膀胱がんの多くは粘膜の表面にとどまるため、根が浅い場合には内視鏡による手術が可能です。しかし根が深く筋層にまで達しているがんの場合には膀胱全体を手術で取り除く必要があります。膀胱がんの経尿道的膀胱腫瘍切除術と膀胱全摘除術、そして膀胱全摘にともなう尿路変更について、済生会宇都宮病院泌尿器科主任診療科長の戸邉豊総先生にお話をうかがいました。
がんが膀胱の粘膜の表面にあり、根が浅いものを表在性膀胱がんといいます。分類上は筋層非浸潤性膀胱がんといい、膀胱がん全体の約8割を占めています。この筋層非浸潤性膀胱がんは経尿道的に内視鏡で手術することができます。
膀胱がんは再発しやすいため、膀胱の中にBCG(結核予防ワクチン)を注入するという治療があります。BCG治療によって再発率を下げることができるため、表在性がんの中でも悪性度の高いものに対しては、このBCG治療が標準的な治療となっています。ただし、がんの根が深く筋層まで達している浸潤度の高いがんに対しては膀胱を全部取り除いて尿路の変更を行います。
膀胱を取ってしまった場合の尿路変更としては、尿管を直接皮膚に出す尿管皮膚瘻(にょうかんひふろう)という方法が一番シンプルなパターンです。そして次に回腸の一部を使って体の外にストマ(排泄口)をつけて、そこに尿管を吻合(ふんごう・つなぎ合わせること)するという方法があります。これを回腸導管(かいちょうどうかん)といいます。
回腸導管でストマを増設して、そこにパウチと呼ばれる袋を付けて尿をためる方法は一般的によく行われる尿路変更ですが、ストマが飛び出してしまうヘルニアなどの合併症もあり、審美的にも良くないという欠点があります。
そこでストマを従来よりも小さくして、尿をためる体内留置層を自分の腸で作る方法が開発されました。体の外にパウチをつけるのではなく、小さくなったストマにカテーテルを入れて、自分の意志で尿を出すことができます。
これが非失禁型自己導尿型リザーバーと呼ばれる方法で、小腸を使ったり大腸回盲部(だいちょうかいもうぶ・小腸と大腸がつながる部分)を使ったりしていました。1990年頃には一時期、この方法がさかんに行われていました。
ただし、この方法にも問題点がありました。腸粘膜から絶えず出てくる粘液を自分で洗うなど毎日の管理が必要なうえ、詰まってしまうとパウチの中に石ができてしまいます。尿路変更をするとただでさえ結石ができやすくなるため、結石ができないよう管理することは容易ではありませんでした。
非失禁型自己導尿型リザーバーは腸である程度の尿をためられる袋を作ることができるようになっていました。そこでスイス・ベルン大学のUrs E. Studer教授がそれを尿道につないで排尿できるようにする方法を開発しました。それがStuder式回腸代用膀胱造設術です。
私は済生会宇都宮病院に来る前に千葉大学医学部附属病院にいたのですが、その当時、スイスに留学してStuder教授の下で直接指導を受け、このStuder式回腸代用膀胱造設術を導入しました。現在、済生会宇都宮病院でもこの術式を積極的に行っています。
済生会宇都宮病院 泌尿器科 主任診療科長
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再発リスクの評価
表在性膀胱癌の手術を6月に行い、単発抗がん剤注入を受けました。 その後、先9月の膀胱鏡検査では、再発をしていませんでした。 比較的簡易な処置で済む癌ですが、1年以内の再発率60%程度と高く、一度再発すると2度目は70%、3度目80%、とさらに上がるそうです。 よって近場の泌尿器科のクリニックでがん細胞診の尿検査を毎月受け、3ヶ月毎に膀胱鏡検査をすることにしています。 しかし、その確率の高さを考えると憂鬱です。先手を打ち再発リスクを下げる方法はないのでしょうか? また、よしんば再発が免れたとしても、いったいあと何年再発への注意をしなければいけないのか?見通しが欲しいです。
治療方法など
2018.6に非浸潤型膀胱がん発症、2ヶ所Ta、ローグレード 2019.5再発2ヶ所、2020.5再発2.5ヶ所手術は実施予定 (2018.11、2019.12は再発せず) いずれもTURBT手術を実施 手術後、抗がん剤注入せず 抗がん剤注入しないのは効果が変わらない 又同病院ではやっていない とのこと (病院は、がんを診察したクリニックからの紹介) 質問 1.抗がん剤の効果は無いのか 2.再発時の手術後、抗がん剤は注入しないのか 3.将来、BCG注入必要になった際、BCGは副作用があり、その代替で抗がん剤注入しないのか 4.転院しても抗がん剤注入した方が良いのか 5.転院は簡単に出来るのか 6.転院の手続きはどうするのか 7.BCG注入で萎縮の副作用があれば、膀胱を切除するしかないのか 以上
86歳、膀胱癌で手術後のBCG注入治療は必要か教えてください。
86歳で膀胱癌と診断され手術後BCG注入治療を勧められたのですが、介護施設の主治医に副作用が大変だから勧められないと言われ治療をお断りしたら再発・再発で1年間に3度の手術を受ける結果となりました。3月3日に手術をしましたのでまた1ヶ月後に治療を勧められると思います。癌は再発、転移するので治療が絶対必要だとおっしゃる先生と、高齢で進行がゆっくりなのに副作用が大変な治療をする必要はないとおっしゃる介護施設の主治医、知識や経験が全くない私はどちらを選択すれば良いのか悩んでおります。良きアドバイスをどうぞよろしくお願い致します。
膀胱がんでのBCGについて
来月からBCGを開始するのですが 1.BCGはやるべきか 2.一般に生じる副作用はどのようなものか 3.BCGは恐ろしい気がするのですが
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