院長インタビュー

大学病院並みの高い機能と入退院前後も安心の支援体制! ベルランド総合病院の取り組み

大学病院並みの高い機能と入退院前後も安心の支援体制! ベルランド総合病院の取り組み
亀山 雅男 先生

社会医療法人生長会 理事長

亀山 雅男 先生

この記事の最終更新は2017年10月09日です。

大阪府堺市のベルランド総合病院は、2014年に病院を新築移転してから、地域や時代のニーズに沿った医療の提供に力を入れています。また、厚生労働省から、大学病院本院に準ずる機能を持つ「DPC Ⅱ群病院」にも指定され、ますます堺市の中核病院として、高度急性期医療を中心に力を入れています。

ベルランド総合病院の特色や展望などについて、病院長の亀山 雅男先生にお話をうかがいました。

ベルランド総合病院は、大阪府堺市における中核病院として、30年以上地域住民に最良の医療を提供すべく走り続けてきました。2014年には病院を新築移転し、より身近で頼れる病院として医療を行っています。

現在、25の診療科を有し、地域医療支援病院や大阪府がん診療拠点病院、地域周産期母子医療センター等、多くの認定・指定を受けています。

2014年の病院の敷地内新築移転に際し、より多くの患者さんに対応できるよう各種機能を強化しました。新設した病床は、緩和ケア病棟15床、レディース病棟25床、母体胎児集中治療室(MFICU)6床などです。ほかに、救急室10床や内視鏡室7床、化学療法室30床、手術室12室、新生児集中治療室(NICU)12床などの増床を行いました。

このように多くの病棟の新設、増床によって、当院を利用される患者さんの多様なニーズに答えられるようになったと感じています。

当院は、2016年に厚生労働省よりDPC Ⅱ群病院の指定を受けました。これは、国から正式に、大学病院の本院と同等の設備や機能を持った病院であると認められたことになります。

大学病院に引けを取らない高度な医療を提供するため、さらに医療技術を進歩させ、最新の医療機器を導入し、未来の医療の変化、地域の変化に対応できるようになっています。CT、MRIなどの検査機器の増設、IMRT(強度変調放射線治療)に対応した放射線治療装置を設置しました。また、ハイブリッド手術室にて低侵襲な経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)も開始し、現在10例実施しております。

新築前は、新入院数が平均1,060人/月であったものが、1,289人と増加しています。

当院は堺市で唯一、地域周産期母子医療センターの認定を受けています。切迫早産前期破水妊娠高血圧症候群などのハイリスク妊産婦、新生児の二次救急にも24時間対応できるよう、前述の母体胎児集中治療室(MFICU)や新生児集中治療室(NICU)を充実させています。

また、産科では自然分娩や母子同室、母乳育児を実践しています。外来、入院ともに助産師が担当し、お母さんと赤ちゃんに寄り添って細やかなサポートを心がけています。このような取り組みから、WHO(世界保健機関)・ユニセフの「赤ちゃんにやさしい病院 Baby Friendly Hospital(BFH)」にも認定されました。

2016年の当院産科における分娩数は1,352件でした。

当院は、日本に多い5大がんすべてに対応し、肺がん消化器がんに対する内視鏡下手術を積極的に行っています。また、化学療法室は30床を有し、患者さんの希望に応じてベッドとリクライニング・チェアを選べるようにしています。さらに、前立腺がんなどに対して、副作用を最低限にして効率よく照射するIMRTを行っています。

一方、がん拠点病院として緩和ケアの充実が求められており、新病院では緩和ケア病棟(15床)を新設しました。すべてが個室となっており、別途ご家族が寝泊まりできる部屋や、ファミリーキッチンも設置しています。このように、患者さんが最後まで自分らしい生き方ができるよう配慮しています。また、がん専門の看護師が個別相談を承る『がん相談窓口』を設け、がん患者さんやご家族が集う『がんサロン』を毎月開催しています。

当院では心臓疾患や脳卒中の救急搬送患者に対し、消防救急隊からの電話を当院の専門医師が直接受ける“ハートコール”“脳卒中コール”を、24時間365日体制で行っています。現在、年間救急搬送は約7000件で、ハートコール480件、脳卒中コール330件と増加しています。

心カテーテル検査は、年間約1900件、PCIは約700件と大阪府内でも有数の症例数を誇っていますし、脳卒中ではt-PTAと血栓回収の併用を行い再開通率の向上に努めています。

入院時、退院時に患者さんが不安や迷いを覚えることなく、スムーズに入退院できることが私たちは大切だと考えています。そこで患者さんの入退院をサポートする「入退院支援センター」をはじめとする、総合相談センターを設置しています。

総合相談センターには、入退院支援センターのほかにも、地域医療連携室(地域の開業医との連携)、医療福祉相談室(生活や療養先などの相談と支援)、がん相談支援センター(がんの相談)、患者支援室(セカンドオピニオンやご意見の受付等の各種相談)があり、総勢30名のスタッフがおります。

患者さんの悩みや不安を一手に担う総合相談センターは、上記の各種センターをワンフロアに配置することで、スムーズな情報共有が可能となっています。

当院で診療を受けた患者さんが、安心して元の生活へ戻っていただけるよう、近隣の病院との連携も密に行っています。たとえば誤嚥性肺炎心不全尿路感染症などは、阪和第二泉北病院等と連携パスを使用することでスムーズに転院しています。

地域の中心たる病院として、積極的な情報提供も私たちの使命と考えています。地域住民の健康促進のため、出張による市民公開講座や院内での健康塾の開催にも積極的です。

市民公開講座の参加者も多く、600名以上の方が参加してくださった会もありました。

これからも時代のニーズや地域のニーズに柔軟に対応し、最良の医療を提供していきたいと考えています。

具体的には大阪府がん診療拠点病院として堺市癌検診の2次精査、周産期のハイリスク妊産婦の受け入れ、脳卒中センター稼働等の強化や、膠原病リウマチ外来の新設なども積極的に進めてまいります。