インタビュー

健康診断-適切な検査を、適切な頃合いに

健康診断-適切な検査を、適切な頃合いに
徳田 安春 先生

群星沖縄臨床研修センター センター長 、東京科学大学 臨床教授、獨協大学 特任教授、琉球大学 ...

徳田 安春 先生

Choosing Wisely

この記事の最終更新は2016年05月29日です。

年に一度の健康診断の受診は多くの方に経験があると思います。健康診断には病歴についての問診や身体診察、検査があります。(がん検診が行われることもあります。)

健康診断によって、個人が最善の医療を受けていることを医師が確認するのは大切なことです。しかし、健康的な人々にとっては毎年受診をする必要性がないケースもあり、利をもたらすよりむしろ悪い影響を与えてしまう可能性もあるのです。以下にその理由を解説していきます。

健康維持のため、医師は血液検査や尿検査、心電図などの検査を行うかもしれません。しかし、時にこれらの検査は、健康で病気のリスクを持たない人にも行われています。

毎年の健康診断がもたらす効果についての研究が進められています。一般的には健康診断を受診することが、必ずしも健康でいて長生きできることに繋がるわけではないようです。入院を回避し、がんや心臓の病気で死んでしまう危険から守ることはできないのです。

何かしら症状があったり、病気のリスクを持つ人は健康診断やがん検診を受けるべきです。

必要のない検査によって時に誤った警告がされることがあります。それは不安を駆り立て、さらなる必要のない検査や治療へと繋がってしまいます。

例を挙げるならば、血液検査による偽陽性反応(病気がないにも関わらず、検査が陽性とでてしまう)により、組織の生検を受ける必要性が生じたり、誤った心電図結果の判断で放射線被曝を伴うような追加検査を行うことにつながります。検査を受けた人達の中でも100人に2人の割合で、心臓発作や死を招くリスクを抱える処置を受けていることが明らかになっています。

アメリカの社会福祉制度では年に3億ドル(日本円で約330億円)を必要性の低い健康診断の検査につぎ込んでいると言われています。その上、再検査や治療のためにさらに10億ドル (日本円で約1100億円)以上ものお金がつぎ込まれているのです。

診察を受ける際、医師は以下を調べます

  • 治療の必要な状態にあるか
  • 病気のリスクをもつか

検査後いつ再検査を行い、予防策をとるべきかを助言します

医師は一度の診療でいくつかの治療を施すことができます。例えば、インフルエンザの注射を受けにいった際に、新しく服用している血圧の薬の具合もみることができます。

医師がもし例年通りの健康診断を勧めてきたら、必要かどうかを聞いてみると良いでしょう。または他の理由で受診する際や、検査を受ける見込みがあればその時まで健康診断を延期できないか聞いてみましょう。

  • 体調が悪い
  • 病気の症状が出ている
  • 慢性の症状が続いている
  • 新しい薬の効果を調べる
  • 喫煙や肥満などのリスクをもっている
  • 妊娠中で母体を調べる
  • 若年層に診られる日常生活での問題、家族計画、性感染症などの予防や健康的な食生活のため
  • 個人で必要性を感じたとき

 

長期間、健康診断やがん検診を受けていない場合も、それらの受診が大切になってきます。その場合、信頼できるかかりつけの医師に診てもらうのが良いでしょう。

予防は大切です。かかりつけの医師をもつと予防策に関する助言をもらえるかもしれません。

下記に書かれた予防注射やスクリーニングの受診をおすすめしています。

以下の推奨は健康な大人に対してのものです。もし、あなたに病気のリスクがあったり慢性の病気にかかっていたりするのであれば、異なる検査や頻回の検査が必要になるかもしれません。医師とよく相談し、あなたに見合った検査、日程を組みましょう。

・血圧測定

ほとんどの人が1年から2年おきに受けるものです。

子宮頸がん検診

21才〜65才の女性は3年おきにパップテスト(子宮頸がん検診)とヒトパピローマウイルス検査を受診しましょう。

35才から両方の検査を同時期に受けた場合、次の検査は5年後で大丈夫です。

・コレステロール検査

35才以上の男性また45才以上の女性で心臓疾患のリスクを持っている方は、少なくとも5年に一度の検査をお勧めします。

糖尿病検査

糖尿病にかかるリスクをもっている人は3〜5年おきに受診しましょう。

マンモグラフィ乳がん検診

50~74才の女性は1〜2年おきに受診しましょう。

高齢の女性や40代女性は担当医師とリスクについて話し合いましょう。

大腸がん検診

50~70才、または家系的に大腸がんで亡くなられた方がいる場合は、若年層の方でも10年ごとに大腸内視鏡検査を受けましょう。または毎年の便潜血検査、あるいはS状結腸鏡検査を5年おきと便潜血検査を3年おきに受けましょう。

骨粗しょう症検査

50~65才の女性で骨粗しょう症の危険因子をもつ場合、または65才以上の女性は受診しましょう。65才以上の男性はまず担当医に検査の必要性があるかどうかを確認してみましょう。

腹部大動脈瘤検査

65~75才の男性喫煙者は直ちに受診しましょう。検査結果が異常と出た場合、定期的な検査が必要となってきます。

 

※本記事は、徳田安春先生ご監修のもと、米ABIMによる “Choosing Wisely” 記事を翻訳し、一部を日本の読者向けに改稿したものです。

翻訳:Choosing Wisely翻訳チーム

監修:小林裕貴、徳田安春先生

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  • 群星沖縄臨床研修センター センター長 、東京科学大学 臨床教授、獨協大学 特任教授、琉球大学 客員教授、筑波大学 客員教授、聖マリアンナ医大 客員教授、総合診療医学教育研究所 代表取締役、Choosing Wisely Japan 副代表、Journal of Hospital General Medicine 編集長

    徳田 安春 先生

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