院長インタビュー

小児・周産期医療の専門病院として、未来ある子どもたちの健康を守りご家族に寄り添う神奈川県立こども医療センター

小児・周産期医療の専門病院として、未来ある子どもたちの健康を守りご家族に寄り添う神奈川県立こども医療センター
町田 治郎 先生

地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター 元総長、横浜市立大学 整形...

町田 治郎 先生

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この記事の最終更新は2019年05月17日です。

地方独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター(以下、神奈川県立こども医療センター)は、神奈川県横浜市南区に病院を構えています。同院は、小児医療と周産期医療の専門病院です。さまざまな診療科をそろえ、チーム医療を実践することで、お子さんにもご家族にも寄り添う病院づくりに努めています。

未来あるお子さんの心と体の健康を守り、ご家族に寄り添う病院づくりとはどのようなものなのでしょうか。総長である町田治郎先生にお話を伺いました。

神奈川県立こども医療センター 外観
神奈川県立こども医療センター 外観

当院は、1970年に小児医療の専門病院として設立されました。1992年に周産期棟を開設したことで、生まれる前のお子さんや妊婦さんの治療も行うことができる病院になりました。

また、心のケアや小児がんに対する治療など内科領域から外科領域まで、幅広い診療科を有しています。

当院は、未来ある多くのお子さんの健康を支える病院になれるよう、さらなる努力を重ねてまいります。

心臓血管外科での手術の様子
心臓血管外科での手術の様子

心臓の病気は命の危険に直結するため、当院では循環器内科と心臓血管外科で、心疾患治療チームを組んでいます。心疾患治療チームでは、診療科の垣根を越えて、先天性の心臓の病気や不整脈などのお子さんの治療に当たります。

心疾患治療チームでは、お子さんの体の負担を可能な限り軽減したいと考えています。そこで循環器内科では、切開部分が小さく痛みが少ないカテーテル治療に力を入れています。心臓血管外科では、出血や感染リスクの少ない手術をチーム医療で実践しています。

当科では、口唇口蓋裂に対する手術を行っています。口唇口蓋裂とは、上唇や上あごに割れ目が生じる先天性の病気です。口唇口蓋裂の多くは、適切な時期に手術や歯の矯正をすれば、発育や言語機能に問題が生じることはないとされています。

当科では、新生児科、耳鼻科、言語治療科、歯科など複数の診療科と連携を取り、チーム医療でサポートを行います。

気管支喘息食物アレルギーは、重症化すると呼吸困難や意識障害を引き起こし、命に関わることもあります。そのため、お子さんにアレルギーの症状が出た場合には、適切な対応をとることが大切です。

アレルギー症状が出た場合に一番危険なことは、そのままにしておいて大丈夫かどうか自己判断してしまうことです。アレルギー症状は後になって重症化する場合があるため、お子さんにアレルギーのような症状が見られたら、アレルギーを専門に扱う病院をすぐに受診してください。

当院は、神奈川県アレルギー疾患医療拠点病院の指定を受けており、アレルギー科の医師が治療を行います。

人は誰しも心のバランスを崩し、体の不調に陥ることがあります。それは、お子さんも例外ではありません。うつや情緒不安定といった心の揺らぎが、不眠や食欲不振という形で体に現れ、不登校や自傷行為に結び付くことがあります。

心のバランスを崩してしまったときには、心に抱えている思いを話すことによって、問題解決の糸口が見つかるかもしれません。

当院の児童思春期精神科では、乳幼児から中学生までのお子さんのお話を伺ったうえで治療方針を決めていきます。ご本人やご家族だけで悩まず、当院を受診していただければと思います。

お子さんの救急の原因は多岐にわたります。たとえば、一般的には盲腸と呼ばれる虫垂炎インフルエンザや発熱などに起因する痙攣、けがによる意識障害、おもちゃの誤飲などがあります。

