
生理痛(月経痛)は生理前から生理後にかけて下腹部に生じる痛みのことです。原因は子宮で分泌されるホルモンが子宮を過剰に収縮させることだとされています。また、生理痛が強く生活に支障をきたす場合には“月経困難症”と呼ばれ、下腹部の痛みのほかにも腰痛、食欲不振、イライラなどの症状がみられることもあります。この場合は婦人科の受診が必要となる症状ですが、軽い運動やストレス解消などで改善できる場合もあります。
このページでは、生理痛を和らげるセルフケア方法、薬、改善されない場合の対処法などについて詳しく解説します。
生理痛が起こる原因が病気でない場合はセルフケアで和らげることが可能なことがあります。そのため、生活に支障をきたすほどの痛みでなければ、まずセルフケアによる緩和を目指すのも1つの方法です。
体の冷えなどが原因で血行が悪くなると、痛みのもとになる物質が骨盤内で増加し、生理痛を強くすることにつながるとされています。そのため、血行をよくすることで生理痛を和らげることができる場合があります。
特に生理開始の1週間ほど前からジョギング、ウォーキング、ヨガ、ストレッチなどの軽い運動をするとよいとされています。また、体を冷やさないように温めることも大切です。
緊張、生理に対するネガティブな感情など、ストレスによって自律神経のバランスを乱すことで、血行を悪くさせて生理痛が強くなることがあります。このため、ストレスの自覚がある場合は十分な休息や気分転換をするなど、ストレス解消を心がけるとよいでしょう。
セルフケアで生理痛を和らげることができない場合は、薬の服用が有効な場合があります。生理痛を和らげる薬には鎮痛薬、低用量ピル、漢方薬などが挙げられます。
生理痛が強い場合は市販薬でも構わないので、我慢せずに鎮痛薬を服用することがすすめられます。なお、市販薬にはさまざまな種類があるため、購入の際には薬剤師に相談してから使用するようにしましょう。
生理痛の原因は子宮で分泌されるホルモン(プロスタグランディン)と考えられており、市販薬を購入する際にはこのホルモンをブロックするプロスタグランディン合成阻止薬を選ぶとよいとされています。医療機関でもプロスタグランディン合成阻止薬が処方されることが一般的です。
また、鎮痛薬を服用する場合は強い痛みがきてから服用するのではなく、早めに服用するほうが効果が期待できるといわれており、できれば痛みが出る前に服用できるとよりよいとされています。
子宮や卵巣に特に病気がないにもかかわらず生理痛が強い(機能性月経困難症)場合、排卵後に卵巣から分泌されるホルモン(プロゲステロン)が痛みの原因だと考えられています。
低用量ピルは排卵を止めることができるため、プロゲステロンの分泌も抑えられ、結果的に生理痛を和らげることができます。ただし、低用量ピルは市販されておらず、医療機関で処方してもらう必要があります。
漢方薬にも生理痛を和らげる効果が期待できます。生理痛を和らげる漢方薬として、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遥散などが挙げられます。
漢方薬はドラッグストアなどで購入することができますが、医療機関で処方される場合は健康保険適用となります。
市販の鎮痛薬を服用しても生理痛がよくならない、寝込んでしまうなど生活に支障をきたすほどの痛みがあるといった場合は月経困難症が疑われるため、婦人科の受診を検討するようにしましょう。
また、いつもと違う痛みがある、生理時以外にも下腹部痛があるなどの場合は、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が原因の可能性もあります。これらの病気は不妊や流産、早産などの原因にもなり、治療が必要となるため我慢せず早めに医師に相談することが大切です。
生理痛の原因はストレスや血行不良などさまざまあり、原因を知ることで適切な対策を取ることができるので生理痛を和らげることも可能です。現在、日本には800万人以上の月経困難症の人が存在すると推定されています。しかし、治療を受けている患者は10%に過ぎないといわれており、なかには病気が原因となって生じているケースも考えられるため、痛みや気になる症状がある場合は我慢せずに婦人科を受診するとよいでしょう。
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にしたんARTクリニック品川院 院長
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