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胃の内視鏡検査(胃カメラ)とはー検査内容や検査でわかることとは

胃の内視鏡検査(胃カメラ)とはー検査内容や検査でわかることとは
高橋 大介 先生

財団法人同友会 ライフメディカル健診プラザ 院長

高橋 大介 先生

胃がんは長年日本人の罹患率が高く、治療だけでなく検査の分野においてもさまざまな技術が進歩してきました。そのなかで、今最も精度の高い検査として注目されているのが胃の内視鏡検査です。

近年はその有用性が認知され、健康診断や人間ドックなどのがん検診では従来のバリウム検査と並び、胃がんの内視鏡検査が選択できる施設が増えてきています。

今回は胃の内視鏡検査でどんなことを知ることができるのか、内視鏡検査を受けるにあたって気になる検査時間や痛みなどについてライフメディカル健診プラザ院長の高橋大介先生にお話しいただきました。

胃の内視鏡検査とは、口や鼻から内視鏡の細い管を通し、胃の内部をカメラに映すことによって病変や異変がないかどうかを確認する検査です。現在は胃がん検査のなかで最も精度の高い検査の1つとして、健康診断や人間ドックの際のがん検診にも多く取り入れられています。

胃の内視鏡検査は、「上部消化管内視鏡検査」が正式名称です。現在はリアルタイムで胃の内部を動画として観察、記録もデジタルい行う、内視鏡(電子スコープ)が用いられます。

しかしもともとは胃の中で写真を撮影し、そのフィルムを現像に出さなければ中の様子をみることができない、まさしく「胃の中を撮影するカメラ」を用いた検査でした。道具や技術に大幅な進歩があり、フィルムカメラではなく、ビデオカメラを使用する現在ですが、わかりやすく患者さんに伝えるために内視鏡検査のことを「胃カメラ」と呼ぶこともしばしばあります。

次に胃の内視鏡検査で実際に何がわかるのかについて説明します。

そもそも胃の内視鏡検査の目的は胃がんの発見はもちろんのこと、胃がんの原因となる胃炎や粘膜の萎縮を早期に発見し、がん化する前に治療することです。

胃がんの原因はその98%がピロリ菌によるものだといわれています。内視鏡検査時に胃炎や粘膜の萎縮などそれらしい傾向が見受けられた場合には、その場でピロリ菌の検査(オプション)を行うこともできます。

胃がんとピロリ菌の関係については記事3『胃がん予防のために-内視鏡検査受診の頻度はどれくらいが適切?』で詳しくお話ししています。

また胃の内視鏡検査では、胃がん以外の疾患が発見されることもあります。内視鏡が通過する食道・胃・十二指腸をすべてみることができるので、胃以外の他の部位でがんが発見されることもありますし、逆流性食道炎などがん以外の疾患を見つけることもあります。

さらに当院では経鼻挿入といって内視鏡を鼻から挿入する手法を勧めていますので、経口挿入(口から内視鏡を挿入すること)と比べて、喉頭・咽頭もかなりしっかりとみることができます。そのため、まれに検査中に喉頭がん咽頭がんなどを発見することもあります。

さらに胃の内視鏡検査では、ポリープや赤みなど何らかの疾患の疑いがある部位の組織をその場で採取し、検査に出すこともできます。内視鏡検査はいわゆる画像診断のツールで、視覚的にしか病変をみることはできません。そのため、必要に応じて病理学的な検査を併用することによって、さらに明確に診断がつくこともあります。

たとえば胃の一部が隆起しているとき、これが単なる良性のポリープなのか、悪性のがん腫瘍なのか視覚的にみただけではわからないケースがあります。このような際にその部分の組織を採取し病理学的に検査することで、早期に疾患を特定し、より効果的な治療方針を定めることができます。

このように組織の一部を採取して、病理学的な検査を行うことを生体検査(生検)といいます。

薬

次に、胃の内視鏡検査受診の際の大まかな流れについて説明します。

当院では検査時に胃の中を空の状態にするために、検査前日は夜9時までに食事を済ませるようにお願いしています。また当日の朝は朝食を摂らずにお越しいただき、検査を行います。このとき、水分は当日の朝まで飲んで構いません。

当院では高血圧心筋梗塞喘息など、その方の健康にとって大切な薬は当日の朝まで服用してから来院いただいています。服用から2時間経過していれば、検査にも差し障りないものと判断しているからです。

