胆道がんは胆のうがんと胆管がんの総称です。がんのなかではめずらしいものですが、早期発見が難しく発見時にはすでに進行している場合も多くあります。根治は手術のみとなり、抗がん剤などの化学療法や、放射線療法は効きにくいという特徴があります。胆道がんが早期に診断できるパターンや治療法、特に胆道がんの新たな内科的治療である光線力学療法(PDT)などについて、山下病院 名誉院長 乾 和郎先生にお聞きしました。
胆道がんは、胆汁を濃縮し貯蔵するはたらきのある胆のうにできる胆のうがんと、胆汁をつくりだす肝臓とそれを使う十二指腸をつなぐ胆管にできる胆管がんの総称です。胃がんや大腸がんと比べると比較的めずらしいがんで、1万人に1人の割合で生じます。
後述するように、胆道がんのなかでも胆管がんは早期発見が難しく初期に自覚症状がなかなか現れません。がん発見時にはすでに進行していることが多々あります。そのため、胆管がんは難治性で予後不良のがんであることが知られています。
胆道がん(胆のうがん・胆管がん)の検査は、はじめに超音波検査を実施します。特に胆のうはエコーで状態をみやすいため、ポリープがある、胆のうの壁が厚くなっているといったがんの兆候があると早期に発見できます。また、胆のう炎を起こしたときに胆のうがんは発見されることもあります。
超音波検査は簡単な検査で実施が容易ですから、ぜひ検診を受けてください。
一方、胆管がんは早期発見が困難です。その理由は2つあります。1つ目は胆管が十二指腸などに隠れてエコーやCTで見えない部分があること、2つ目は進行の早いがんであることです。
胆管がんは、MRCPというMRIを用いた検査であれば発見することができますが、この検査は費用や時間がかかり、定期的に受けることは難しいかもしれません。そのため実際の臨床現場では、エコーで胆管が少し太くなっているなどの胆管がんの兆候らしきものがみられた場合にのみ、MRCPで詳しく検査します。
しかしながら、まれにがんによって胆汁の流れが滞ることで肝機能の低下や黄疸が現れ、早期に胆管がんを発見することができることがあります。
胆道がん(胆のうがん・胆管がん)は、2017年現在、手術が根治の可能性のある唯一の方法です。そのため、胆道がんは患者さんの体力的な問題など、手術可能な条件が整えば積極的に手術を実施します。
胆道がんは抗がん剤や分子標的薬といった化学療法、また放射線療法も効果が現れにくいがんです。黄疸を治療するために胆道ドレナージで体内の胆汁を排出する治療は行われますが、これはがんそのものの治療にはなりません。
化学療法や放射線療法は、手術による切除が不可能である場合に、実施されることがあります。
近年では、実施例が少数ではありますが光線力学療法(PDT)が胆道がん(胆のうがん・胆管がん)に対し有効であるとの報告が出てきています。
光線力学療法とは、光に反応する物質(光感受性物質)ががん細胞に特異的に集まる性質を利用し、光感受性物質を事前に投与し、その後レーザーを用いて選択的にがん細胞にはたらきかけて治療を行うものです。
この治療を2012年までに実施した8例において、平均生存期間は18.4か月となっており、効果があるのではないかといわれています。本治療はまだ臨床研究段階のため、実用化には至っていませんが、うまく実用化されれば胆道がん(胆のうがん・胆管がん)の内科的治療が変わるかもしれません。
胆道がん(胆のうがん・胆管がん)は難しいがんではありますが、特に胆のうがんの場合は早期発見できれば胆のうの切除によって根治ができる可能性が高まります。胆管がんであっても、手術可能な段階であれば根治が望めます。ですから、決して諦めずに主治医の先生とよく相談して、今後の治療を検討してください。
山下病院 名誉院長
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