまり気にしすぎず、物忘れをなくそうとするよりもメモをとったり、写真に収めたり、忘れてしまっても大丈夫な対策をたてる方がよいでしょう。日常生活に支障をきたすような場合や、進み方が速いなどの場合は記事上部を参考にしてください。
症状がよくならないときには一度医師に相談して見ましょう。思いもよらない原因が潜んでいる場合もあります。