院長インタビュー

新しい命と出会う喜びをより多くの方と分かち合いたい-スズキ記念病院の願い

新しい命と出会う喜びをより多くの方と分かち合いたい-スズキ記念病院の願い
田中 耕平 先生

医療法人社団スズキ病院 院長

田中 耕平 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年11月09日です。

宮城県岩沼市にあるスズキ記念病院では、生殖補助医療、産科・婦人科診療、小児科医療をつうじて女性の心と体に生じやすいトラブルや病気と向き合うことで、生涯をつうじた女性の健康を支え続けている病院です。

同院開設の経緯、診療体制、病院設備、医師の採用教育体制について、院長の田中耕平先生にお話を伺いました。

病院外観(スズキ記念病院よりご提供)

前身であるスズキ病院の初代理事長兼病院長の鈴木雅洲先生は、当時まだ世界でも稀だった体外受精による妊娠と出産に東北大学医学部教授在任中の1983年に日本で初めて成功して以来、医療技術開発をはじめ臨床実践や人材育成に尽力してきました。

教授退官後、鈴木先生は民間病院のより自由な発想のもとで取り組もうと考え、不妊治療を主とする当院を1986年に開設します。以来当院では、顕微受精胚による妊娠、成熟卵子の凍結解凍後の受精・妊娠・分娩など、不妊治療を受けている方の希望となるような技術を次々と確立しました。

生殖医療がもたらす、新しい命と出会う感動と喜びを1人でも多くの方に届けるため、鈴木先生は国内外の学会発表に積極的に参加して勉強したほか、生殖医療にまつわる技術を病院主催の講習会や見学会などをつうじて積極的に外部へと発信し続けます。

新たな技術や治療方法を開発するのみでなく、技術の普及や後進の医師育成にも情熱をそそぎ続けてきた鈴木先生の功績を後世に伝えるため、2006年5月に病院名を「スズキ記念病院」へと改称しました。

当院では、開院以来手がけている生殖補助医療による不妊症治療、妊娠から出産までの心身のサポートを行う周産期医療のほか、婦人科疾患に対する内視鏡治療を診療の3本柱に据えています。

生まれてきた赤ちゃんの不調などにも対応できるよう小児科と小児外科も併設しており、一生涯の中で代わり続ける医療ニーズにも可能な限り応えられるような体制を整えました。

ICSI(顕微受精)(スズキ記念病院よりご提供)

不妊症には、卵管、排卵、子宮といった女性器に由来するもの、免疫機構の問題、男性不妊、そして原因を特定できないものがあります。不妊治療や各種検査と費用への正しい理解を深めていただくため、初診時には不妊症オリエンテーションを受けていただき、その後検査や診断、原因に応じた治療を行います。不妊治療にはタイミング療法から人工授精や体外受精など生殖補助医療(ART)などがあり、カップルの状態を考慮しながら治療方法を選択していくのが特徴です。2018年11月現在、この方法は自由診療の対象となっています。詳しくは当院までお問い合わせください。

当院では、患者さんの心情に配慮して当科と婦人科・産科を分けているほか、カウンセリングルームでのメンタルケア、IVFと呼ばれる体外受精を受ける患者さんに向けた「IVF学級」を開催するなど、治療以外でのサポート体制も充実しています。

当院で治療を受けている患者さんの中には、婦人科健診をしようと考えたのが受診のきっかけだった方もいらっしゃいます。まずはお気軽にお問い合わせください。

分娩室(スズキ記念病院よりご提供)

産科では、妊娠判定からはじまり、妊婦健診、出産、産褥期と呼ばれる産後期、産後の1か月健診まで、お産に関連する心身の健康管理やサポートを行っています。里帰り出産、和痛分娩、アクティブバースにも対応可能です。

アクティブバースとは、お産は分娩台の上で行うものというイメージにとらわれず積極的に体を動かしたりご自身がリラックスできる体勢をとったりするフリースタイルのお産方法のことで、一般的に産道が広がりやすいというメリットがあります。

お産と子育てへの不安を解消して明るく前向きな気持ちで臨んでいただけるよう、母親学級や父親学級、妊娠中の運動不足を楽しく解消するマタニティヨガやマタニティフラ、マタニティクッキングクラスをそれぞれ開催しています。産後では、母乳育児クラスや親子で楽しむベビーマッサージなどの講習会にも参加可能です。

一方で、医療が発達した現代でもお産では予期せぬ出来事が起こりがちです。2018年11月現在、当院には医師が9名在籍しており、お産のリスクにも対応が可能です。またハイリスク妊娠対応可能な病院と密に連携を取り合っています。また2018年12月には産科の医師増員も決定しており、当院を選んでくださったご家族の期待に応えられるような体制の充実が進むと期待しています。

手術室(スズキ記念病院よりご提供)

妊娠や出産などのライフイベント以外にも、ホルモンバランスの変化、月経不順や生殖器の病気、加齢と共に現れやすくなる更年期障害などが、心と体に大きな影響を与えることがあります。子どもから大人まで年代ごとに異なる健康問題に柔軟に対応できるような女性病院(ウィメンズホスピタル)づくりを進め、当院では婦人科が良性の婦人科疾患の診療を担うようになりました。

