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乳がんの検診と検査について解説——病院を受診するべき症状とは?

乳がんの検診と検査について解説——病院を受診するべき症状とは?
北川 大 先生

国立国際医療研究センター病院 乳腺内分泌外科 医長・診療科長

北川 大 先生

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乳がんは、日本の女性がかかるがんでもっとも頻度が高く、罹患数は91,605人にのぼります(2017年データ)。画像診断の技術が進歩したことで早期の乳がんを発見できるチャンスが増えていますが、一方で、乳がん検診の受診率は4割ほどにとどまっています。

乳がん診療における“検診”の役割や、病院を受診するべき症状などについて、国立国際医療研究センター病院 乳腺内分泌外科 科長の北川(きたがわ) (だい)先生にお話を伺いました。

まず、乳がん診療における検診および病院受診の目的についてお伝えしたいと思います。

検診とは“何も異常がないことを確かめるための検査を目的としたもの”です。一方、病院受診は“異常が見つかったときに詳しく調べるための検査を目的としたもの”を指します。そのため、何も異常を感じないから検診に行かない、あるいは、健康診断で異常が見つかった時点で検診に行く、というのは本来的ではありません。検診が必要な年齢になったら、異常がないことを確かめるための検診を定期的に受診し、もし異常が指摘された場合には速やかに病院で検査を受けていただけたらと思います。

乳がんを発見する経緯として、本来は検診で発見される患者さんが多いのが理想ですが、実際には患者さんがご自身で胸にしこりがあることに気付き、病院を受診されるケースが多い状況です。ただ、最近では乳がんに関する啓発活動の効果が少しずつ現れているようで、乳がん検診を受けて異常を指摘された方が病院で検査を行って発見に至るケースも徐々に増えています。

写真:PIXTA
写真:PIXTA

また、乳がんを発症した患者さんに付き添いでいらしたご家族が念のため検診を受けたところ、乳がんが見つかるというケースもあります。ご家族に乳がんの方がいる(家族歴がある)場合には、ご自身も検診を受けることを検討いただき、乳がんの可能性があれば早期発見できるように注意していただければと思います。

ご本人が気付かれる異常としては胸のしこりが多いのですが、必ずしもその全てが乳がんによるものではありません。比較的がんに関係していることの多い症状は、血性の乳頭分泌液(乳頭部分に生じる赤い汁のような分泌液)および、乳房の皮膚のひきつれ・へこみです。また、乳房の痛みを主訴に病院を受診される方も多いのですが、乳がんとは関係ないものであることが意外と多いです。いずれにせよ心配な症状が見られる場合には、乳がんなど悪性のものでないことを確かめるためにも、専門家による診察を受けることをおすすめします。

基本となるのは、触診、マンモグラフィ(乳房X線検査)、エコー(超音波)検査の3つです。これらの検査を行うことで、病変が良性か悪性か、おおよその目安がつきます。

検査の結果、悪性病変の可能性がある場合には次の検査に進みます。その際には、細胞診(細胞を採取して染色し、顕微鏡で観察する方法)、あるいは組織診(組織を採取して染色し、顕微鏡で観察する方法)を行います。

マンモグラフィの検査機器 写真:PIXTA
マンモグラフィの検査機器 写真:PIXTA

細胞診や組織診の結果、乳がんであると確定した場合には、治療方針を検討する際に必要な情報を得るために、必要に応じて画像診断を行うことがあります。画像診断には、MRI検査、CT検査、PET検査などがあります。MRI検査では病気の範囲(乳房内にどのくらい病変が広がっているか)を調べます。CT検査やPET検査は、主に遠隔転移(肝臓、肺、骨など別の臓器への転移)の有無を調べる検査です。なお、かなり進行した状態の乳がんであれば、すぐにPET検査を行うことがあります。

日本では40歳以上の方が乳がん検診の対象となり、2年に1回の頻度で検診を受けることが推奨されています。しかし、日本における乳がん検診の受診率(50〜69歳)は4割ほどにとどまっています。諸外国の中には受診率が7〜8割近い国もありますので、それらと比較するとまだまだ低いです。

このように受診率が低い背景には、乳がん検診の必要性や重要性が一般的に浸透していないことが考えられます。一方で、芸能人の方が乳がんを発症したというニュースが出るとその後数週間外来が急に混雑する、というような影響はあります。しかし、そのような変化は長続きしません。このような課題を克服するには、乳がん検診の必要性を継続的に意識できるアナウンスの方法が必要ではないかと感じています。

乳がん検診の受診率が高くなれば、そのぶん症状が出ていない早期の乳がんを見つけられる可能性が高くなります。そのため、検診をきちんと受けることが重要です。読者の皆さんには、乳がん検診の対象年齢になったらきちんと受診していただくこと、また、対象年齢ではなくても、職場の健康診断などで異常を指摘された場合には精密検査を受けていただくことの大切さをお伝えしたいです。

北川 大先生

現在、乳がん検診として推奨される検診方法はマンモグラフィです。さらに、日本ではエコー検査が広く普及しており、エコー検査を得意とする医師や臨床検査技師が多いという特徴があります。さらに日本で行われた臨床試験では、マンモグラフィにエコー検査を合わせることによって早期の乳がんを発見できる確率が上がるというデータが示されています。このように、乳がんに対する画像診断の技術が進歩し、それらが普及することで、徐々に早期・超早期の乳がんを発見しやすい状況になっていると考えられます。

また、あらゆる分野で薬物療法の研究・開発が進められており、なかでも特に乳がんの薬物療法は目覚ましい進歩を遂げています。一方、大前提として、乳がんを根治させるためには、転移しない早期の段階でがんを見つけて治療を行うことが必要です。そのため“新しい薬が開発されているから、乳がんが転移しても薬でなんとか治せるだろう”と病気を甘く見ることなく、できるだけ早く乳がんを発見できるよう必要に応じてきちんと検診を受けていただきたいです。

医療現場では“家族歴”という言葉がよく登場します。乳がんも家族歴が1つのリスクファクターになるのですが、患者さんなどに「ご家族の中でがんになられた方はいますか」とお伺いしても、意外とご存知ない場合が多いです。昔に比べると家族形態や価値観が変化している現代では無理のないことでしょう。しかし、普段からできるだけ家族や親戚の健康問題について知っておくことは、がんなど病気の早期発見につながるきっかけになり得ます。ぜひ、お正月やお盆など親戚同士が集まる際には健康のことを話題にあげてみてください。そして何より、必要な検診をきちんと受診していただけたらと思います。

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    北川 大 先生

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