糖尿病では神経障害、血行障害、免疫力の低下により、靴擦れ、乾燥・ひび割れ、タコ、ウオノメ、変形、陥入爪、壊疽、白癬など、様々な足の病変を引き起こします。糖尿病が引き起こす足の病気について、フットケアの第一人者である杉田和枝先生にお伺いしました。
糖尿病患者さんの足の病気の直接的な原因としては、神経障害と血流障害の2つがあげられ、加えて易感染性(感染しやすくなること)などがあげられます。しかし、原因はこれだけでなく、極めて複合的です。
例えば、糖尿病網膜症による視力の低下によって、自分自身で足の異変に気づかないということは1つの要因としてあげられます。また、糖尿病腎症による下肢の浮腫から靴擦れを生じ、潰瘍に至ることもあります。
神経障害には、感覚神経障害、運動神経障害、自律神経障害があります。その全てが足病変の原因となりうるのです。
糖尿病足病変において特に注意が必要なのが感覚神経障害です。感覚神経障害は下肢に多く見られ、感覚が鈍くなったり、異常感覚をもたらしたりします。その結果として、靴擦れ、深爪、低温火傷など、による痛みを感じにくくなり、発見が遅れたり、自己流で過ごしてしまったりして感染・壊疽まで進行してしまう危険があるのです。
運動神経が障害されると、下肢や足裏の筋力が低下し、歩行の異常やアーチ構造のバランスが崩れ、様々な足の変形や関節の変形をもたらします。これらの異常は足の損傷の可能性を大きくします。
自律神経が障害されると下肢の発汗が障害され、皮膚の角化、ひび割れが生じやすくなります。
糖尿病は大血管にも細小血管にも動脈硬化を引き起こします。それにより下肢の血行が悪くなり、足の細胞の酸素不足、栄養不足が起こります。傷が治りにくくなり、潰瘍や壊疽など悪化しやすくなります。
高血糖状態が持続すると免疫力が低下します。免疫力が低下すると、皮膚への細菌感染が起こりやすい状態になります。
糖尿病で起こる足の病気の治療は、疾患により異なります。例えば、閉塞性動脈硬化症がある場合は、カテーテル治療をしたり、バイパス手術をする必要があります。
足の異常に気付いたら、早めに医師にみせるようにして下さい。一番やってはいけないことは、痛くないからという理由で放置することです。また、タコやウオノメを市販薬で治そうとしたり、自分で削ったりすると、やりすぎて新しい傷をつくることがあり危険です。やはり早めに医師にみてもらいましょう。
糖尿病では、足の病変が悪化してしまうと治療が困難なことも多くあり、下肢を切断せざるをえないこともあります。そうなる前に、日頃からフットケアを行い予防することが大切です。フットケアをきちんと学び、実践していきましょう。
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