画像診断で乳がんを調べるにはマンモグラフィ、超音波検査のほかに、強い磁力を発生するMRI 装置を用いるMRI検査があります。マンモグラフィや超音波と比べてがんの検出感度が高いとされており、その有用性が注目されています。MRI検査の特徴について、乳腺専門医である京都府立医科大学放射線診断治療学講座講師の後藤眞理子先生にお話を伺いました。
MRI 検査は、検査台にうつ伏せの状態で寝て検査を行います。画像を鮮明に映し出すために造影剤を使います。検査時間は30分ほどです。マンモグラフィ検査の場合、記事1で前述したように乳腺濃度の高い若い女性の場合、どうしても乳がんの検出率が下がってしまいます。
その点MRI検査は乳がんの検出感度が高く、良悪性の判断もつきやすいことが特長です。
もともと乳がんにMRIが使われるようになったころは、造影剤を注入しながら短時間で撮影を繰り返し、経時的な病変の造影効果の変化をみて良悪性を鑑別しようとしていました。ただ、撮影時間を短くすると、細かい画像の撮影ができず、病変の辺縁や内部構造の評価が困難でした。また乳がんであった場合の広がり診断が難しいという欠点がありました。
逆に撮影時間を長くかけて細かい画像を撮影するという手法もとられましたが、撮影に時間をかけすぎると乳がんと背景乳腺の造影効果の差がつきにくくなるという欠点もわかってきました。
現在では、MRI装置や撮影方法の進歩によって、1mmの3次元画像を1分ぐらいで撮影できるようになりました。そこで現在は、細かい画像での形態診断を重視し、1-2分程度の時間単位での造影効果の変化を参考にして診断するという方向に変わってきています。
MRIによる乳がんの検出感度が高く、良悪性の判断も付きやすいのであれば、マンモグラフィは不要ではと思われるかもしれません。しかし、石灰化の病変はマンモグラフィでしか描出できません。また、MRIは時間とコストがかかるため対策型検診には向きません。
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