頬のしみ:医師が考える原因と対処法|症状辞典

頬のしみ

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

一般的によくいわれるしみは、紫外線などの影響で、頬などに誰にでも生じます。しかし、実際には、一言にしみといっても、さまざまなものがあります。

  • 茶色いしみが増えてきて、美白化粧品を使用しているがよくならない
  • しみのように見えるけれど、少し盛り上がっている
  • 昔はなかったしみができ、濃くなってきた気がする

このようなときには、どのような原因が考えられるでしょうか。

日常生活上でしみができる主な原因は紫外線を浴びることです。

紫外線を浴びると、肌を守るためにメラニンという色素が作られます。皮膚の細胞は通常約28日周期で生まれ変わり、メラニンも同様に排出されていきますが、紫外線の浴びすぎや加齢などでメラニンが過剰につくられたり、うまく排出されなかったりすると、そのまま肌に残ってしみとなります。

上手な紫外線対策

しみを防ぐためには紫外線対策が効果的です。日傘の使用、帽子や長袖長ズボンの着用などで皮膚に届く紫外線をできるだけ減らし、日焼け止めをこまめに塗って肌を守りましょう。

夏場や天気のよい日だけでなく、冬や雨、曇りの日も含め一年中対策するのがおすすめです。

しみがなかなか消えないときには、病気が隠されていないか調べるためにも、皮膚科受診を検討しましょう。

頬にできるしみは、紫外線による良性のしみである場合と、皮膚の病気や皮膚がんなどである場合があります。しみを生じる代表的な病気は、以下の通りです。

雀卵斑(じゃくらんはん)肝斑(かんぱん)

雀卵斑は、いわゆるそばかすのことで、顔に薄茶色〜黒っぽい茶色の小さな斑点が広がります。

遺伝によるもので、幼児期からできはじめることが多く、成長とともに増えて思春期ごろもっとも濃くなる傾向があります。肝斑は、左右対称にほぼ同じ形や大きさでモヤッと現れる色素斑です。両頬や額、口の周辺などにできます。女性ホルモンや紫外線などが原因で、30〜40代に多くみられます。

老人性色素斑

長年の紫外線の積み重ねによってできる、平らで、まわりの皮膚との境界がはっきりした黒っぽいしみです。加齢によって皮膚の代謝機能が落ちて、紫外線によって作られた黒色メラニンが排出されないために生じます。

頬やこめかみ、手の甲など紫外線がよくあたる部分にできやすく、大きさは数mm〜数cm程度です。

しみの中でもっとも多いのがこのタイプです。30代あたりからしみが現れる頻度が増え、加齢とともにさらに増えてきます。

炎症性色素沈着

ニキビや傷、虫さされ、かぶれなどによって肌が炎症を起こした後、しみとして残ったものです。炎症の刺激により作られた黒色メラニンがうまく排出されないことで生じます。紫外線を浴びるとより色素沈着を起こしやすくなります。

年齢や性別に関係なく生じ、顔だけでなく全身にできることがあります。時間の経過とともに自然に消えていくことも多いですが、数年かかることもあります。

後天性真皮メラノサイトーシス

思春期以降の女性の頬や額、鼻などに数mm大の丸い色素沈着が点状に多発するものです。季節による濃さなどの変動が少ないのが特徴です。

一般的にいわれるしみとは異なり、肌の表面(表皮層)ではなく深いところ(真皮層)にできているため、一般的な美白剤などは効果がありません。

日光角化症

長年、紫外線を浴び続けることで起こる皮膚病です。60才以上の人の、紫外線がよくあたる顔や腕などに多くみられます。1〜2cm大で表面が少しカサカサした淡紅色〜濃い褐色の病変ができます。

ただのしみやかさぶたのように見えますが、皮膚がんのごく早期であると考えられており、放置すると有(きょく)細胞がんへ移行することもあります。

脂漏(しろう)性角化症

中年以降に多いしみやイボのように見える良性の病変です。黒褐色で盛り上がっており、表面が少しざらついているのが特徴です。

数mm~数cmの円形か楕円形の病変が増殖していきますが、特に害はなく、がん化することもありません。皮膚のどこにでもできますが、顔や体幹にできることが多い変化です。

太田母斑(おおたぼはん)

太田母斑はアザの一種で、青紫色〜灰紫青色をしており、薄い褐色の小さい斑が混在します。頬や額、目の周りなど、顔の片側に生じることが多いです。

生まれつき存在することはまれで、生後半年以内にできることが多いです。大人になってからできることもあり、色調によってはしみと間違えられることも少なくありません。

がん(悪性黒色腫、基底細胞がん)

皮膚がんの中には、シミのように見える病変ができるものもあります。

悪性黒色腫は、メラニン色素を作り出すメラノサイトががん化したものです。悪性度が高く転移しやすいタイプの皮膚がんで、黒褐色のしみやしこりとして生じます。一般的な特徴としては、左右非対称で不規則な形をしている、まわりの皮膚との境界がはっきりしない、色に濃淡がある、大きさが6ミリを超えている、などが挙げられます。顔面のものは紫外線の影響で発生します。

基底細胞がんは、もっとも多いタイプの皮膚がんで顔面に好発します。中年以降に多く、局所で増殖はしますが転移することはほとんどありません。病変はほくろにも似ていますが、青黒く、表面に光沢を持ち、硬いという特徴を持ちます。

頬のしみが急激に増えた、濃くなった、大きくなったような場合には、一度皮膚科への受診を検討しましょう。また、盛り上がっている、表面がでこぼこしているような場合には、いわゆるしみではなくなんらかの病気である可能性も考えられます。早めに受診を検討しましょう。

受診する際には、しみがいつ現れたのか、増えているのか、色に変化はあるのか、といったことを医師に伝えるとよいでしょう。

受診の目安

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 短期間で明らかに増えている、広がっている
  • 色にムラがあり、サイズが大きい
  • 表面がただれたり、でこぼこしている

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 数年以上変わらないが、見た目が気になる
原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。