インタビュー

乳房再建 同時再建と二次再建

乳房再建 同時再建と二次再建
佐武 利彦 先生

公立大学法人横浜市立大学附属市民総合医療センター形成外科 部長 准教授

佐武 利彦 先生

横浜市立大学附属市民総合医療センター形成外科部長の佐武利彦准教授は「穿通枝皮弁」による乳房再建術において、日本でトップクラスの技術と実績を持つパイオニアです。今回は「同時再建」と「二次再建」の違いについてお話を伺いました。

同時再建の特徴

乳がん治療のための乳房切除と同時に乳房再建を行うことを「同時再建」もしくは「即時再建」と呼びます。乳がんの術後に改めて乳房再建術を行う二次再建に対応する呼び方として「一次再建」ともいいます。

入院が一度で済むため、患者さんの負担が軽減できる

同時再建を行うには、ふたつの異なる領域の手術を協力して行う必要があります。乳腺外科医だけでなく、乳房再建に精通した形成外科医がいる病院でなければ行えません。しかしこれが可能であれば、入院も手術も一度で済むので、患者さんの負担が軽減できます。

再建術のイメージがしやすい、きれいな状態の血管が使用できる

また、同時再建の場合は、切除した乳房の状態を直接確かめることができるため、ドナー部からとってくる脂肪の量などが具体的にイメージしやすく、医師にとって手術がしやすいというメリットがあります。血管もきれいな状態で残っているのでつなぎやすく、術後のトラブルも少ないという傾向があります。

乳房再建術について考える時間が限られる

その一方、限られた期間の中で、乳がんの治療と乳房再建のことを同時に考え、スケジュールを決めなければならないため、二次再建の場合に比べると乳房再建について考える余裕がないという面はあります。

短い時間の中でも患者さんから意見や希望を出していただき、納得をしたうえで手術を受けていただけるようにしたいと考えています。

二次再建の特徴

二次再建の場合には、手術・入院のために新たなコストや時間が必要となります。しかし乳房再建について、時間をかけてじっくりと決めることができるというメリットもあります。

二次再建を行うタイミング−術後何年経過していても再建は可能

二次再建は乳がんの手術後、一定の期間をおいてから乳房再建を行うことをいいます。乳がんがしっかり治療され、患者さんご本人が健康で再建の希望をはっきりと持っていれば、何年経過していようとも乳房再建は可能です。

再発の恐れがある場合には、乳がんの手術後にしっかりと治療を行い、再発の心配が少なくなってから再建のタイミングを決めるとよいでしょう。抗がん剤による化学療法を受けている間は再建手術を行うことができません。

最初から再発の心配があまりない方の場合でも、乳がんの手術をしてから1年以上経過してから再建手術を行うほうがよいと考えます。これは、乳がん手術後の皮膚や傷あとの状態が十分に落ち着くのに時間がかかるためです。