陰部がかゆい(男性):医師が考える原因と受診の目安|症状辞典
メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】
男性の陰部は下着やズボンに包まれている時間が長いため通気性が悪く、また陰毛によって蒸れやすい部分です。デリケートな部分であるため、人に相談しにくい人も多いかもしれませんが、かゆみに悩まされている人は少なくないでしょう。
これらの症状がみられた場合、原因としてどのようなものが考えられるでしょうか。
陰部のかゆみは、日常生活上の習慣が原因で引き起こされることがあります。原因となる主な習慣とそれぞれの対処法は以下の通りです。
下着や衣服による蒸れは汗疹の原因となるほか、高温多湿を好む病原菌が繁殖しやすくなります。下着の化学繊維や成分によっては相性が悪く、かぶれる場合もあるため、自分に合った成分の下着を身につけるようにしましょう。
通気性のよい下着(トランクスなど)を着用することや、ジーンズなどの厚手のズボンの着用を避けるようにしましょう。また、陰毛があると熱と湿気が溜まりやすいため、抵抗がない場合は陰毛をカットしたり、カミソリなどで脱毛したりすることもよいでしょう。
汗が溜まったままの状態にしていたり、洗浄が不十分で不潔にしたりしていると雑菌が繁殖しやすくなります。逆に、洗いすぎも皮膚の抵抗力を弱め、かゆみの原因となることがあります。
毎日入浴して下着を交換するようにしましょう。包皮の中や、しわが深い部分などは洗浄が不十分になりやすいため、念入りに洗うようにしましょう。陰部の皮膚はデリケートなため、刺激の強いスポンジやタオルで強く擦ることはしないようにしましょう。
日常生活上の対処法を講じても陰部のかゆみが改善しない場合は、思わぬ病気が潜んでいる可能性があります。軽く考えずに、なるべく早めに病院を受診して検査、治療を受けるようにしましょう。
陰部がかゆくなる原因には、大きく分けて皮膚に異常がある場合と感染症にかかっている場合の2つがあります。
陰部のかゆみは、以下のような皮膚の病気が原因のことがあります。
いわゆる、かぶれのことです。特定の物質が皮膚に触れることで、かゆみやヒリつきなどの炎症症状を引き起こします。皮膚の赤みや湿疹、ただれが現れることもあります。原因となる物質は人によって異なりますが、シャンプーや洗剤などの日用品や下着類が原因となることもあります。
汗が原因となってできる皮疹のことで、あせもとも呼ばれます。汗が分泌される汗腺が詰まって、皮膚の下に汗が溜まることで小さなブツブツが生じます。かゆみを感じることも多く、掻くと細菌感染が起こって、より大きな水疱や痛み、赤みを生じることもあります。
いんきんたむし(水虫)と呼ばれることもある病気です。原因菌である真菌が陰部に感染することで起こり、湿度と気温が高くなる夏場に多く発症します。また、周辺の皮膚が赤くなり、強いかゆみや痛みなどを生じます。陰部周辺だけではなく、太ももやお尻の辺りまで皮膚の変化が広がることもあります。陰嚢部には生じにくいといわれています。
ヒゼンダニ(疥癬虫)と呼ばれるダニの仲間が皮膚に寄生する感染症です。人から人へ患部が接触することで感染するため、家族内で感染することもあります。感染後1か月~2か月程度で激しいかゆみと赤い発疹が現れます。体中の角質層に卵を産みながら移動するため、陰部だけではなく手足や腹部などさまざまな部位に症状が現れることがあります。
陰部が発汗、蒸れ、摩擦などにより炎症を起こし、赤みやかゆみを起こす状態です。股部白癬と同様に汗のかきやすい夏場に生じやすいですが、症状が陰部の中でも陰嚢部におきやすいことが特徴です。
陰部のかゆみは、以下のような性感染症が原因となることがあります。
ケジラミと呼ばれるシラミの仲間が陰毛に寄生することによって起こります。宿主から離れて長く生きることができないため、性交時の陰毛の接触で感染することがほとんどです。かゆみが主な症状ですが、程度は個人差があります。また、下着にケジラミの排泄物である茶色い粉末がつくことも特徴です。
クラミジア・トラコマチスという細菌が原因の性感染症で、性感染症の中では日本で最も頻度が高いものです。目立った症状が現れにくいことが特徴で、気がつかないうちに感染が広がることもあります。男性の場合は陰部のかゆみや排尿時の痛みのほか、尿道から水っぽい白濁した分泌物がみられることがあります。
カンジダ菌と呼ばれるカビの仲間によって起こる感染症です。女性に多い病気ですが、陰部に汚れが溜まりやすい包茎の男性や、糖尿病やステロイド剤投与などで免疫力が低下している男性に起こることもあります。陰部のかゆみのほか、亀頭部や包皮に白いカスのようなものがみられたり、発赤や赤い発疹が現れたりすることがあります。
陰部の悩みはデリケートな問題であるため、なかなか人に相談しづらく、病院にも行きづらいかもしれません。しかし、中には治療を必要とする病気が原因になっていることもあるため、注意する必要があります。
特に、病原菌やダニの仲間の感染が原因になっている場合は家族やパートナーに感染させてしまう可能性もあるため、陰部の強いかゆみや尿道からの分泌物がみられる場合は、なるべく早めに病院を受診しましょう。
受診に適した診療科は泌尿器科ですが、子どもの場合はかかりつけの小児科でも診察してもらうこともよいでしょう。受診の際には、いつから陰部のかゆみが現れたのか、ほかに症状はあるのか、現在治療中の病気はあるのかなどを詳しく医師に説明することがポイントです。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。