てんかん

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治療

てんかんの治療は基本的に神経細胞の異常興奮を抑える作用を持つ抗発作薬の内服治療が行われます。上記のような問診や検査に基づくてんかんの正確な病型診断と、それに合わせた適切な抗発作薬の選択が重要であり、発作がなかなか減らない場合はてんかん専門医への受診がすすめられます。多くは、適切な抗発作薬の服用を続けることでてんかん発作を抑制することができ、通常の社会生活を送ることができるようになります。

一方で、複数の抗発作薬の調整を受け、適切な服用を続けても発作が難治に経過する場合があり、それに対してはてんかん外科治療が有効な場合があります。術前検査で、発作起始部位をある程度絞り込んでおきます。手術で頭蓋内電極を留置、解析し発作の原因部位が明確に同定でき、かつ的確に切除が可能な場合、発作を抑制することが期待できます(頭蓋内電極留置術および焦点切除術)。また、海馬硬化を伴う片側の内側側頭葉てんかんに対する海馬扁桃体切除術や側頭葉切除術は、内服のみの治療と比べると、より高い確率で発作のコントロールが得られることが証明されています。これらの外科治療は病変の切除により発作の完全な抑制を狙うもので、根治手術に分類されます。

てんかん外科治療としては、てんかん病巣の切除ができない場合でも発作を減らすことを目的とする緩和的手術が適応となる可能性があります。代表的なものに、脳梁離断術、迷走神経刺激装置(VNS)植え込み術、脳深部刺激療法(DBS)が挙げられます。脳梁離断術は、左右の脳をつなぐ脳梁を開頭して離断する手術であり、脱力発作やスパズムによる転倒発作を減らす効果があり、主に小児期に行われます。迷走神経刺激は頸部(けいぶ)の迷走神経に電極を巻き、ペースメーカーのような形状の発動機を胸部の皮下に留置し持続的に電気刺激を行うことで、全般発作を含むさまざまなてんかん発作の頻度を減らしたり発作の程度を軽くしたりする効果があります。脳深部刺激療法は、元々パーキンソン病や振戦の治療に用いられてきましたが、2023年より焦点発作に対しても保険適用となりました。主に焦点切除術が困難または無効だった患者さんに対して行われます。左右の視床前核に細い電極を留置し、発動機は胸部皮下に留置します。術後に微弱な電流を持続的に流し調整することで発作を減少させる効果があります。

そのほかにも、糖質を制限して脂質の多い食事を取る“ケトン食療法”、小児のウェスト症候群に対して副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を注射する“ACTH療法”もてんかん発作を抑える作用があるとされており、薬物療法と併用して行われることがあります。

スパムズ:手足や体の筋肉が瞬間的に収縮すること。

最終更新日:
2025年05月20日
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2025/05/20
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2017/04/25
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