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インタビュー

公開日 : 2016 年 08 月 31 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

乳がんの治療は患者さん一人ひとりに最適な方法が選択される―術前検査から手術、化学療法、ホルモン療法まで

乳がんを診察するため来院される患者さんには、乳がんとはっきり診断がついてくる方やご自身でしこりを触ったという方、検診で要精密検査と判断されて、詳しく検査を受けたいといって来られる方など様々な状況の方がいらっしゃいます。また、検査結果で判明するがんにも多くのタイプ分類がなされており、一人ひとりに最適な治療法を考えていく必要があるといいます。聖路加国際病院ブレストセンター長の山内英子先生にお話を伺いました。

乳がん治療の流れ―問診から検査、診断まで

まずは問診にて既往歴や家族歴、実際の症状などを伺います。

聖路加国際病院ブレストセンターの全ての診察室には超音波器具が設置されており、診察時に超音波検査を行います。マンモグラフィーは撮る場合もありますが、被ばくを避けるため、すでに別の病院などで撮影を済ませていたり、患者さんの年齢が若ければ撮らないこともあります。

しこりがみつかった場合、触ったしこりの性質の詳細を確認するため、生検(せいけん)を行って、その組織が悪性であるかどうかを調べます。

乳がんであると診断がついたら、さらに精密検査(MRIやCT、骨シンチグラフィ、腫瘍マーカーなど)を行います。また、適切な治療選択をするため、ご家族や近い血縁内に乳がんの方がいた場合は遺伝カウンセリングを受けていただきます。

これらの検査で、後述する乳がんのタイプや浸潤の有無を確認してから具体的な治療方法を決定していきます。

●乳がんの治療法を決定するために―がんの種類を見極める

<乳がんのタイプと種類 浸潤がんか非浸潤がんか>

乳がんには大きく分けて浸潤がん・非浸潤がんの2種類があります。

①浸潤がん

乳房内の乳管の内面を覆う細胞層から発生し、さらにその層を越えて拡がっていくがんです。

②非浸潤がん

乳管の内面を覆う層に異常な細胞が発生したもので、乳管内がんとも呼ばれます。「乳管」や「腺葉」の中にがん細胞がとどまっている段階のがんで、しこりを触れないことが多くあります。

乳がんのがん細胞のタイプはどれか? サブタイプを知るために

がん細胞には様々な形状(専門的にはサブタイプと呼びます)があります。

たとえばがん細胞によって、ホルモン受容体(エストロゲンやプロゲステロンに反応する受容体)を持っているタイプと持っていないタイプがみられます。また、HER2というがん細胞の増殖を促すタンパク質が陽性であるがんと陰性であるがんがあります。さらに、がん細胞にもおとなしいものから増殖が活発なものまであり、これによって増殖能力も異なります。これら3つのタイプを組み合わせると、5つのパターンに分類できるのですが、これら5つのタイプはそれぞれ効果が見込める治療法が異なります。

(がんのサブタイプ分類)

ご説明してきた浸潤がん・非浸潤がんの違いや、上図のようながん細胞のタイプによって、手術のアプローチ法、再建のタイミングや術後の抗がん剤の必要性、胸を温存した場合の放射線療法やホルモン療法の適応などは変わってきます。このように乳がんは、個人によって大きく治療法が変化する疾患といえます。

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