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インタビュー

妊娠糖尿病とはどのような病気?

妊娠糖尿病とはどのような病気?
杉山 隆 先生

愛媛大学大学院医学系研究科産科婦人科学教授

杉山 隆 先生

妊娠糖尿病」という病気をご存知ですか。女性の体は、妊娠すると食事などにより摂り込んだ糖の代謝をスムーズに行いにくい生理的な変化が生じます。本来、この変化はお母さんのお腹の中の赤ちゃんの発育にとって有益です。しかしながら、このような妊娠による体の変化に、日本人ゆえの遺伝的背景に加え、現代日本ならではのライフスタイルの変化が重なり、近年「妊娠糖尿病」を患う女性が増加しています。妊娠糖尿病とはどのような病気で、胎児や妊婦さんにはどのような悪影響があるのか、愛媛大学大学院医学系研究科産科婦人科学教授の杉山隆先生にお伺いしました。

妊娠糖尿病は、「妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常」と定義されます。糖代謝異常とは、食事などにより摂り込んだ糖(主にブドウ糖)を、スムーズに体内で分解してエネルギー源へと変換できない状態を指します。

「糖尿病に至っていない糖代謝異常」と定義されているように、妊娠中の明らかな糖尿病は、今回お話しする妊娠糖尿病には含まれません。また、妊娠前から糖尿病を患っていたというケースも妊娠糖尿病には当てはまりません。こちらは「糖尿病合併妊娠」と呼ばれ、妊娠糖尿病とは区別して扱われます。

つまり、妊娠前や妊娠中の明らかな糖尿病であると診断されたというほど重症ではない方でも、妊娠糖尿病には該当する可能性があるのです。

妊娠糖尿病と診断される妊婦さんは、近年日本で増加しています。その理由のひとつには、食生活や運動量の変化など、妊娠可能な若い女性のライフスタイルの変化があります。また、大きな原因として、「妊娠糖尿病の診断基準」が厳しくなったことが挙げられます。まずは、2010年に改訂された診断基準についてご説明します。

妊娠糖尿病かどうかを診断するための検査では、75gのブドウ糖を口から摂取し、摂取前、接種から1時間後、2時間後の血糖値を測定します。これを「75g経口ブドウ糖負荷試験」といいます。この試験で次の3点のうちいずれか1点以上に該当した場合は、妊娠糖尿病であると診断されます。

  • 空腹時血糖値≧92mg/dL
  • 1時間値≧180mg/dL
  • 2時間値≧153mg/dL

先にも述べたように、妊娠糖尿病の診断基準は2010年の改訂を機に厳しくなりました(妊娠糖尿病と診断される範囲が広くなりました)。

診断基準が厳しくなった理由は、2008年に大規模な妊娠糖尿病の研究が行われ、妊娠中の「軽度」の耐糖態異常(※耐糖能:血糖値を正常に保つための作用)が、母体と胎児、そして生まれてきた新生児にも悪影響をもたらすということが明白に示されたからです。

たとえば、妊婦さんは流産妊娠高血圧症候群などの合併症のリスクを、胎児は過剰発育や子宮内胎児死亡といった合併症のリスクを負うことになります。また、生まれてきた赤ちゃんは、成長期に入ってから肥満やIGT(耐糖能異常)、糖尿病になりやすいということもわかっています。

 

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