足が臭い:医師が考える原因と対処法|症状辞典

足が臭い

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

足の臭いは気になるものですが、汗をかいたり蒸れたりすれば臭いがあって当然だと思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、本来、かいたばかりの汗は無臭のため、足が臭いときには何らかの病気が隠れていることもあるのです。

  • 清潔にしているつもりなのに足の臭いがなかなかとれない
  • 足の臭いが気になる…足だけでなく全身の汗が臭う気がする
  • 足だけ汗を異常にかく気がする…なんだか臭いも気になる

といったときにはどのような原因が考えられるのでしょうか。

靴や靴下の問題や、清潔を保てていないことなどで足の臭いが発生している可能性もあります。

足の裏は汗をかきやすい部分で、靴や靴下によって密閉されることで高温多湿になり雑菌が繁殖して臭いが発生しやすくなります。

靴や靴下のケア

靴を脱いだ後は消臭・殺菌効果のあるスプレーをし、乾燥剤を入れて靴をよく乾燥させましょう。1日履いたら2日ほど休ませると清潔に保て、雑菌が繁殖しにくくなります。

長時間靴を履く時には、抗菌・防臭効果のあるものや木綿・麻素材の吸湿性の高い靴下を履いたり、こまめにストッキングや靴下を履き替えたりすることで臭いを減らすことができます。また、可能であればサンダルへの履き替えや、素足で過ごすことを増やし、通気性をよくして足が蒸れないように心がけましょう。

革靴やブーツなど通気性の悪い靴は足が蒸れるので、臭いが発生しやすくなります。

革靴などを履くときには

どうしても革靴などを履かなければいけないときには、毎日同じ靴は履かずにきちんと手入れをすることが大切です。

臭いの原因となる雑菌は角質の皮脂やタンパク質をエサにして繁殖するので、足が汚れていると臭いがしやすくなります。

足を清潔に保つには

足は不潔になりやすいので、毎日の入浴で足をしっかりと洗いましょう。特に爪の間や指の間は汚れがたまりやすくなるので、特にていねいに洗うようにします。角質を傷つけると水虫などの菌が入り込みやすくなるので、軽いしや角質とりの使用は控え、せっけんでていねいに洗うのが良いでしょう。

また、浴室の足ふきマットやスリッパなどは頻繁に洗ってよく乾燥させ、清潔に保ちましょう。

足の臭いがいつまでもよくならないときには病気が隠れていないか確認するためにも、一度病院を受診しましょう。

足の臭いが気になるときには、足に水虫などの原因がある場合や、糖尿病などの病気が隠れている場合があります。

足の臭いだけが気になるときは、水虫や足の多汗症などの可能性があります。

水虫

水虫とは、白癬(はくせんきん)というカビの一種が足などの皮膚に感染することで起こる病気です。手や体にも感染しますが、高温多湿で菌にとって過ごしやすい環境である足への感染が9割近くを占めます。

足の指の間や足の裏、土踏まず、かかとなどが赤くじゅくじゅくとして皮がむける、白くふやけてぶよぶよする、かゆみ、小さな水疱、乾燥、ひび割れなどの症状が見られます。感染者の皮膚からはがれ落ちた角質を素足で踏むなどし、その後、洗い流されず皮膚に残った菌が傷ついた角質に入り込んで繁殖することで発症します。不潔で高温多湿の状態で感染するので、足の臭いがしたら水虫にも注意が必要です。

水虫
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足蹠多汗症(そくせきたかんしょう)

多汗症とは汗の分泌が増加する病気で、全身で汗が増加する場合もありますが、手のひら、足の裏など限られた部位で汗が増加する場合もあります。外傷や腫瘍などによる神経障害が原因となることもありますが、原因不明の場合も多いです。

幼少期~思春期頃に発症することが多く、緊張すると多量の汗をかきます。重症の場合はしたたり落ちるほど発汗したり、何もしていなくても手足が湿っていたりする場合もあります。足が湿った状態にあると皮膚がめくれてくることもあり、細菌などの感染や臭いもしやすいです。

多汗症
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足だけでなく他の部分の臭いも気になるときには、糖尿病や肝臓の病気などが隠れている場合もあります。

糖尿病

糖尿病とは、インスリンの減少もしくは作用の低下によって、食事で摂取したブドウ糖をエネルギーにうまく変えることができずに血糖値が高い状態になる病気です。

不足したエネルギーを補うために、肝臓が中性脂肪を分解して脂肪酸を作り、脂肪酸からケトン体というエネルギーを合成します。このケトン体が甘酸っぱく、果物が腐ったような臭いがするので、糖尿病患者でケトン体が増えると汗からケトン体の臭いがすることがあります。その他の主な自覚症状は、尿が多い、のどが乾く、体重減少、疲れやすさなどです。病が進行すると網膜症や腎症、神経障害などの合併症を引き起こすこともあります。

糖尿病
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肝臓の病気

肝臓は、たんぱく質を分解する過程で生じるアンモニアという有害物質を無害な尿素に変えるはたらきがあります。

肝臓の病気でこの機能が低下すると、分解されずに残ったアンモニアの一部が汗に含まれて、ツンとしたアンモニア臭を放つことがあります。肝臓の病気はアルコールの摂りすぎや生活習慣などが原因で30~40代から発症しやすくなります。かなり進行しないと自覚症状が現れにくいですが、疲れやすさや肩こり、皮膚の黄疸、体重減少、むくみ、食欲不振などの症状が現れることがあります。

本来、汗は無臭なので、清潔にしていても臭いがなかなかとれない場合は何らかの病気が隠れていることもあります。なかなか臭いが改善されないときには、一度皮膚科を受診してみましょう。

医師にはいつ頃から臭いが気になるのか、皮膚症状(じゅくじゅく、カサカサなど)はないか、全身の症状(だるい、疲れやすい、体重減少など)、臭いの特徴(ツンとした臭い、甘酸っぱい臭いなど)等分かる範囲で詳しく伝えると診断の助けになります。

受診の目安

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • かゆみ、皮が剥ける、爪が白くなるなどの症状がある
  • 清潔や消臭を心がけてもよくならない

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 時間でよくなり、その後繰り返さない
  • 足にかく汗の量が多いと感じる
原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。