婦人科では、月経不順や月経過多などに代表される月経不順、不妊症を招くことがある性感染症、生殖器の良性腫瘍、更年期障害や骨粗しょう症などを手がけています。なお検査結果から悪性腫瘍が考えられる場合には、近隣の医療機関をご紹介させていただきます。

手術が必要となった場合には、たとえば子宮筋腫での子宮摘出手術では子宮鏡と呼ばれる内視鏡を使用したり、へそ部分から腹腔鏡を挿入したりするなど、手術跡をなるべく体に残さないような工夫をしています。

生まれてきた赤ちゃんや子どもの心身の健やかな成長を、医療面からサポートしています。

当院では、日本小児科学会が認定する小児科専門医や日本周産期・新生児医学会による新生児蘇生法「専門コース」インストラクターの資格を有している山田雅明先生が、未熟児などの体調管理もしています。高度な治療が必要な赤ちゃんは、近隣のNICU常設の医療機関をご紹介しています。乳児健診や各種予防接種を中心に行っています。風邪や腸炎といった一般診療も小児科にご相談ください。

小児外科では、鼡径ヘルニア臍ヘルニアでべそ)などを、元宮城県立こども病院理事長で現在は当院の理事長である林富先生が診療しています。

ベビーピンク調で統一された病室(スズキ記念病院よりご提供)

当院は診療科ごとに異なるタイプの病室を用意しています。

生殖医療科では、2~4人で利用できる大部屋と個室をそれぞれ用意しています。採卵や受精卵移植後の休憩などのほか、流産などの恐れがある場合に入院いただくことも可能です。

産科の病室は、ベビーピンクもしくはペールライムを基調としており、産前産後のご家族の時間を気兼ねなく過ごしていただけるようプライバシーに配慮して全室完全個室です。お産の疲れを癒すためにアロママッサージのサービスをしています。

アロマ室(スズキ記念病院よりご提供)

赤ちゃんを伴って受診される方には授乳しながらお待ちいただける授乳室、小さな子どもでも遊べるプレイルームなども完備しました。

入院中の食事を楽しんでいただこうと、栄養部のスタッフが中心となって美味しく栄養バランスのとれた食事を考案・提供しています。毎週1回のフレンチのほか、不妊治療中なら着床促進メニュー、お産後にはお祝い膳といったようにメニューに工夫を凝らしています。

0~3歳の子どもやご家族が気兼ねなく遊べる場所を提供したいと考えて、当院の大ホールを「子育てひろば・鈴りんクラブ」として地域に開放しています。子育て中でも当院や地域と積極的な交流ができる環境づくりを進めました。

生後6か月までの赤ちゃんがいる方を対象に、産後デイケアをご案内しています。

産後デイケアでは、お母さんの心身の健康状態のチェックのほか、乳房ケア、授乳関連のトラブルや育児中の困りごとに関する相談や参考になりそうなサービスのご紹介などを行っています。

産後デイケアを利用される方の心には、赤ちゃんの食事でわからないことがある、病気ではないけど助産師や医師に話を聞いてほしい、お世話に疲れてしまったなど、さまざまな思いがあります。ご利用について、まずはお気軽に当院にご相談ください。

出産後すぐにはじまる子育てを完璧にこなせず、自分を責めてしまった方による産後うつの問題が注目を集めて久しいです。当院では助産師による産後ケアや助産師による電話訪問を積極的に行っており、当院以外で出産された方も受け付けています。

当院は開院以来、不妊治療やお産をはじめとする産婦人科診療を通して、女性の生涯の健康を支え続けてきました。当院の職員は皆、患者さんが不安や悩みを解消して笑顔になってお帰りいただきたいという思いのもと働いています。

女性の心と体はホルモンバランスの影響を受けやすく、そして年代によって求められる医療の内容も大きく異なります。また婦人科診療は一度関わった患者さんと何かしらの機会にお会いすることも多いため、ほかの診療科とくらべると女性の健康を一生涯にわたって見守り支え続けることができるのが大きな特徴だと考えています。

当院で産声をあげた赤ちゃんが成長して、そしていつの日かお産のために当院を選んでいただき受診される日が来ることを、心より楽しみにしています。

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  • 医療法人社団スズキ病院 院長

    日本産科婦人科学会 産婦人科専門医日本臨床細胞学会 細胞診専門医・細胞診指導医日本内視鏡外科学会 技術認定取得者(産科婦人科領域)

    田中 耕平 先生

    1977年に秋田大学医学部を卒業したのち、新潟大学医学部産科婦人科に入局して産婦人科医師としてのキャリアを歩み始める。
    開腹手術の跡や痛みが、女性の心と体へ少なからず影響を与えていることを知り、低侵襲治療の重要性とニーズを痛感。ガスレス式の内視鏡手術の習得や研鑽を重ねて、妊娠中の女性や高齢者でも治療方法の選択肢を狭めることなく、かつ負担のかかりにくい方法を提案できるようにした。
    2011年にスズキ記念病院・副院長、2017年には院長に就任。全職員と、患者さんが抱える不安を解消して元気になってそれぞれの家庭へと帰っていけるようにするためにはどうしたらよいか考え、全員が能動的に動けるような病院づくりを進めている。

    田中 耕平 先生の所属医療機関

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