院長インタビュー

救急医療および急性期医療から地域包括ケアネットワークを一貫して担う大同病院

救急医療および急性期医療から地域包括ケアネットワークを一貫して担う大同病院
野々垣 浩二 先生

社会医療法人宏潤会 大同病院 院長

野々垣 浩二 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年05月15日です。

社会医療法人 宏潤会 大同病院(以下、大同病院)は、地域の中核病院として、新生児から成人の患者さんに対する救急医療および急性期医療を、24時間365日提供しています。さらに、地域の方々が誕生前から最期まで安心して診療とケアを受け続けられるよう、同院を中心に地域包括ケアネットワークの確立にも尽力しています。

今回は、大同病院の院長である野々垣浩二先生に、病院の特色や取り組みについてお話を伺いました。

大同病院の外観
大同病院の外観

1939年に大同製鋼株式会社の病院部門として、当院の前身である大同製鋼病院が開院されました。その大同製鋼病院を引き継ぐ形で、1948年に現在の愛知県名古屋市南区に当院は開設しました。

また、2007年には放射線科の移設やICUの開設により、それまで以上に急性期医療に対応が可能な病院になりました。2011年に社会医療法人へ移行し、現在は、急性期医療の提供と地域包括ケアネットワークの展開に努めています。

当院は、二次救急施設として多くの救急患者さんを受け入れてきました。救急センターの設置やICUの増床などを行い、緊急時でも迅速な対応を行うことができる医療環境を整えています。救急センターには、内視鏡検査の医療機器などが設置されているため、急に検査が必要になった場合でも、センター内で対応が可能です。さらに、ドクターカーの導入を行い、救急患者さんに対する一刻も早い治療の開始と病院への搬送に努めています。

また、一般病棟に入院している患者さんに対しては、急変早期対応チームが迅速に対応します。当センターでは、病棟のスタッフと急変早期対応チームの連携により、「防ぎ得た心停止(Preventable Death)」の防止に努めています。

ドクターカー
ドクターカー

当院の小児科は、地域の中核病院として、24時間365日体制で小児の救急患者さんを受け入れています。2016年には、NICU(Neonatal Intensive Care Unit:新生児集中治療室)の設置を行い、新生児の救急患者さんの受け入れ体制も整いました。また、アレルギー喘息、発達や心の問題の相談まで、子どもについてのあらゆる病気に対して幅広い対応が可能です。ほかにも、地域の医療機関や福祉施設との密な連携を図り、小児を対象とした在宅医療の支援にも積極的に取り組んでいます。当科では、これからも小児の急性期医療から在宅医療までを一貫して担い、一人ひとりの患者さんへの丁寧な診療を心がけていきます。さらに、2019年4月には、地域周産期母子医療センターに指定されました。小児科や産婦人科をはじめ、麻酔科*や内科系診療科が連携して、ハイリスク分娩などに対応していきます。

NICUの様子
NICUの様子

麻酔科標榜医:尾上 公一先生

当院では、小児科をはじめ、内科系・外科系にわたって幅広い診療科を掲げています。内科系の診療科が特に充実しており、日本内科学会が認定する総合内科の専門医をはじめとした各診療科の専門医たちが、それぞれの専門分野に特化した治療を提供する一方、診療科の垣根を越えて密接に連携し、複合的な病気にも対応します。そのことから、急性期医療を必要とする患者さんや在宅医療を必要とする患者さんまで、幅広く柔軟な対応ができるようになりました。

また、当院は古くから結核病床10床を有して地域医療に貢献してきました。さらに、近年では、エイズ治療拠点病院に認定されています。エイズに関する総合的かつ高度な医療の提供を目的としており、HIV感染症およびエイズの診療はもちろん、地域の方々や学生へ向けた性感染症やエイズ、検診の大切さなどについての講演活動を行うなど、啓発活動にも取り組んでいます。

