前回の記事では、「不育症の原因」についてお話ししました。今回は不育症の検査の内容、どのような方に検査が推奨されるのかについて、国立医療研究センター 妊娠免疫科 医長の小澤伸晃先生にお話を伺いました。
流産が3回以上になると、治療前後での妊娠の成功率に差が出てくることが分かっていますので、検査を受けることが推奨されます。1回の流産でも心配されて検査を希望される方がいますが、その場合は再度早めに妊娠をすることを勧めています。流産を2回繰り返した反復流産の場合は難しいですが、年齢やこれまでの経緯を考え、本人の意見も聞いて、検査の適応を判断しています。
また、これらの検査はあくまでも不育症の方のための検査であり、不育症の方にとって「検査をして治療をすれば子供を授かることができる可能性がある」というものです。
つまり不育症ではない方、たとえば妊娠したことがない方などが「念のために行う検査」ではありませんし、仮にこの場合に異常があっても治療すべきか明らかではありません。
そのため「この検査を受けて治療をすれば、流産を防げるだろう」という考えから検査を受けにくる方もいらっしゃいますが、そうではないということには注意が必要です。
流産・出産・流産を交互に経験した方の場合、基本的には連続した流産が不育症の定義となりますので、検査は推奨はされません。また、一度出産を経験したことがある方は、やはりその後流産を経験しても、再度子供を授かる可能性は高いです。
原因不明の死産の場合は、たとえ1回であっても検査を行うことがあります。
赤ちゃんが順調に成長していた中で死産が起こるとすると、臍帯(さいたい)が絡んでしまうなどの偶発的な出来事が原因となることが通常は多いですが、胎盤の問題があったり、原因が不明な場合には、不育症検査を行います。
子宮内腔(内側)に造影剤を注入し、子宮の形に異常がないかどうかを調べるレントゲン検査です。一般的に、生理後すぐに行います。必要に応じて、子宮鏡検査やMRI検査を行うこともあります。
検査の項目や保険適応にするか否かは各病院で設定しているため、病院によって検査費用は異なっています。国立成育医療研究センター病院では、すべての検査を行う場合約6〜7万円程度かかります。しかし、すべての検査項目を行わない場合もありますので、医師との相談が重要になります。
国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター妊娠免疫科医長
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