院長インタビュー

胃・大腸・肛門領域に特化した医療を提供する寺田病院

胃・大腸・肛門領域に特化した医療を提供する寺田病院
寺田 俊明 先生

医療法人社団俊和会 寺田病院 理事長、院長

寺田 俊明 先生

目次
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東京都足立区にある寺田病院は、1972年に夜間診療所として開院しました。現在は、胃・大腸・肛門領域を中心とした専門性の高い医療を提供しており、地域のみならず全国、また海外からも患者さんを迎えています。病院の診療体制や特徴について、理事長兼院長を務める寺田 俊明(てらだ としあき)先生にお話を伺いました。

外観
寺田病院外観

当院は消化器系、特に肛門の病気に注力しており、大腸や肛門、内視鏡などを専門とする医師を中心に、専門的な検査や治療を行えるよう診療体制を整えています。

胃腸と肛門はつながっており、肛門から出血があった場合一見すると“”のように思えても実は大腸がんなど別の病気が潜んでいることもあるため、さまざまな可能性を考慮する必要があります。そのため、内視鏡など必要な検査をしっかりと行ったうえで診断や治療につなげます。当院には、肛門疾患を専門とする医師だけでなく、胃や大腸に特化した日本消化器内視鏡学会認定の専門医も在籍しているため、安心して検査から治療まで受けていただけるのではないかと思います。

患者さんに配慮した待合室

肛門科を受診することに抵抗がある患者さんに配慮し、胃・大腸肛門病センターは、待合室や診療室で胃腸内科と肛門外科のどちらを受診するのか、分からない構造にしています。また、診療室と内視鏡センターにそれぞれ男女別の待合室を設置し、患者さんのプライバシーに配慮した環境整備を行っています。

1階待合フロア
2階外来待合室

当院には前述のとおり専門性の高い医師がそろっており、日本大腸肛門病学会や日本臨床肛門病学会など、各学会の専門医・指導医が多数在籍しています。そのため、肛門の三大疾患といわれる痔核(じかく)(いぼ痔)、裂肛痔瘻(じろう)はもちろん、さまざまな症例に専門的な対応が可能です。

適切な診断・手術で根治性の向上や再発防止を目指す

手術の様子

治療法としては、保存的療法や手術療法があり、手術を行う場合は日帰りか入院が必要かなど、適切な診断を踏まえて選択していきます。近年は、その手軽さもあり日帰り手術を求める患者さんも少なくないですが、日帰り手術が必ずしも“最新手術”“楽な手術”というわけではありません。手軽さだけに目を向けず、自分の病気にはどんな手術が適しているのか、根治性や再発についても考慮したうえで治療を受けていただきたいと思います。

当院では、それぞれの患者さんに合わせた治療法の選択はもちろん、排便習慣や生活習慣の改善など、根本の部分から改善していけるような指導も行っています。

女性専用外来

肛門の診療では、異性の医師に診られることに抵抗がある方も少なくないため、当院のサテライトクリニックである“アイビー大腸肛門クリニック(巣鴨)”と“浅草胃腸肛門クリニック(台東区花川戸)”では、火曜日と金曜日(浅草胃腸肛門クリニックは火曜日のみ)を女性専用とし、医師もスタッフも、患者さんも全て女性に限定して診療を行っています。

当院では、上部内視鏡(胃カメラ)、下部内視鏡(大腸カメラ)ともに検査を行っています。どちらも患者さんにとって不快感を伴う検査ですが、極力不快感のないよう心がけています。上部内視鏡検査は、麻酔(鎮静剤)を使用したり経鼻内視鏡で鼻からカメラを挿入したりするなど、複数の選択肢を用意しています。また下部内視鏡検査では、手技を磨き経験を重ねた医師が検査を行うことで、患者さんの負担軽減を図っています。

サテライトクリニックでの検査も可能

当院では、胃と大腸の内視鏡検査を一日で済ませられるように調整し、患者さんの時間的な負担軽減も図っています。また、足立区にある当院を含め、豊島区巣鴨と台東区浅草にあるサテライトクリニックでも内視鏡検査を受けられますので、多くの方に手軽に検査を受けていただけます。

病室(個室)

痔(肛門外科手術)

当院で行う痔の手術では、“根治性”を重視しています。近年、痔の手術においても“日帰り”でできることを強調した手術が散見されますが、そもそも局所麻酔下(あるいは一部の部分麻酔)で行う日帰り手術は、切除できる浅い範囲で行う簡易的な手術であり、腰椎麻酔(ようついますい)や全身麻酔を使用し肛門括約筋を弛緩(筋肉を緩ませる)させないと深い部分までの手術はできません。つまり、日帰り手術と入院手術でできる治療は別物であり、根治性なども異なると考えていただいたほうがよいのです。

