治療
てんかんの治療は基本的に神経細胞の異常興奮を抑える作用を持つ抗てんかん薬の内服治療が行われます。多くは、抗てんかん薬の服用を続けることでてんかん発作を抑制することができ、通常の社会生活を送ることができるようになります。
一方で、複数の抗てんかん薬の服用を続けても発作が難治に経過する場合があり、それに対してはてんかん外科治療が有効な場合があります。発作の起始が明確に同定された場合、異常興奮が生じている脳の一部を切除する手術(焦点切除術)が有効です。内側側頭葉てんかんに対する海馬扁桃体切除術や側頭葉切除術は高い確率で発作のコントロールが得られることが証明されています。
てんかん外科治療には、脳の手術以外に迷走神経刺激装置植え込み術もあります。てんかん病巣の切除が困難な場合、頸部の迷走神経に電極をまき、ペースメーカーのような発動機を胸部の皮下に留置し常時刺激を行うことで、発作の頻度を減らしたり発作の程度を軽くしたりする効果があります。
そのほかにも、糖や炭水化物を制限して脂質の多い食事を取る“ケトン食療法”、小児のウェスト症候群に対して副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を注射する“ACTH療法”もてんかん発作を抑える作用があるとされており、薬物療法と併用して行われることがあります。
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