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医師に聞いた乳がんに生じるしこりの感触や場所の特徴とは〜しこりがある時の受診の目安は?〜

医師に聞いた乳がんに生じるしこりの感触や場所の特徴とは〜しこりがある時の受診の目安は?〜
沢田 晃暢 先生

NTT東日本関東病院 乳腺外科部長・がん相談支援センター長

沢田 晃暢 先生

目次
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乳がんの自覚症状として特徴的なものに、乳房にできるしこり(医学的には腫瘤:できもの)があります。これは自身で触って確かめることができるため、乳がんの半数以上は自身のチェックで異変に気付くことができるといいます。乳がんは早期で発見できれば治る確率も高まるため、日頃からしこりの有無をチェックすることが早期発見につながります。

本記事では、乳がんで生じるのしこりの特徴やセルフチェックの方法、検診について解説します。

乳がんで生じるしこりには、感触や見た目、発生個所などに特徴があるといわれています。以下では乳がんで生じるしこりの特徴についてNTT東日本関東病院 乳腺外科 部長沢田 晃暢(さわだ てるまさ)先生(以下、沢田先生)に伺いました。

※以下内容は2023年1月時点の医師個人の知見に基づくものです。

しこりの感触は“石のような感触”“でこぼこがある”“豆のような感触”などと表記されます。

しかし、実際には触ってみてもこれらの特徴を捉えることは難しいと考えられます。そのため、“いつもはなかったしこりが触れた”というような漠然とした印象で異変に気付くことが一般的です。

乳がんそのもので痛みが生じることはありません。多くは痛みの症状がなく進行します。ただし、ごくまれにしこりによって痛みが生じることがあります。具体的には、しこりによって乳腺が圧迫されている場合や、がんが神経を巻き込んでいる場合などには痛みが感じられます。

しこりは乳腺のあるところであればどこにでも発生する可能性がありますが、乳房を外上、外下、内上、内下の4つに分けた場合、好発部位は外上と考えられます。なお、乳腺の濃度が高い高濃度乳房の方はそうでない方に比べて乳がんにかかる確率が高いうえ、検査などで発見しにくいという特徴があります。

もちろんしこりの大きさによって進行度は異なりますが、乳がんの場合、それだけで状態を判断することはできません。乳がんには大きさ・転移の状態などから判断するステージ(病期)分類とがん細胞の特徴によって判断するサブタイプ分類があり、両方を考慮して治療方針の検討や予後の予測が行われます。しこりが小さく、ステージが比較的早期ながんであっても、サブタイプ分類によっては治療が効きにくく、予後が悪くなってしまう可能性があります。

乳房にしこりがあっても、必ずしも乳がんであるわけではありません。また、全ての乳がんにしこりが認められるわけでもありません。乳がん以外のほかの病気でも乳房にしこりが生じることがあるほか、月経周期などによって乳房が硬いときには正常な乳腺が硬く感じ、しこりだと勘違いされることがあります。

ただし、これらは自身で鑑別することは困難です。そのため、乳房にしこりを生じている場合は乳がんを含めた病気の可能性を考えて、早めに受診を検討するのがよいでしょう。

乳がんで生じるしこりは自身で触って確かめることができるため、日頃から乳房周辺を触ってしこりの有無など異常がないかを確認することができます。では、どのような異常があった場合に受診をするとよいのでしょうか。以下では、受診の目安について沢田先生に伺いました。

しこりの感触から乳がんか否かを判断することは、たとえ医師であっても難しいものです。そのため、しこりの特徴にかかわらず、今まで触れなかったしこりが触れたときには病院の受診を検討しましょう。

可能であれば、血のつながった親族のなかにがんにかかったことのある方がいるかどうかを確認していただきたいです。血縁者で乳がん、前立腺がん膵臓(すいぞう)がん、卵巣がんなどにかかったことのある方がいた場合、遺伝によるがんの可能性を含めて検査・治療を実施する可能性があります。

また、あなた自身に過去の受診歴や乳がん検診の際の異常などがあれば、受診の際にお伝えください。

乳がんは自身で触って状態を確認できるため、約6割が自身のチェックによって発見されているといいます。しかし、セルフチェックだけでは見落としがあるほか、別の病気の可能性もあるため、気になる症状がある場合は前述を参考に受診を検討しましょう。また、症状がなくても定期的な検診を心がけるとよいでしょう。なお、乳がん検診は40歳以上の女性を対象に2年に1度の定期的な検診が推奨されています。詳しくは検診を受ける医療機関に問い合わせる、もしくは厚生労働省のサイトを参考にしましょう(【厚生労働省】がん検診)。

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