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乳がんの治療-リンパ節を調べるより良い方法
リンパ節は、腋の下および身体中のいたるところにある小さな腺です。乳がんの患者さんは、この腋の下のリンパ節を調べてもらうことになるでしょう。乳がんの多くは浸潤性です。つまり転移の可能性があるのです...
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乳がんの治療-リンパ節を調べるより良い方法

公開日 2016 年 04 月 25 日 | 更新日 2017 年 09 月 29 日

乳がんの治療-リンパ節を調べるより良い方法
北 和也 先生

やわらぎクリニック副院長/西和医療センター感染制御内科

北 和也 先生

Choosing Wisely

徳田 安春 先生

群星沖縄臨床研修センター長 筑波大学客員教授 獨協大学特任教授 東邦大学客員教授 聖マリアンナ医大客員教授 慶應義塾大学非常勤講師 総合診療医学教育研究所代表取締役 Choosing Wisely Japan副代表

徳田 安春 [監修]

リンパ節は、腋の下および身体中のいたるところにある小さな腺です。乳がんの患者さんは、この腋の下のリンパ節を調べてもらうことになるでしょう。

乳がんの多くは浸潤性です。つまり転移の可能性があるのです。腋の下のリンパ節を調べるのは、がんが転移していないか、手術後にどんな治療が必要か計画を立てるためです。

リンパ節を調べるための2種類の手術

  • 腋窩リンパ節郭清(ALND)昔は、腋の下のリンパ節を12~15個取るのが一般的でしたが、深刻で長く続く副作用をもたらすこともありました。
  • センチネルリンパ節生検(SLNBこれは、より簡単で新しい手術です。「見張り(センチネル)」のリンパ節を取り除く手術です。リンパ節内にがんがあれば、その見張りは、まず始めに侵されることになります。

センチネルリンパ節にがんがなければ、他の腋窩リンパ節にもがんはまずありません。痛みや大きな手術は回避することが出来るのです。

一般的に、SLNBの方がより良い選択肢となる

以下のような場合、医師には一般的に小さな手術の方を勧められます。

  • 早期の乳がんの場合
  • リンパ節があまり大きいと感じないか、身体診察や超音波検査で疑わしくない場合

多くの女性はリンパ節にがんがあるわけではありません。より小さな手術であるSLNBの方が、大きい手術につきものである痛みや危険性を避けることができるのです。

いくつかがん細胞が見つかった場合でも、多くの女性がALNDを回避できるのです。

多くのリンパ節を取ること(腋窩リンパ節郭清)には、より危険性がある

  • リンパ浮腫と呼ばれる状況には、ALNDの方がはるかになりやすいです。痛みが出てきたり、腕が腫れたりします。深刻な状況にもなりえて、治療することはできますが完治は難しいでしょう。
  • 腕や肩の動きに制限が加わります。この状態を凍結肩といいます。
  • 上腕の皮膚の痺れも起こします。
  • 脇の下にロープ状の瘢痕がつき、腕の運動が制限されることがあります。理学療法が必要になるかもしれません。
  • 腕の感染症の危険性が増加します。

ALNDは、よりお金がかか

ALNDを施行すると、しばしば入院が必要です。リンパ浮腫があれば、診察費、理学療法、その他の治療のため、さらにお金が必要になるでしょう。SLNBは日帰り手術が可能です。

ALNDが必要になるのはどんなとき?

ALNDが必要になるのは、以下のようなときでしょう。

  • がんの大きさが直径2インチを超えている場合
  • 身体診察でリンパ節が通常より大きい場合。(その大きいリンパ節にがん細胞があるかどうかを検査するためにまず針生検が必要になるでしょう。)
  • SLNBで、少数とはいえないほどのがん細胞が見つかった場合

アドバイスコラム

●乳がんに対する手術

手術の侵襲性が高くなればなるほど、より深刻でより危険になります。多くの女性が侵襲性の高い手術を選ぶのは、慌てていたり、恐怖を感じていたりするからです。セカンドオピニオンを受けることを考慮にいれましょう。

●乳腺腫瘤摘出術侵襲性は低い

この手術では、がん組織といくらかの正常組織を取り除きます。

  • 乳房の大部分を残すことができ、傷も小さく、偽物の乳房を着用する必要がありませんし乳房再建の必要もありません。
  • 放射線治療の場合、数週間毎日治療が必要になります。
  • 乳腺腫瘤摘出術は、早期の乳がんの患者に対しては、乳房切除術と同じくらい効果があります。
  • 非浸潤性乳管がん(DCIS)においても、乳腺腫瘤摘出術は最適な治療です。DCISでは、がん細胞は乳管内に留まり、転移することはあまりありません。

●単純乳房切除術-侵襲性は高い

この手術では、乳房全てが取り除かれます。

  • 腫瘍が大きい場合や、乳房の数カ所にがんがある場合にこの手術が行われることがあります。
  • 乳房を失うことは、女性にとって受け入れがたいことですが、人工のインプラントや身体の他の部分から組織を持ち込んで、乳房を再建することは可能です。これを乳房再建手術といいます。

●予防的乳房切除術-最も侵襲性が高い

この手術では、がんに侵された乳房の他、正常の乳房も切り取られることになります。

  • この手術が必要になることはほとんどありません。正常の乳房ががんになる可能性は著しく低いです。
  • 遺伝的リスクが高ければ、必要になることもあるかもしれません。
  • 女性の中には、もう一方の乳房にがんが発症しないように、この手術を選択する人もいます。

 

※本記事は、徳田安春先生ご監修のもと、米ABIMによる “Choosing Wisely” 記事を翻訳し、一部を日本の読者向けに改稿したものです。

翻訳:Choosing Wisely翻訳チーム

監修:北 和也、徳田安春先生

治療ガイドラインは日本乳癌学会HPで

乳癌学会

 

やわらぎクリニック(奈良県生駒郡)副院長。生まれ育った奈良で、父とともに地域医療に貢献すべく日々奮闘中。総合診療医として地域の人々の健康を支えつつ、日本の抱える問題「薬剤の過剰処方」について全国に情報を発信している。3人姉妹の父親としての顔も持つ“親しみやすい医師”として評判。

日本における総合診療の第一人者・オピニオンリーダーであり多数の著書で知られる。これからの適切な医療のためには従来のEvidenceに基づくものだけではなく、医師が自律してリスク、ベネフィット、コストをすべて考えていくことが大切であるとし、「Value Based Medicine」の概念を推奨している。適切な診療を行っていくための指針であるChoosing Wiselyでは日本代表を務めるなど、国際的な活動も精力的に行っている。

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