院長インタビュー

救命救急とがん診療の革新拠点へ――海老名総合病院の取り組み

救命救急とがん診療の革新拠点へ――海老名総合病院の取り組み
服部 智任 先生

社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス 海老名総合病院 病院長

服部 智任 先生

目次
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神奈川県海老名市に位置する海老名総合病院は、救急医療や総合的な医療サービスを提供することで地域社会に貢献しています。救命救急センター、心臓血管センター、糖尿病センター、マタニティセンターなど専門的な医療を提供する各センターと19の診療科を有し、人口増加率が高いこの地域の医療ニーズに応えています。また、地域医療連携にも力を入れており、医療・介護連携を強化して質の高い医療サービスの提供を目指しています。同院の院長である服部 智任(はっとり ともたか)先生に、同院の特徴や今後の展望を伺いました。

当院は神奈川県海老名市に位置し、小田急線・相鉄線・JR線海老名駅東口から徒歩12分の好立地にあります。海老名市は県内で人口増加率が高い一方で、全国平均よりも低い高齢化率を保っています。当院はそうした背景も踏まえ救急医療に特化しつつも、総合的な医療サービスを提供することで地域社会に貢献できるよう努めています。

2023年5月には新棟“西館”が完成し、高度検査センターや手術支援ロボット“ダヴィンチ”の導入も行い、さらに質の高い医療を提供できるよう強化を図ることができました。この新棟には、患者さんの心拍数や血圧などのデータを集約し、看護師の配置やベッドの空き状況を一目で把握できる“コマンドセンター”も備えています。

新棟
海老名総合病院 新棟外観(提供:海老名総合病院)

 

当院の要となっている各センターと19の診療科に加え、この“コマンドセンター”を駆使し、患者さんのニーズに応えながら、常に新しく質の高い医療の提供を目指してまいります。

当院の救命救急センターは、2017年に神奈川県央医療圏で唯一の救命救急センターとして始動しました。設立時から救命救急センターの充実を図っており、さらなる強化のため新棟である西館の1階を救命病棟として、高度検査センターと救命救急センターを集約しました。また、2階にはICU(集中治療室)と11の手術室を備えており、病床も30床へ増やしました。2023年4月には新たに3名の救急医を迎え入れ、現在9名の救急科専従医が在籍しています(2024年1月時点)。救急車の受け入れ件数は8,000件に及ぶ年*もあり、“断らない救急”を目標にスタッフが一丸となって対応しています。

*2022年度実績:8,998件

当院ではがん診療にも力を入れており、胃がん大腸がんをはじめ肝胆膵領域や乳がん肺がんに対しての治療も積極的に行っています。低侵襲(ていしんしゅう)な治療を心がけており、胃がんや大腸がんでは腹腔鏡下手術(ふくくうきょうかしゅじゅつ)を多く行っており、肺がんの治療においては胸腔鏡手術を完全鏡視下で行っています。また、2023年6月から手術支援ロボット“ダヴィンチ”による手術を開始しました。 現在、前立腺がんなどを対象に稼働しており、さらに患者さんの体への負担が少ない治療が可能となっています。

当院は、地域医療支援病院として地域住民の皆さんの健康を支える役割を担っていますが、これは理念である“仁愛の心で地域の皆様とともに”を具体化するための重要な取り組みです。

たとえば、患者サポートセンターでは医療福祉相談を行っており、地域医療連携の円滑化に尽力しています。また、同センターでは紹介患者の受け入れ調整や退院支援も行っており、地域との医療・介護連携の強化を図っています。地域のニーズに対応し患者さん一人ひとりに合わせた医療サービスを提供することで、地域医療の中核としての役割を果たし続けているのです。今後も地域住民の皆さんに寄り添い、信頼される医療を提供することは当院の重要な使命です。

当院では、腹部救急疾患に特化した“海老名総合病院 腹部救急疾患対応チーム”を新たに発足しました。このチームは、緊急の腹痛症状を持つ患者さんに迅速に対応するためのもので、地域連携を通じて専用の予約枠(*)が設けられています。たとえば、患者さんが来院すると最初は消化器外科医師を中心に構成された専門チームが対応します。次に必要に応じて消化器内科、泌尿器科、心臓血管外科といったほかの診療科とも迅速に連携を取ります。

対応する腹痛症状は多岐にわたり、消化器系疾患、急性腹痛、重症便秘、尿路結石症、尿路感染症急性大動脈解離心筋梗塞(しんきんこうそく)などの幅広い症状や病気に対応が可能です。

*医療機関からのご紹介のみ。一般の患者さんからのご相談はお受けできません。

当院は“医療の三方よし”を目指し、患者さん、働き手、地域にとってよい医療を提供することを目指しています。当院の長期ビジョンは地域密着型高度急性期病院としての役割を果たすことです。国からの預かり物である病床を目一杯使って地域に貢献するという意味で、必要とされる医療の提供を適切に行い、病床稼働率を100%にすることを目標としています。

そのためにも引き続き救急医療を基本とし、さらに、がん脳卒中、急性心筋梗塞外傷の治療などに幅広く注力していきます。また、地域医療連携推進法人としてコマンドセンターを活用し、地域医療に貢献できればと考えています。たとえば、急性期が終了した患者さんのその後のケアについても、コマンドセンターが重要な役割を果たすと考えています。また、ハード面だけでなく人材育成にも力を入れており、医学教育の博士号を持つ医師を中心に組織全体で必要な人材の育成に取り組んでいます。

今後も当院は地域に密着した急性期医療の提供、人材育成、効果的な組織運営を通じて、地域医療の質の向上に貢献していきます。

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