院長インタビュー

透析医療を中心に予防医療から介護まで、切れ目のない医療を提供するJCHO千葉病院

透析医療を中心に予防医療から介護まで、切れ目のない医療を提供するJCHO千葉病院
岡住 慎一 先生

独立行政法人 地域医療機能推進機構 千葉病院 院長

岡住 慎一 先生

目次
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千葉県千葉市中央区にあるJCHO千葉病院は、1951年の開設以降、地域の医療機関と連携して病気の予防、急性期、回復期、慢性期、介護、在宅医療に及ぶ一連の医療対応を担っています。

地域医療を担う中核的な病院として欠かせない存在である同院の役割や今後ついて、院長の岡住 慎一(おかずみ しんいち)先生に伺いました。

当院は1951年に千葉社会保険病院として開設されました。2014年に社会保険病院と厚生年金病院、船員保険病院の3つの団体が統合され、独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO)が設立されたのをきっかけに、病院名が独立行政法人 地域医療機能推進機構 千葉病院(略称:JCHO千葉病院)に変わりました。

この場所はかつて結核療養所があるエリアでしたが、結核以外の診療ができる総合病院を作ろうということで当院が開設されました。開設後は診療科を増やして、人工透析を中心に専門的な医療サービスの提供に注力し、運用してまいりました。

また、病床数を開設当初の100床から160床に増やしたほか、健康診断を行う健康管理センターや100床を有する介護老人保健施設、腎センターを併設するなど医療体制を拡充させ、健診から、急性期医療、回復期医療、さらには介護まで、地域の皆さんが必要とする医療サービスをシームレスに提供できる体制を整えています。

当院の強みは、腎センターで充実した透析医療を受けられることです。透析ベッドは70床あり、年間の透析回数は約4万回に達しています*。また、透析は患者さんの健康面や生活面で大きな負担になることから、少しでも患者さんの負担を軽減できるように、外来では午前・午後・夜間の時間帯で受け付けており、入院透析も可能な体制を整えました。

透析を受けている患者さんは高齢の方が多く、糖尿病や循環器の病気などさまざまな病気を併発していることがあるため、複数の診療科での治療を必要とするケースは少なくありません。そこで当院は総合病院の強みを生かし、腎疾患に関連する診療科を強化してきました。

たとえば、循環器内科では虚血性心疾患などの合併症がある透析患者さんの診療を、消化器内科では肝胆膵疾患などがある透析患者さんの診療をしています。

また、透析患者さんは脚に血が流れにくくなって血管が詰まってしまうケース(重症下肢虚血)もあることから、循環器内科でカテーテル治療、整形外科で外科的な治療を行っています。

*2023年1月~12月実績:循環器内科48例、整形外科20例

腎臓内科では『腎炎の早期診断と治療』『できるだけ透析にしない』『できるだけ長く透析までの期間を稼ぐ』ことを治療目標に掲げています。それでも透析が必要になってしまった患者さんに対しては、腎センター(腎臓内科・透析科)として腹膜透析カテーテル留置術や、感染抜去やカテーテルの位置変更といったカテーテルトラブル対応、シャント造設やシャント瘤切除などといったバスキュラーアクセス手術、シャントの血管内治療(PTA)も行っています。

また、千葉県内で唯一の血液内科が診られる腎臓内科で(2024年4月時点)、多発性骨髄腫(たはつせいこつずいしゅ)に関連した腎障害、腎不全に合併した骨髄異形成症候群や良性血液疾患などの診療も行っています。このように、腎臓内科は腎不全の保存期から透析、透析の維持まで関わっているため、トータルでの治療を受けられるのが特徴です。

併設している健康管理センターでは、病気の早期発見・早期診断、生活習慣病の予防と指導、メタボリックシンドロームの予防と指導、受診者の安心と満足を理念に掲げ、年間約35,000人*の方の人間ドックや健診などを行っています。

また、巡回健診車を2台運用し、企業にお勤めの方や、来院が困難な地域の皆さんの健康診断も積極的に行っています。診断の結果、さらに詳しい検査や治療が必要な場合には当院の各診療科にて診療を受けることができ、健診から治療までシームレスにサポートできる体制が整っています。

*2023年1月~12月実績:院内18,580例、巡回9,066例

当院では地域連携を進めており、当院への2024年2月の紹介率(ほかの医療機関から紹介されて受診する患者さんの割合)は82.7%、逆紹介率は95.9%になります。逆紹介とは病状が安定した患者さんを紹介元の医療機関や地域の診療所などに紹介することで、患者さんはそれぞれの医療機関が得意とする分野の診療をスムーズに受けることができます。

また、近隣には国立病院機構 千葉東病院(以下、千葉東病院)や千葉大学医学部附属病院、千葉県がんセンターがあり、それらの大きな病院とも連携を深めています。診療においては、たとえば専門的な治療を必要とするケースや難病、まれな病気などは千葉東病院や千葉大学医学部附属病院、がんの治療で新しい薬を使う場合などには千葉県がんセンターを紹介しています。

一方、当院は透析や腎臓に関する診療に強みがあることから、難しい透析を必要とする患者さんや合併症が懸念される患者さんの紹介を数多く受けています。このようにお互いがそれぞれの特徴を理解して医療を提供しています。どの医療機関に受診しても、紹介・逆紹介によって患者さん一人ひとりに合った診療を受けることができるのは、地域の皆さんにとって大きなメリットになるかと思います。

岡住 慎一先生

高齢化社会を迎えるなか、地域医療における今後の課題を考えると、急性期治療後の回復期を迎えた患者さんを地域全体でどのようにサポートしていくのかが重要になってくると思います。

当院には地域包括ケア病棟があり、急性期治療を終えた患者さんの在宅復帰を支援することができます。また、介護老人保健施設も併設しており、介護を必要とする方やそのご家族の負担軽減にお役に立てるかと思います。

こうした当院の強みを生かし、初期診療から急性期、回復期、そして介護まで、切れ目のない医療サービスを提供していきたいと考えています。あわせて、地域の医療機関と協力しながら地域医療基盤の充実に寄与していく所存です。

最後になりますが、病院の建替えが終わり、新しい医療機器と快適な診療空間を備えた7階建ての新しい病院で皆さんをお迎えできるようになりました。機能を継続・充実させ、理念に掲げている『質の高い医療の継続的提供』と『地域社会貢献』を果たしてまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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  • 独立行政法人 地域医療機能推進機構 千葉病院 院長

    岡住 慎一 先生

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