症状
てんかん発作の種類と特徴
てんかん発作の主な分類としては、脳の一部から発作が生じる焦点発作(部分発作)と、両側大脳半球が同時に巻き込まれる全般発作があります。
焦点発作(部分発作)
焦点発作は、発症部位がつかさどる機能に何らかの異常が現れるようになります。具体的には、手や足の運動をつかさどる部位に発症した場合は手足のけいれんが生じ、視覚をつかさどる後頭葉に発症した場合は視覚や視野の異常といった症状が現れるようになります。また、側頭葉などに波及した場合は、けいれんしなくても開眼したまま意識を減損し動作が停止する、手足をもぞもぞ動かしたり口をもぐもぐさせたりするなど、見た目では分かりにくい意識減損発作をきたすことも少なくありません。
焦点発作の場合も、神経細胞の異常興奮が脳全体に広がっていくケースもあります。このような場合には、意識消失や全身のけいれんといった症状が現れます。発作自体は通常数十秒から数分で自然に収まりますが、発作終了後もしばらく意識が朦朧としていることがあります。患者自身はこのような発作が生じている最中の記憶はないとされており、車の運転中などに発症することで思わぬ事故を引き起こすケースがあります。
全般発作
全般発作は脳の両側で同時に異常な興奮が起こる場合に発生し、多くの場合、発作の開始時から意識を失います。さまざまなタイプの全般発作がありますが、その代表的なものに強直間代発作があります。この発作では、患者は突然意識を失い、全身が硬直した後、ガクガクと筋肉の律動的な収縮を起こします。
また、欠神発作も全般発作の一種です。欠神発作では、患者は数秒から数十秒間意識を失い、突然動きが止まって周囲に反応せず、ぼんやりとした状態になります。この発作では倒れたりけいれんしたりしないため、周囲の方がてんかん発作と気付かず、単に集中力が欠けているだけだと誤解されることがあります。
そのほか、全身の筋肉が突然緩み、頭や体が崩れるように倒れる脱力発作、手足や体の一部分の筋肉が一瞬収縮しぴくつくミオクロニー発作があります。
てんかん重積状態
てんかん重積状態とは、てんかん発作が異常に長く続くか、意識が回復しないまま発作が繰り返し起こる状態を指します。通常、てんかん発作は数秒から数分程度で治まり、その後意識が回復するものです。
以前は「けいれん発作ある程度の長さ以上続く、または短い発作が反復し、その間に意識の回復がない状態」と定義されていましたが、発作が30分以上続くと脳に後遺症が生じる可能性があることが分かりました。そのため、現在では5分以上発作が続く場合や、意識が回復しないままけいれんを繰り返す場合には、速やかに治療を開始するべきとされています。
このような状態に陥った場合は、緊急用の発作を抑える薬を使用したり、救急車を呼んだりするなど、迅速な対応が必要です。
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