そのため、救急集中治療科と総合診療科を中心に各診療科と連携を取り、搬送された患者さんの治療を行っています。今後、各診療科との連携を強めることで、さらに救急対応可能な医療体制の確立を図ってまいります。

当院は、2013年に厚生労働省より小児がん拠点病院の認定を受け、小児がんセンターを設置しました。小児がんとは、小児特有の性質をもつがんで、小児期のお子さんが罹患するがんの総称です。

小児がんセンターでは、薬物治療や放射線治療をはじめ、緩和ケアの提供や小児がん相談支援室を設けています。がんの治療では、吐き気や痛みを伴うことや、毛髪が抜け落ちるなどの見た目の変化が生じることがあります。そこで、医師・看護師・薬剤師をはじめとする職員で構成された緩和ケアチームでは、苦痛を少しでも取り除くための治療を行っています。その取り組みのひとつとして、病院で働くために専門的なトレーニングを受けたファシリティドッグが活躍しています。当院では、ベイリー(2018年10歳で引退)とアニーも緩和ケアチームの一員です。また、小児がん相談支援室では、専門の職員によるがんに関するさまざまな相談に応じています。

なお当院では、小児がんに関するお悩みをインターネット上、もしくはメールでお受けしています。病気に関する悩みをお持ちでしたら、一人で悩まず、当院にご連絡ください。

ファシリティドックとして活躍するベイリーとアニー
ファシリティドックとして活躍するベイリーとアニー

「新しい命のためのサポートセンター」では、お腹の中にいる赤ちゃんに先天性の病気がないか心配されるご夫婦の相談を受け、必要に応じて胎児超音波精密検査も行います。これは、出生前遺伝学的検査とは異なり、赤ちゃんの臓器の形や機能に問題がないかを超音波で調べる検査です。この検査結果に基づき、一部の病気に関しては出産前から治療することができます。また、心臓に病気が見つかった場合には、出産後すぐに治療を開始できるよう事前に備えることができます。

NICUの様子
NICUの様子

「新しい命のためのサポートセンター」は、当院に通院している方もそうでない方も、ご相談いただけます。ただし、事前にお電話でのご予約が必要ですので、あらかじめご連絡をお願いします。

当院では入院生活を送るお子さんのご家族のための宿泊施設「リラのいえ」を国税庁認可特定NPO法人スマイルオブキッズが管理・運営しています。当施設は、ご家族への支援もさることながら、お子さんが心穏やかに治療を受けるための環境づくりの一環だと考えています。

入院中のお子さんにとって、ご家族がそばにいることは、何よりも心の支えになります。当院は、「リラのいえ」の活動への協力を通してご家族の通院支援を行い、お子さんの心のサポートに尽力します。

若い時期に経験を積むことは、その後の医師生活の中で、何物にも代えがたい財産となります。当院は小児医療と周産期医療の専門病院であるため、さまざまな病気のお子さんの治療に携わることができます。若手医師の皆さんには、積極性を持ち、小児・周産期医療の基礎から応用までを身につけていただきたいです。

また、お子さんやそのご家族とコミュニケーションを取る中で、患者さんに寄り添う医療を学んでいただきたいです。

当院は、お子さんの体と心の健康を守りたいと考えています。そこで、診療科の充実やチーム医療を実践することで、体に負担の少ない治療の提供に努めています。また、お子さんの苦しみや痛みを少しでも取り除き、心穏やかに日々を過ごせるよう、心に寄り添う治療に尽力いたします。

初めての子育てでは、わからないことや不安なことがあると思います。そのため当院では、ご家族が抱える出産前のご相談からお子さんの治療に関するお悩みまでお応えしています。

当院では職員が一丸となり、お子さんとご家族を第一に考えた治療で、未来ある多くのお子さんの健康を支える病院になれるよう励んでまいります。

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  • 地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター 元総長、横浜市立大学 整形外科臨床教授

    町田 治郎 先生

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