インタビュー

小児消化器疾患の展望 小児消化器内視鏡検査を通して

小児消化器疾患の展望 小児消化器内視鏡検査を通して

東京都立小児総合医療センター 消化器科 非常勤

村越 孝次 先生

大人の場合、消化器内視鏡検査は健康診断でも行うくらい身近な検査になってきています。しかし子どもが内視鏡検査を行うというとなかなかイメージが湧かないかもしれません。子どもにも腹痛、下痢、嘔吐など消化器に関するトラブルは数多くありますが、実際の小児消化器内視鏡検査はまだ発展途上です。今回は、年間300~400件近くの小児消化器内視鏡検査を行っている国内有数の小児専門医療施設である、東京都立小児総合医療センター消化器科の村越孝次先生にお話を伺いました。

小児消化器科とはその名の通り、小児を対象にした消化器の病気を診療する専門科のことをいいます。あまり聞いたことが無いという方も多いかもしれませんが、実際に小児消化器科を標榜している施設がいくつかあるものの、それを専門にされている先生は多くはありません。

さらに、小児における消化器内視鏡の標準的な検査法が統一されているわけでもなく、検査を実施している医師数も少ないため、発展途上段階といった面が否定できません。小児消化器科はすでに確立しているものではなく、これから小児医療全体で作り上げていくイメージといえるでしょう。

内視鏡とは、体の中を検査・診察するために使われる医療器具のひとつです。細い管状に作られており、口や鼻、肛門などから内視鏡を挿入し、先端についている小型カメラなどの撮影器具が消化管内の様子をしっかりと写し出します。

内視鏡は、検査を目的として使用する他にも、処置・治療(例として、止血術、ポリープ切除術など)を行うことも可能です。子どもの場合は、大人よりも体格が小さいため、大人に使用するよりも細い内視鏡を使います。

上記の通り、子どもは大人よりも体格が小さく、喉も細いため、内視鏡検査自体に技術を必要とします。そのため、医師側に十分な経験と技量が求められます。子どもは内視鏡検査に対する不安やストレスを感じやすいことや、検査中に動いてしまうことによる危険から、鎮静(薬で眠らせること)や、手術に準ずる浅めの全身麻酔が必要になることもあります(※手術ほどの深い麻酔をすることはありません)。

鎮静の方法は施設によって考え方や設備も様々で、現在統一されたものはない状況です。全身麻酔下では、内視鏡検査が安全にできるとはいえ麻酔自体の危険性を伴うという問題もあります。ただ、東京都立小児総合医療センターの場合は、子どもの麻酔が可能な施設であるという利点があるので、可能な限り麻酔科と協力して全身麻酔下での内視鏡検査を行うようにしています。

このような子ども特有の難しさのため、子どもを診ている医師自身も内視鏡検査へのハードルが高くなり、大人と比較してなかなか検査ができない状況下にあります。また親御さんも、鎮静や全身麻酔が必要な検査となると、内視鏡検査に対する心理的なハードルが高くなってしまいがちです。そのハードルのため、本当は内視鏡検査が必要なのに検査をすることに躊躇してしまい、そのうちに病状が悪くなり、治療が遅れてしまうという場面にもたびたび遭遇します。ですので、私たちはできるだけ医師側にも患者さん側にも、消化器内視鏡検査に対する心のハードルを下げていただきたいと考えています。

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