院長インタビュー

患者さんと職員が笑顔になれる病院づくりを目指す順天堂大学医学部附属練馬病院

患者さんと職員が笑顔になれる病院づくりを目指す順天堂大学医学部附属練馬病院
浦尾 正彦 先生

順天堂大学医学部附属練馬病院 小児外科 診療科長 兼 院長

浦尾 正彦 先生

目次
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順天堂大学医学部附属練馬病院は2005年の開設以来、地域の急性期医療を担ってきました。断らない救急医療に力を注ぐ一方で、地域の医療機関との連携強化を進める同院の役割や今後について、院長である浦尾 正彦(うらお まさひこ)先生に伺いました。

当院は順天堂大学医学部附属の6番目の病院として、2005年7月に開院しました。練馬区には約75万人が暮らしており、東京23区の中で人口の多さは第2位です(2024年5月時点)。一方、当院ができるまで人口当たりの病床数は最下位で、救急患者さんの多くは近隣の区に搬送・入院せざるを得ない状況が続いていました。そうした状況を打開するべく、練馬区からの依頼を受けて当院が設立されることとなりました。

こうした経緯がありましたので、当院は開院した当初から急性期の患者さんを積極的に受け入れてきました。400床からスタートした病床数は2020年に490床へと増床し、2023年3月には三次救急を担う“東京都救命救急センター”に認定されるまでになりました。またコロナ禍ではCOVID-19に感染した患者さんの治療にあたるなど、地域に根ざした医療も展開しています。大学病院ならではの医療の質を担保しながら、地域の医療機関としての役割も担うことにより、練馬区やその周辺にお住まいの方々の暮らしをしっかりと支えてまいります。

24時間365日体制で対応する救急医療は、地域の基幹病院である当院が担う大きな役割と言ってよいでしょう。二次救急指定病院として開院以来、重症患者さんをできる限り断らないことを念頭に置いて取り組み、脳卒中や急性中毒心筋梗塞(しんきんこうそく)など一刻を争う患者さんを積極的に受け入れてきました。またコロナ禍においても“断らない救急医療”を掲げ、いわゆる“たらいまわし”になる恐れのある患者さんを確実に受け入れて尽力しました。

救急車の受け入れ台数は右肩上がりに増えており、2023年度は9,000件に迫るまでになっています。医師、看護師、救命救急士を中心にしたチーム医療により、多くの患者さんの命を救ってきた実績が評価され、2023年3月には東京都救命救急センター(三次救急)の認定を受けました。このことは三次救急の空白地帯だった環八通り沿いの地域医療にとっても非常に意義のあることです。今後もさらに救急医療体制の充実に努め、地域の救急医療に貢献してまいります。

当院では妊婦さんが安心してお産ができる環境を提供し、出産後も引き続きお母さんとお子さんの健康を見守っています。中でも妊娠37週未満での出産や多胎妊娠など、母体・胎児・新生児に何らかの問題が生じる恐れのある“ハイリスク妊娠”に対応できることは、大学病院ならではの強みと言えるでしょう。分娩室には産科専用の手術室を併設し、NICU(新生児集中治療室)6床とGCU(新生児治療回復室)12床を備えています。

小児科では練馬区で唯一、小児外科に対応していることも特徴です。私自身が小児外科を専門にしていることもあり、生まれたばかりの赤ちゃんから中学生を対象に、体への負担の少ない低侵襲手術(ていしんしゅうしゅじゅつ)を行っています。鼠径(そけい)ヘルニアや膀胱尿管逆流症に対する内視鏡外科手術のほかロボット手術にも対応でき、必要があれば赤ちゃんが生まれたその日のうちに手術をすることも可能です。NICUをはじめとした充実した設備のもと、他科と連携することで安全性を担保しつつ高度な医療をご提供しています。

救急医療、小児・周産期医療に加えて、当院に課せられたもう1つの使命が“がん診療”です。当院は2015年4月に東京都がん診療連携拠点病院の認定を受けており、乳がん大腸がんをはじめとしたほぼ全てのがん診療に対応しています。近隣の杉並区、中野区、世田谷区を含めた“地域のがん診療の中心拠点”として、その役割をしっかりと担ってまいります。特に前立腺がん、乳がん、肺がん、大腸がん、胃がん子宮頸がんの実績が評価されています。

がんに対する手術件数は着実に増え続けており、中でも件数を増やしているのが患者さんへの負担が少ないロボット支援手術です。当院では手術支援ロボット“ダヴィンチ”を2台導入しており、泌尿器科、消化器外科、産婦人科、小児外科において年間300件以上のロボット支援手術を行っています。ロボット支援手術では操縦席に座った執刀医がロボットを操作するのですが、当院のダヴィンチには2つの操縦席があるため、若手の医師も手術手技を学べるよい機会になっています。

ここまでお話ししたように、当院は地域の中核的な病院として救急医療、小児・周産期医療、がん診療を柱に診療をしています。命に関わる病気やけがを負った患者さんの命を救う急性期医療を担うことが私たちの使命である反面、この地域で急性期医療に対応できる医療機関は限られていますので、急性期を脱した患者さんを継続して診ていくことは難しいのが現状です。リハビリテーション病院やかかりつけの先生方と上手に役割分担をしながら、医療資源を有効活用する必要があるのです。

当院は患者さんと医療をつなぐ“ハブ病院”としての役割を担い、地域に暮らす方々が不安なく毎日を過ごせるように取り組んでいます。開院以来、地域の医療機関との連携強化を進めてきたおかげで、がんが見つかった患者さんを当院にご紹介いただいたり、退院後の患者さんをかかりつけの先生にお返ししたりといった、紹介/逆紹介の件数は地域でトップレベルです。今後も区民の皆さんに向けた健康医学講座や出張講座などを積極的に開催し、医療をもっと身近に感じていただけるように努めてまいります。

MN

昨今の医師の働き方改革に伴って人材不足が懸念されるなか、若手医師や特定看護師の育成に力を入れ、医療現場におけるタスクシェア、タスクシフトを進めています。こうした取り組みにより、地域の皆さんに心からご満足いただける医療をご提供したいと考えてえます。

私が院長に就任した2023年以降、当院は“Team Nerima is One Team! (チーム練馬はワンチーム”のスローガンのもとにチームの結束を強め、よりよい医療提供体制づくりを目指してきました。大学病院として高度な医療を実践するとともに、地域の医療ニーズにもしっかりと対応することにより、今後もよりいっそう地域に貢献してまいります。

病床数、診療科、提供する医療の内容等についての情報は全て、2024年5月時点のものです。

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