内視鏡手術の様子
内視鏡手術の様子

当院では、内視鏡外科手術に積極的に取り組んでおり、さまざまな病気に対して内視鏡外科手術を行っています。内視鏡外科手術とは、体の数か所に小さい穴を開け、細長いビデオカメラを胸の中やお腹の中に挿入し、専用の器具を使用してモニター画面上で臓器を確認しながら行う手術のことです。内視鏡外科手術は、開腹術を適応している手術に比べて、数か所の小さな傷で済むため、患者さんの体への負担が少ない手術といえます。

当院では、より安全で質の高い内視鏡外科手術を実施・提供するため、「内視鏡外科手術(小さなキズあとの手術)センター」を設置しました。内視鏡外科手術(小さなキズあとの手術)センターでは、呼吸器疾患や消化器疾患、泌尿器疾患を中心とした病気に対して、内視鏡外科手術の提供を行っています。

また、背骨と神経の障害によるしびれや痛み、運動障害などに対する診療を行う「脳外科脊椎センター」においても、手術用顕微鏡と経皮脊椎内視鏡を使用した外科手術を積極的に導入しています。脳外科脊椎センターでは、頚椎・腰椎椎間板ヘルニアや腰椎変性すべり症、脊髄腫瘍などの病気に対して、患者さん一人ひとりに適した治療を検討し、患者さんの1日でも早い社会復帰を目指します。

当院では、さまざまな診療科が揃っている特色を活かし、一般的に多いとされる大腸がん胃がんから、希少がんとされる脳腫瘍悪性リンパ腫まで、幅広い診療科分野のがんに対応しています。がんの治療には、手術、抗がん剤による治療、放射線による治療など、さまざまな治療方法があります。

当院では、2016年に放射線治療装置を導入し、現在は常勤の治療専門医が治療にあたっています。また、患者さんにとって最適な医療を提供するために、複数の治療方法を組み合わせて実施する集学的がん治療を取り入れています。治療方法の組み合わせによっては、予想される副作用や治療期間が大きく異なります。また、個々の患者さんによっても、その反応はさまざまです。当院の集学的がん治療は、患者さんにとってより有効で、より負担の少ない治療方法を提供することを目指します。

また、当院は緩和ケア内科を設置しており、地域の医療機関や施設などと連携を取り、患者さんの在宅療養の支援や、ホスピス病棟がある病院への紹介などを行っています。さらに、だいどうクリニック在宅診療部では、訪問診療を実施しています。当院では、がんを患う患者さんが、できるだけ自分らしい生活を送ることができるように積極的なサポートを行っています。

放射線治療室の様子
放射線治療室の様子

当院では、2本柱である救急医療および急性期医療と地域包括ケアネットワークをより充実させる医療体制の構築に努めます。

1つ目の柱である救急医療および急性期医療は、地域の方々の暮らしを守るために、より一層充実させる必要があると考えます。病院内のあらゆる診療科、そして専門性を生かしたあらゆる医療職がチーム医療を発揮し、地域の中核病院として救急医療および急性期医療の提供に尽力します。

また、2つ目の柱である地域包括ケアネットワークにおいて、患者さんと地域の医療機関をつなぐ橋渡しとしての当院の役割を、これからも継続して担っていきます。私たち医療従事者だけでなく、地域の皆さんの協力が必要になります。皆さんと一緒に地域包括ケアネットワークを展開していくために、病院祭や、地域住民に向けた市民公開講座、認知症カフェなどさまざまな活動を行っていますので、遠慮なく地域包括ケアネットワークの輪に入っていただきたいです。ぜひ、地域の皆さんと私たちで、よりよい地域医療の展開に努めていきましょう。

若手の医師の皆さんには、じっくりと長い期間をかけて、継続的に医学を学び続ける姿勢を持った医師を目指してほしいです。さらに、自分が指導医などのリーダー的な立場になったときに、多くの職種をまとめる力を培ってほしいと思います。

自分の学びを深めるためには、積極的に人に教えたり、目標を言語化し実際に行動したりすることが重要です。そのようなことを意識しながら、ぜひ多くのことを学んでください。

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