インタビュー

強皮症の原因-原因となりうる3つの異常とは

強皮症の原因-原因となりうる3つの異常とは
佐藤 伸一 先生

東京大学 医学系研究科皮膚科学 教授、 東京大学医学部附属病院 副院長

佐藤 伸一 先生

この記事の最終更新は2016年04月18日です。

「強皮症とは-皮膚や内臓に硬化や線維化が起こる病気」では、強皮症についてご説明しました。強皮症の原因は十分に解明されていませんが、3つの異常が関係しているということが少しずつわかってきました。原因となりうる3つの異常と、強皮症は遺伝するのかについて東京大学医学部皮膚科学教室 教授 佐藤伸一先生にお話しいただきました。

強皮症の原因は、多くの医師や科学者などが研究を行っていますが、その病態は十分には解明されていません。しかしながら、以下の 3 つの異常が病因と深く関連していると考えられており、これらを結びつけることで近い将来解明されることが期待できます。

線維芽細胞の活性化

線維芽細胞は、皮膚などでコラーゲンという成分を合成している細胞のことをいいます。強皮症ではこの線維芽細胞が活性化、つまりコラーゲンの合成が高まっているとわかっています。

血管障害

血管の壁をおおっている血管内皮細胞を障害するなんらかの因子が強皮症の患者さんの血液中にみつかったという報告がありました。このような血管障害が原因のひとつではないかと考えられています。

免疫異常

抗核抗体とは、自己の細胞の核に反応する抗体です。一般的に膠原病の患者さんではしばしば抗核抗体がみられますが、強皮症では患者さんの約90%に抗核抗体がみられます。抗体を産出する免疫のしくみに異常があると考えられています。

上記の3つの異常について現在推測されていることは、免疫異常が最初に発生するということです。これまでの研究から、免疫異常を強力に抑制すると、血管障害や線維化(線維芽細胞の活性化)が改善されることがわかったからです。この事柄を受けて、強皮症は免疫異常をベースに起こっているという考えが近年のコンセンサス(同意)になりつつあります。しかしながら、免疫異常からどのように血管障害が起こるのかはわかっていません。今後も研究を進める必要があります。

強皮症は遺伝しません。ただし、強皮症にかかりやすいかどうかを決定する遺伝子(疾患感受性遺伝子といいます)は存在すると考えられています。しかしながら、これら疾患感受性遺伝子は一個ではなく、多数存在し、一つだけをもっていても強皮症にはなりません。多数ある疾患感受性遺伝子のセットを一人の人が、たまたまもっていると強皮症になりやすいと考えられますが、それでもまだ遺伝子が原因であると断定するには不十分です。これら疾患感受性遺伝子に加えて、生まれてからの環境なども強皮症の発症に複雑に関与すると考えられています。

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    佐藤 伸一 先生

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    日本医科大学 大学院医学研究科アレルギー膠原病内科学分野 大学院教授 、日本医科大学付属病院 リウマチ・膠原病内科 部長、強皮症・筋炎先進医療センター センター長

    くわな まさたか
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