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乳がん検診で発見されることがある“乳腺嚢胞”とは〜乳がんに変化することはあるの?〜

乳がん検診で発見されることがある“乳腺嚢胞”とは〜乳がんに変化することはあるの?〜
北川 大 先生

国立国際医療研究センター病院 乳腺内分泌外科 医長・診療科長

北川 大 先生

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乳がんは発見のきっかけとして、しこりを自覚することがしばしばありますが、乳腺にできる乳腺嚢胞(にゅうせんのうほう)でもしこりを自覚することがあります。これはほとんどの場合、自覚症状はなく乳がん検診などで偶然発見されますが、ときに乳房に痛みなどの症状が生じたことで受診して発見されることもあります。

では、乳腺嚢胞とはどんなものなのでしょうか。また、その後乳がんに発展することはないのでしょうか。

嚢胞とは内側に液体成分がたまった袋状のもので、腎臓や膵臓(すいぞう)口腔内(こうくうない)など体内のさまざまな場所に生じます。

乳腺に見つかる嚢胞は“乳腺嚢胞”と呼ばれ、乳管の中に分泌物がたまり袋状になったものです。通常、乳腺でつくられた分泌物は乳管を経て乳頭から体外に排出されますが、何らかの原因でその分泌物が乳管の中にたまってしまうと嚢胞が形成されます。このような乳腺嚢胞の中身はただの液体成分であり、良性であるため治療の必要はありません。

乳腺嚢胞は良性の乳腺の変化である乳腺症の1つだといわれます。

乳腺症自体のはっきりとした原因は不明ですが、女性ホルモンのバランスが崩れることが影響していると考えられています。

前述のとおり乳腺嚢胞は良性であり、悪性腫瘍であるがんとは異なります。また、乳腺嚢胞が乳がんに変化することはありません。

乳腺嚢胞の中の液体成分は増減することがあるため、嚢胞の大きさや数が変化することもあります。しかし、大きさや数が増えたからといって症状が悪化しているわけではありません。

ただし、嚢胞の中にしこりを伴う場合は、嚢胞内がんという悪性腫瘍の可能性もゼロではないため、乳房に針を刺してがん細胞の有無を調べます。この場合、細胞を採取するか、(かたまり)として組織を採取するかで局所麻酔の必要性が異なりますが、いずれも超音波で病変を確認しながら穿刺(せんし)します。検査は10~20分程度で終了し、合併症や体への負担も少ないとされています。

嚢胞によって乳房の痛みを感じたり、圧迫感が強かったりする場合は、嚢胞の液体成分を吸引する処置を受けるために受診してもよいでしょう。

病院では、採血で使われるものと同じような太さの注射針を乳房に刺し、嚢胞の中にたまった液体成分を吸引します。このとき、痛みなどは採血と同じくらいであるため麻酔は必要ありませんが、乳輪の近くに針を指す場合は痛みが強くなることもあるので注意しましょう。

前述のような処置は痛みや圧迫感を一時的に緩和するものです。嚢胞の袋自体を除去できるわけではないので、再度分泌物がたまれば嚢胞が生じ、痛みや圧迫感を感じるようになることもあります。

しかし、嚢胞を防ぐ方法はないため、必要があれば定期的に受診しましょう。経過観察を行うこともあるため、医師に指示に従って受診をするようにしましょう。それ以外であれば、一般的に行われている乳がん検診を受けていれば問題ありません。

気になる症状がある際はもちろん、乳がんと乳腺嚢胞の関係性や、自身の体の状態について疑問や不安があれば放置せずに医師に相談するようにしましょう。

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