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小児がんの患者さんが安心して生活できる社会を目指して-ゴールドリボン・ネットワークの取り組み

小児がんの患者さんが安心して生活できる社会を目指して-ゴールドリボン・ネットワークの取り組み
メディカルノート編集部 [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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15歳未満の子どもに起こる「小児がん」。小児がんは、病気の発症に伴って、治療にとどまらないさまざまな問題が生じる可能性があります。たとえば、治療に伴う経済的な問題や親の仕事への影響、患者さんや経験者、ご家族への精神的負担などが挙げられます。

認定NPO法人ゴールドリボン・ネットワークは、小児がんの患者さんや経験者、ご家族のサポートを行っています。今回は、同法人の理事長である松井 秀文さんに、ゴールドリボン・ネットワークの活動への思いや、取り組みについてお伺いしました。

「ゴールドリボン」は、小児がんの患者さんや経験者、ご家族を支える活動のシンボルマークです。マークには、「小児がんの子どもたちが笑顔で安心して生活できる社会をつくりたい」という思いが込められています。

なぜ小児がんのサポートのシンボルマークがゴールドなのか、疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。これは私たちの解釈ですが、「子どもは国の宝」という考えからきているのではないかと考えています。大切な存在である子どもたちをサポートするために、私たちは今日も尽力しています。

私たち認定NPO法人ゴールドリボン・ネットワーク(以下、ゴールドリボン・ネットワーク)では、活動のシンボルマークとしてゴールドリボンを掲げ、小児がんの患者さんや経験者、ご家族へのさまざまな支援や理解促進のための活動を行っています。

実は、私たちゴールドリボン・ネットワークは、もともと「小児がんをこの世からなくしたい」という思いで活動をスタートしました。活動を続けていくうちに、小児がんは治癒しつつありますが、治療の結果として現れる晩期合併症や就職や結婚の問題など、患者さんのQOL(生活の質)にかかわる問題がたくさんあることが分かってきました。

このような現状を知るにつれて、私たちは以下の3つを柱として活動を行うようになりました。特に、国や自治体、ほかの団体では支援しきれないところを補うような活動をしたいと思っています。

晩期合併症:成長や時間の経過に伴い、がんからの影響、薬物療法や放射線治療などからの影響によって発生する、小児がん特有の合併症

小児がん経験者のQOL(生活の質)向上のための支援

まず1つめは、小児がん経験者のQOL(生活の質)を向上するための支援です。たとえば、小児がんの治療のため遠方での治療が必要となる場合の交通費や付き添い費用を補助する「交通費等補助金制度」、さらには全国の小児がん経験者の大学生への給付型奨学金の支給、患者さんやご家族の情報共有のためにサマーキャンプの開催費用の支援などの活動を行っています。

小児がんの治癒率向上のための研究支援

現在でも年間500名近く小児がんで亡くなる子どもたちがいます。このように小児がんで亡くなる子どもを1人でもなくすため、さらに晩期合併症をできる限り起こさない治療法の開発につながるよう、当法人では、小児がんの治療研究の助成を行っています。ほかにも、研究者の海外留学の支援を行っています。

小児がんの情報提供と小児がんへの理解促進

小児がんの理解を広げるために、啓発イベントや情報提供を行っています。小児がんの特徴や、患者さんやご家族がかかえる問題を知っていただくことが、支援につながると考えているからです。たとえば、ウオーキングイベントやチャリティーコンサートの開催支援などを行っています。

小児がんの患者さんのなかには、適切な治療を受けるために、都道府県を超えた遠方で治療を受けられる方もいらっしゃいます。このようなケースでは、治療に伴う交通費や保護者の付き添い費が必要となります。

当法人は、これらの費用の支援を目的とした交通費等補助金制度を設けており、病院と自宅が片道120km以上離れている場合に、1家族に対して上限20万円(年間)を補助しています。なお、2018年には、92件の支給を行った実績があります。

また、経済的理由により進学や就学が難しい小児がん経験者の大学生に対して、「GRN小児がん経験者奨学金制度」という、返還不要の給付型奨学金制度を設けています。奨学金によって夢を諦めることなく学ぶことができる環境を作ることが、小児がん経験者の将来の自立につながると信じ、このような制度を設けています。