日帰り手術にももちろんメリットはありますし、痔核(いぼ痔)に関していえば、切らずに行える注射療法など新しい治療法も登場しています。しかし、“日帰り”という言葉だけに惑わされず、本当に自分に必要な治療を検討してほしいと思います。

手術室

鼠径ヘルニア・下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)

当院では、痔など肛門疾患だけでなく鼠径ヘルニア下肢静脈瘤の手術も積極的に行っています。

鼠径ヘルニアとは、脱腸ともいい、お腹の筋膜に穴があいて小腸などの内臓が飛び出してしまう状態です。悪化すると腸閉塞(ちょうへいそく)腹膜炎などにつながり、根本的な治療には手術が必要です。患者さんの年齢や穴の大きさ、初発か再発かなどを踏まえて診断し、それに合わせたて適切な術式を選択します。

下肢静脈瘤は下から上に流れている足の血管が逆流し、血管がコブのように膨らむ状態をいいます。当院では下肢静脈瘤センターを設け、外科手術や内服、弾性ストッキングの着用など、さまざまな治療法から選択したり、組み合わせたりして治療にあたります。

検査の様子

当院では、足立区特定健診やがん検診(乳がん検診を除く)を行っていますが、新たに消化器に特化した人間ドックをはじめました。全身のスクリーニングができる1日ドックや、胃カメラ大腸カメラでの検査を単独で受診できる胃・大腸内視鏡ドックと大腸内視鏡ドックがあり、いずれも鎮静剤(セデーション)を使用し苦痛を軽減しながら検査を行っています。また、大腸ポリープが見つかった場合には希望により検査当日の切除も可能です。

2019年4月に日暮里健診プラザを開設しました。各種健康診断人間ドックを行っています。これからの日本において、予防医療は今以上に力を入れるべき課題になるでしょう。当院も健康診断に力を入れることで、予防医療に貢献していきます。

当院は、これからも肛門や大腸の病気に特化して技術を高め、よりよい医療を提供していきたいと考えています。脳や心臓なども診て、幅広くさまざまな病気に対応しようという目標は持っていません。そのため“餅は餅屋”というように、それぞれ得意な医師に患者さんを紹介できるネットワークを持つことが大切だと考えています。近隣の医師と交流し連携して、当院で診られる患者さんは当院が、そうでなければその分野を得意とする病院へ、というようにうまく連携を取りながら、地域の皆さんの健康を守っていきたいです。

今の時代、病気に悩む患者さんがインターネットで情報収集することは珍しくありません。特になどの肛門疾患については、かかりつけ医や家族に相談することにも抵抗があり、一人で情報収集をする方が多いのではないかと思います。しかしインターネット上には誤った情報もあります。毎日苦しんでいる患者さんに正しい情報を届けたいと、啓発のためのウェブサイトを監修し、制作しました。肛門関連疾患、胃腸関連疾患、鼠径ヘルニア下肢静脈瘤それぞれについてのサイトや、肛門疾患の診察から手術の流れをバーチャルでご紹介するサイトがあります。

また、痔や下肢静脈瘤、鼠径ヘルニアについて、でき方、手術の流れなどの動画も制作しており、インターネット上にアップロードしています。正しい情報をより広く、分かりやすく届けるためです。患者さんの理解を深めるために制作しましたが、学会で披露したところ医師たちにも好評でした。

当院では、WebやLINEを利用した予約システムも構築しており、患者さんがより受診しやすい環境づくりに努めています。

繰り返しになりますが、安易な謳い文句に惑わされず適切な治療を受けてほしいと思います。“日帰り=最新手術”と考えている方も多いと思いますが、必ずしもそうではありません。自分の病気にはどんな治療が適切なのか、ぜひ専門の病院に相談をしていただければうれしいです。

当院は胃腸・肛門の病気に特化し、専門的な診断や治療の行える病院として幅広い地域から患者さんを受け入れています。東京都内はもちろん、埼玉県から受診する方も多いですし、秋田県や京都府、伊豆大島など全国からも患者さんがいらっしゃいます。また、台湾やドバイなど海外から患者さんが来ることもあります。これからも専門性を大切に、多くの患者さんへ適切な医療を提供していきたいと考えています。

医師として、なんでもできるよ、と言えることは、それはそれで大切だと思います。しかしやはり、この病気は任せろ、と言える強みを持つことが重要です。医師を目指す方の多くは、研修を受けながら自分の専門を決めると思いますが、なかなか難しいことでしょう。私は、卒業後7年目にして大腸・肛門を専門に決め、そこに特化した病院で勉強することができました。大腸・肛門に特化した診療を続け、今では遠くからでも患者さんが来てくれますし、当院で働きたい、と応募してくる医師もいます。

どこか、何かのきっかけで“自分の専門はこれだ!”というものが見えたときに、その分野の先駆者といえる医師のもとでしっかり学ぶことが大切だと思います。

実績のある医師をチェック

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