また以前は抗血栓薬や抗凝固薬など、血液を固めない作用を持つ薬を服用している場合、内視鏡挿入時に内部に傷がついて出血があると血が止まりづらくなるため、内視鏡検査前に一時的に服用を中止していました。しかし、2012年の日本消化器内視鏡学会ガイドラインの改正により、内視鏡の検査時にはこれらの薬の服用を中止しなくてよいということになりました。これは、心房細動などの疾患で抗凝固薬を服用している患者さんが薬の服用を中止してしまうと、かえって大きな疾患につながりかねないという懸念があるためです。

ただし当日朝の血液検査で血液の凝固能を調べ、薬が効き過ぎてしまっていると判断された場合は、その日の内視鏡検査を中止するケースもあります。

胃の内視鏡検査は、実際に内視鏡が体内に入っている時間自体はそう長くありません。所見(気になる部分)がなければ5〜10分で完了してしまうこともあります。組織を採取する生体検査を行うことになった場合でも10〜15分程度で終了します。

しかし、内視鏡検査はスコープ挿入前に喉や鼻に局所麻酔をかける必要があります。麻酔が効いてくるまでには少し時間がかかるので、その待機時間を考えると、全部で喉で5〜10分、鼻で10〜15分ほどかかります。

また、胃の内視鏡検査は健康診断・人間ドックのなかでは最後に行われます。その理由は、内視鏡検査では胃の中に空気を入れて観察するからです。健康診断で行われる超音波検査・胸のレントゲンなどは、胃に空気が溜まっていると鮮明に映りません。そのため、これらの検査を先に行ってから、最後に内視鏡検査を行う流れになっています。

胃の内視鏡検査は喉周りに麻酔をかけて行いますので、検査後はじめての食事前に麻酔がきちんと切れているかどうかの確認をしましょう。具体的はまず水を飲んでみて、むせることなく飲み込めるかどうかを確認します。また検査後の食事に関しては、生体検査を行ったかどうかによっても指導が異なります。

生体検査では組織の採取を行うので、胃の表面に多少の傷がついていることが考えられます。そのため、検査後は2時間ほど時間を空けてから食事をとりましょう。消化のよいもの選んで食べることをお勧めしています。また、血流をよくしてしまうと再出血のリスクも上がるため、アルコールの摂取は1〜2日ほど控えるようにしましょう。

生体検査を行わなかった場合は、検査後1時間経過すれば、食事をして構いません。しかし、この場合も消化のよいものを選ぶほうがよいでしょう。

疑問

内視鏡検査は「痛い」「苦しい」のではないかと、不安に思う患者さんも多くいらっしゃいます。しかし、実際は痛みを感じることはほとんどありません。なぜなら、実際に内視鏡を挿入する喉・鼻には事前に麻酔をかけてしまうからです。

内視鏡検査を行う際は喉や鼻には麻酔がかかるので、痛みを感じることはありません。ではスコープの通る消化器官内は痛みを感じないのでしょうか。

内視鏡検査でスコープが通過する消化管に痛みが生じることはまずありません。またスコープ通過時の痛みだけでなく、生体検査目的で、胃の中の組織の一部を採取でも消化管は痛みを感じません。

その理由は消化管には痛みの神経が通っていないからです。そのため内視鏡は、その目的が検査であれ、治療であれ、全身麻酔をかけずに行えます。私たちが日頃「胃が痛い」「お腹が痛い」と感じるのは、実際のところ消化管の痛みではありません。お腹周りの血流が悪くなったり、消化管を包んでいる腹膜が引っ張られたり、お腹の筋肉が急激に動いたりという消化管の周りで大きな変動が起きたときに、お腹に痛みを感じるのです。

ですから内視鏡検査を受けてお腹の中に痛みを感じることはありません。敏感な方であれば、生体検査の際にはお腹の中を引っ張られる感覚、ツンと突かれる感覚がわかる方もいますが、ほとんどの方はそれさえも感じずに検査が済んでしまいます。

内視鏡検査が苦しいと感じるのは、喉の反射が強いためです。人の喉には異物を体内に入れないために咽頭反射という生理現象が備わっています。この咽頭反射は人によっても強さが異なります。耳鼻科に行って扁桃腺をみせるとき、歯医者で口を大きく空けて舌を押されたときなどに「オエッ」となりやすい方は、内視鏡検査でも苦しいと感じてしまうかもしれません。実は私自身も咽頭反射が強いほうなので、口から入れる経口挿入の内視鏡検査を受ける際には大変苦しい思いをしました。

そこで近年はその苦しさを極力感じない方法として経鼻挿入や鎮静剤の導入も行われています。胃がんの内視鏡検査はその方にあった方法で行えば、バリウム検査以上に楽に検査を受けられることもあります。これについては記事2『胃がんの内視鏡検査(胃カメラ)痛み・苦痛を軽減する経鼻挿入とは?』で詳しく述べていきます。

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