当法人では、イベントの開催などさまざまな活動を行っています。以下は、近年の代表的な取り組みの一部です。

小児がんの患者さんやご家族、病気の経験者の交流の場、情報交換の場として、医師が同行するサマーキャンプの支援を行っています。私たちは、このサマーキャンプの費用の一部を支援しており、今年度(2019年)は11団体合計593名(小児がん経験者165名)の方に助成を行います。医師が同行するため、何か体調に変化があったときの安心にもつながりますし、医師へ相談することができる機会にもなります。

サマーキャンプの様子
サマーキャンプの様子

子どもたちが楽しい時間を過ごすことはもちろんですが、患者さんのお母さん、お父さん同士が悩みを相談したり、情報を交換したりする場としても機能していると思っています。

親やきょうだいに対して、「自分が迷惑をかけている」と感じる患者さんも少なくありません。病気の子どもとそのきょうだいが共に楽しい時間を過ごすことで、きょうだい間の絆が深まる機会にもなると考えています。

小児がんをより多くの方に理解していただくため、ウオーキング大会の開催支援を行っています。2018年には、東京、大阪、福岡でウオーキング大会を開催し、合計で7,300人以上の方にご参加いただきました。

ゴールドリボンウオーキングの様子
ゴールドリボンウオーキングの様子

これらの大会では、小児がんの理解を深めていただくために、小児がん経験者に自身の経験談を話してもらったり、小児がんに関する展示を行ったりしています。なお、当日の参加費や募金の一部は小児がん団体や病院、研究団体へ寄付されています。

当法人では、小児がんの患者さんが治療を受ける病院の環境を整備するために、さまざまな支援を行ってきました。ここでは、近年の代表的な取り組みについてご紹介します。

私たちは、病院内の環境整備のための支援も行っています。はじまりは、日本大学医学部附属病院小児科病棟に開設したゴールドリボン学習室開設の支援でした。もともと院内学級がないために、患者さんは皆ベッドサイドで勉強している状態でした。「学びたい」と望む患者さんに、より集中できる環境を整備したいという思いで学習室を整備したのです。この学習室は、看護ステーションからカメラで見られるようになっており、何か異変があったときには、すぐに看護師がかけつけることができる体制を築いています。さらに、酸素吸入のための設備も設置し、緊急の場合の対応ができるようになっています。

ゴールドリボン学習室
ゴールドリボン学習室

ほかにも、大阪市立総合医療センターに中学生や高校生の患児がeラーニングで学ぶことができる「ゴールドリボンe学習室」を開設しました。インターネットを通して指導を受けることができる体制を築いています。

2018年には、京都府立医科大学附属病院に新設された永守記念最先端がん治療研究センターのホスピタルアートプロジェクトに協力しました。もともと真っ白だった陽子線の治療室の壁に、京都造形芸術大学の学生さんたちが、宇宙船をあしらい、かわいいキャラクターを描いてくれました。

宇宙船をあしらった陽子線の治療室
宇宙船をあしらった陽子線の治療室

また、学生さんたちが陽子線治療を1回受けるごとにスタンプをもらえるようなスタンプラリーを企画しました。全ての治療を終えると、スタンプによってキャラクターができあがるしくみになっています。「少しでも治療による不安を減らしたい」という思いで、このような企画にも協力しています。

当法人では、常時、支援を受け付けています。会員制度や寄付、イベントのボランティアへのご参加など、さまざまな支援の方法があります。小児がんの子どもたちが安心して生活できる社会をつくるために、たくさんの方の支援をお待ちしています。

会員になっていただき、継続的に支援をいただく方法です。なお、個人と法人で会員になることが可能です。個人は年会費2,000円、法人は年会費10,000円からご入会いただくことが可能です。

会員にならず、その都度寄付をいただく方法もあります。寄付の方法には、入金やクレジットカード決済、古本やDVD・CD・ゲームの買取、スマートフォンからの寄付など、さまざまな方法をご用意しています。

お話ししたように、当法人では、ウオーキング大会など、さまざまなイベントの開催支援を行っています。ボランティアとして、このようなイベントの運営をお手伝いしていただくという方法もあります。

*詳しくはゴールドリボン・ネットワークのHPをご覧ください。

小児がんの患者さんや経験者は、外見だけでは病気にかかっていることがまったく分からないことがあります。その一方、生活上の大きな問題をかかえながら治療を続けている方もいらっしゃるのです。私共は、病気をかかえながら一所懸命生きている彼らを、きちんと受け入れ、応援してくれる社会になってほしいと思っています。

私たちゴールドリボン・ネットワークは、小児がんをきちんと理解し、受け入れ、応援してくれる社会をつくっていくため、今後もサポートを続けていきます。