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DCIS診療の課題と展望 第26回日本乳癌学会学術総会レポート
去る2018年5月16日(水)〜18日(金)、国立京都国際会館(京都市左京区)にて第26回日本乳癌学会学術総会が開催されました。本学会では、連日プレスリリースが実施され、注目演題の概要や乳がん領...
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DCIS診療の課題と展望 第26回日本乳癌学会学術総会レポート

公開日 2018 年 06 月 25 日 | 更新日 2018 年 08 月 10 日

DCIS診療の課題と展望 第26回日本乳癌学会学術総会レポート
メディカルノート編集部 [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

目次

去る2018年5月16日(水)〜18日(金)、国立京都国際会館(京都市左京区)にて第26回日本乳癌学会学術総会が開催されました。本学会では、連日プレスリリースが実施され、注目演題の概要や乳がん領域におけるトピックが発表されました。座長は大会長である戸井雅和先生(京都大学大学院医学研究科外科学講座 乳腺外科学教授)が務められました。

本記事では、社会医療法人博愛会相良病院の相良安昭先生の発表をお伝えいたします。相良先生の執筆したDCISに関する論文はJournal of Clinical OncologyにてBEST OF JCO 2016に選ばれ、それからDCISの診療は世界的に大きな研究課題となるほど大きな影響を与えています。

増加するDCISの患者数

乳がん検診の普及とともに、DCIS(非浸潤性乳管がん)と診断される方が増加しています。DCISとは、がん細胞が乳管のなかにとどまっていて、転移の可能性のない乳がんのことです。

下のグラフからも、乳がん検診が開始されてから近年まで、DCISの患者数は増えていることがわかります。しかし一方で、腫瘍径の大きな進行がんの患者数はそれほど減少していません。つまり、乳がん検診の普及とともに、乳がんの過剰診断が増加してきているのではないかという現状があります。

DCISに手術を行うことで生存率は改善するか

DCISは増殖能によって「低異形度・中異形度・高異形度」と分類でき、低異形度であれば40〜85%で手術をしなくても浸潤がん(がん細胞が乳管外に出て転移の能力を持つこと)には発展しないという報告がされています。しかしガイドライン上、すべてのDCISで「乳腺全摘術もしくは、乳房温存術と放射線治療の併用」が標準治療であり、治療の必要性のないDCISにも手術が行われている現状があります。

そこで、私たちはDCISの過剰治療を減らすために、DCISに対する治療の必要性について研究を行ってきました。研究では、米国のラージデータベースから57,000人を抽出して、DCISの異形度ごとに手術による生存率改善効果を調査しました。

結果では、DCIS全体の生存率は手術した群が98%、手術をしていない群が93%と手術を行うことで約5%の改善効果がみられています。

しかし、異形度別にみると、低異形度のDCISは手術をしてもしなくても生存率に差はみられず、中異形度や高異形度では手術のよる生存率改善効果がみられました。今回はあくまでも観察研究であったため、今後は前向き臨床試験で証明したいと考えています。

DCISにはアクティブサーベイランスを

DCISの過剰治療が課題となっているなかで、アクティブサーベイランスに関する世界各地で研究が行われています。ここでいうアクティブサーベイランスとは、積極的に経過観察だけ行い、必要に応じて状況に合わせた治療を行うことです。

日本では低異形度のDCISに対してホルモン治療だけを10年間行いながら経過観察を行うLORETTA trialという試験が行われています。また、この研究ではトランスレーショナルリサーチ(橋渡し研究)を行っていて、どのようなDCISが浸潤がんへ発展するのかを遺伝子検査によって区別できないか検証を行っています。

DCISは"がん"とよぶべきではない?

 

1人の病理医がDCISと診断した症例に対して、115名の病理医が最終診断を行った調査があります。すると、最終診断でDCIS と診断された方は69.6%であり、18.5%は良性病変または異型病変であったという結果がでています。このように、DCISの診断は病理医によってばらつきがあるのが現状です。また、DCISを正確に診断するための遺伝子変異検査について各所で研究が行われていますが、いまだ実現には至っていません。

このようなことから、DCISはがん(carcinoma)とよぶべきではないという意見も出ています。"がん"という病名がつくと患者さんは治療を受けたくなりますし、医師も治療せざるを得ません。そのため、がんではなく、緩徐な病変(IDLE:indolent lesion of epithelial origin)という病名が適切ではといわれているのです。

DCISの過剰診断・過剰治療を防ぐために

まずDCISの過剰診断を防ぐためには、乳がん検診の方法を見直す必要があると考えます。2018年現在、乳がん検診の運用は各自治体に任せられていますが、今後は国家レベルで乳がん検診の対象者や検診のタイミングなどを決定するべきであると考えます。

また、DCISは生物学的な特性が明らかでない点が多くあります。そのため、将来的には遺伝子検査で臨床学的に意義のある分子生物学的分類を行い、ビックデータと遺伝子バンクをリンクして治療が必要なDCISの種類を見極める必要があるでしょう。

第26回日本乳癌学会学術総会レポートの連載記事

「メディカルノート編集部」が、講演会などの取材を元に記事を作成しております。

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