院長インタビュー

桐生市とみどり市の公立病院として90年の歴史を誇る桐生厚生総合病院

桐生市とみどり市の公立病院として90年の歴史を誇る桐生厚生総合病院
加藤 広行 先生

桐生地域医療企業団 企業長、桐生厚生総合病院 病院長

加藤 広行 先生

目次
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桐生厚生総合病院は、桐生市とみどり市の中核的な病院として、二次救急医療体制で365日24時間救急患者を受け入れています。また、高度急性期から急性期、回復期までを幅広く診療する地域密着型の病院機能も持ち合わせており、さまざまなニーズに合わせ診療を行っています。同院の役割や今後について、同院の院長である加藤 広行(かとう ひろゆき)先生に伺いました。

当院は群馬県南東部の桐生市JR桐生駅から徒歩10分に位置し、地域唯一の公立総合病院として桐生市約10万人とみどり市約4.9万人(2024年2月時点)の市民の皆さんの健康を支えています。

当院は1934年に桐生医療購買利用組合による“桐生組合病院”として発足し、1957年に現在地に移転して1988年に現在の病棟が完成しました。そして、2023年から当院の母体は桐生地域医療組合から桐生地域医療企業団に変わりましたが、これからも変わらずこの地域の公立総合病院としての役目を果たしていきたいと思っています。

現在、当院は25の診療科を持ち、一般病床420床、感染症病床4床を擁しています(2024年2月時点)。また、一般病棟に加えて、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟も備えているため、高度急性期から回復期まで幅広い患者さんへの対応が可能です。

さらに、当院は地域がん診療連携拠点病院に指定されており、また地域周産期母子医療センターとしての役割も担う小児周産期医療の拠点病院でもあります。さらに、災害拠点病院としての指定も受けており、災害時には傷病者の受け入れおよび搬出、また災害派遣医療チーム(DMAT)の派遣なども行っています。

当院は地域がん診療連携拠点病院として、手術、化学療法、放射線治療を効果的に組み合わせた集学的治療を実施し、緩和ケア提供体制も整備しています。

特に、消化器外科領域では胃がん診療において日本胃癌学会の認定施設として認定を受けているため、安心して治療を受けていただけるのではないかと思います。また、消化器外科や泌尿器科を中心に腹腔鏡下手術(ふくくうきょうかしゅじゅつ)、機能温存を目指した低侵襲(ていしんしゅう)(体に負担が少ない)手術を積極的に行っています。今後の展望としては手術支援ロボットの導入も予定しており、泌尿器科から取り入れていく計画を考えています。

また、啓発の面でも地域に貢献できるよう、がん診療に関する市民公開講演を年に2回ほど行っています。

地域周産期母子医療センターとしての役割も重要なものであり、地域の新生児医療の中核を担うため、新生児未熟児センターを備えています。新生児未熟児センターは、NICU(新生児集中治療室)6床、GCU(回復治療室)9床からなり、母体や新生児に病気がある場合などには、産科と協力し母体搬送も積極的に受け入れています(2024年2月時点)。

また、当院ではお子さんが退院した後の支援にも力を入れており、極低出生体重児などのご家族を対象に発達や離乳食についての悩みを相談したり、家族同士で交流したりする会を年に2回開催しています。この取り組みは20年以上継続しています。

さらに、小児科では発達外来を開設していますので、退院後も継続してサポートを行います。また、小児科では公認心理士と協働して小児の発達や心理的な面での困り事にも積極的に対応しています。

当院はこの地域で脳神経外科の専門的治療が行える唯一の病院として、一次脳卒中センターの指定を受けています(2024年2月時点)。脳神経外科では、脳出血くも膜下出血、急性期の脳梗塞(のうこうそく)といった脳血管障害や脳腫瘍(のうしゅよう)などを扱っています。特に、脳血管障害の急性期治療に力を入れており、超急性期の脳梗塞に対する脳血栓回収術においては24時間体制で受け入れを行っています。

足の健康を保つことは健康寿命を考えるうえでも重要なことですが、当院では糖尿病フットケア外来を開設し、糖尿病の方の足を守れるよう努めています。糖尿病フットケア外来では、当院の糖尿病内科外来へ通院中の方を対象に、糖尿病看護認定看護師、日本糖尿病療養指導士、フットケア指導士*が担当して、皮膚科の外来でケアを行っています。また、皮膚科では足の専門外来として“足外来”を行っており、糖尿病フットケア外来と連携しながら診断や治療を行っています。

*糖尿病看護認定看護師……日本看護協会より認定を受けた看護師。

日本糖尿病療養指導士……日本糖尿病療養指導士認定機構より認定を受けた指導士。

フットケア指導士……日本フットケア・足病医学会より認定を受けた指導士。

当院では、先ほど述べた新生児未熟児センター以外にもいくつかのセンターを開設しており、より専門的な治療を行えるよう努めています。たとえば、透析を行う腎センターなどがあり、こちらでは重篤な合併症を併発している患者さんや、緊急で透析が必要な患者さんなどの受け入れも行っています。

また、2023年6月よりヘルニアセンターを開設しました。成人の鼠径(そけい)ヘルニアや大腿(だいたい)ヘルニア、腹部のヘルニアなどの診療を専門的に行っており、ヘルニアの専門外来も設けています。

今後は、脊椎(せきつい)センターも開設する予定です。センター化するメリットは、診療の的を絞り専門性に特化することで、患者さんにとっても何を診療しているのかが伝わりやすいという面があると思っています。そのため、今後もセンター化には力を入れていければと考えています。

チーム医療とは、医師や看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士など多種の医療専門職のスタッフが集まり、連携を取って治療やケアを行うことです。当院ではチーム医療を大切にしており、機能的な連携が図れるよう取り組んでいます。たとえば、栄養サポートチームや褥瘡(じょくそう)対策チーム、摂食嚥下(せっしょくえんげ)支援チーム、緩和ケアチームなどがあり、さまざまな角度から患者さんをサポートできるよう努めています。

当院の使命は、地域の中核病院として変化の時代に生き残れる、持続可能な医療提供体制を確保することです。そのためには、建物などハード面の強化も重要ですし、医師を確保することも大切です。やはり病院も人が集まることによって繁栄していくものだと思うので、地域の外からも人が集まるような病院を目指していきたいと考えます。

2024年で90周年を迎える当院ですが、当院の基本理念である“信頼され、心が通う地域医療”を胸に、これからも地域の医療を支えていけるよう全力を尽くしてまいります。

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