膀胱がんは、尿をためる臓器である膀胱にできるがんのことです。胃がんや肺がんなどに比べると頻度は高くありませんが、日本では毎年約2万人が発症しており、決して珍しい病気ではありません。膀胱がんでみられる代表的な症状のひとつに血尿があります。それでは、血尿のほかにどのような症状があれば、膀胱がんが疑われるのでしょうか。また、どのようなタイミングで医療機関を受診すべきなのでしょうか。
膀胱がんのもっとも一般的な症状は痛みを伴わない血尿で、血の塊が出ることもあります。このような症状は医学的には“無症候性肉眼的血尿”と呼ばれており、初期は血尿が出たり出なかったりを繰り返し進行するにつれて断続的な血尿がみられるようになります。また、血尿の出方として尿全体が赤くなるのではなく、主に排尿の終わりかけに尿が赤くなる“終末時血尿”が多いのが特徴です。このほかに頻尿や排尿時の痛み、下腹部の痛みといった膀胱炎に似た症状がみられることもあります。さらに、がんが大きくなって膀胱の周りに広がると尿道を圧迫して尿が出にくくなったり、背中の痛みを感じたりするようになります。
膀胱がんは、がんの広がり方によってステージIからステージIVの4つに分けられます。がんの広がりが小さいステージIの5年生存率は90%以上ですが、がんが広がるにつれて生存率は徐々に低下し、他の臓器への転移があるステージIVでは15%程度まで減少します。
膀胱がんは比較的早期の段階から自覚症状が現れるがんのひとつであり、特に血尿をきっかけに異変に気付く患者さんが多いといわれています。そのため、血尿が出て膀胱がんと診断されたからといって、手遅れということにはなりません。一方で、全ての患者さんで血尿が出るとも限らず、症状の出方には個人差があります。痛みがなければ早期がん、痛みがあれば進行がん、などと決めつけることもできません。
膀胱がんのように血尿を引き起こす病気はいくつかあり、膀胱炎、急性腎盂腎炎、尿路結石などが挙げられます。
膀胱炎と膀胱がんはよく似た症状が多いとされています。一般的には、膀胱がんでは痛みを伴わない血尿の頻度が高く、膀胱炎では排尿痛などの痛みを感じる症状が多いといわれています。また、膀胱炎を疑って抗生剤を服用しても、なかなか症状が改善しない場合にも膀胱がんが疑われます。膀胱炎は膀胱内に細菌が感染する病気で、血尿が現れることもありますが、排尿痛や頻尿、残尿感といった症状が中心です。
急性腎盂腎炎
膀胱炎が悪化することで引き起こされる病気で、突然の悪寒や発熱、腰背部の痛みが現れます。
腎臓や尿管、尿道に石ができる病気で、多くの場合“シュウ酸”と呼ばれる成分が石のもとになります。症状として血尿が現れやすく、脇腹や下腹部に激しい痛みを感じることもあります。
しかし、これらが全ての患者さんに当てはまるわけではないため、自覚症状だけでは区別が難しいことも少なくありません。そのため、少しでもおかしいと感じたときは、症状の程度にかかわらず医療機関を受診し、早期発見につなげることが大切だといえます。
膀胱がんは比較的頻度が低いがんであるため、膀胱がんの発見を目的とした検診は普及していません。そのため、血尿や膀胱炎に似た症状が出たり健康診断で尿潜血を指摘されたりすることがきっかけで医療機関を受診し、発見につながることが多いでしょう。
先ほど述べたように、膀胱がんでみられる血尿は痛みを伴わないことも多いです。また、血尿が一時的におさまり、その後また繰り返すような症状がみられることもあります。もちろん、血尿が出たからといって必ずしも膀胱がんであるとは限りませんが、他の症状や心当たりのない血尿が続く場合や気になる症状があればなるべく早く泌尿器科やかかりつけの内科に相談するようにしましょう。
膀胱がんが疑われた場合、まず行われる検査が尿道に膀胱鏡と呼ばれる内視鏡を挿入する膀胱鏡検査と尿中のがん細胞を観察する尿細胞診です。これらの検査で異常がみられた場合は必要に応じて、超音波検査、CT検査、MRI検査などの精密検査を追加します。
腫瘍が認められた場合は腫瘍の一部を採取し観察する病理検査を行うことによって、腫瘍細胞が良性か悪性かを確認し、診断を確定します。
膀胱がんは比較的早期から血尿や膀胱炎に似た症状などの自覚症状が出やすく、発見につながりやすいがんのひとつです。早期であれば膀胱を残すことができる場合もあります。特に、血尿が長く続く場合や再発を繰り返す場合は、医療機関を受診するようにしましょう。
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再発リスクの評価
表在性膀胱癌の手術を6月に行い、単発抗がん剤注入を受けました。 その後、先9月の膀胱鏡検査では、再発をしていませんでした。 比較的簡易な処置で済む癌ですが、1年以内の再発率60%程度と高く、一度再発すると2度目は70%、3度目80%、とさらに上がるそうです。 よって近場の泌尿器科のクリニックでがん細胞診の尿検査を毎月受け、3ヶ月毎に膀胱鏡検査をすることにしています。 しかし、その確率の高さを考えると憂鬱です。先手を打ち再発リスクを下げる方法はないのでしょうか? また、よしんば再発が免れたとしても、いったいあと何年再発への注意をしなければいけないのか?見通しが欲しいです。
治療方法など
2018.6に非浸潤型膀胱がん発症、2ヶ所Ta、ローグレード 2019.5再発2ヶ所、2020.5再発2.5ヶ所手術は実施予定 (2018.11、2019.12は再発せず) いずれもTURBT手術を実施 手術後、抗がん剤注入せず 抗がん剤注入しないのは効果が変わらない 又同病院ではやっていない とのこと (病院は、がんを診察したクリニックからの紹介) 質問 1.抗がん剤の効果は無いのか 2.再発時の手術後、抗がん剤は注入しないのか 3.将来、BCG注入必要になった際、BCGは副作用があり、その代替で抗がん剤注入しないのか 4.転院しても抗がん剤注入した方が良いのか 5.転院は簡単に出来るのか 6.転院の手続きはどうするのか 7.BCG注入で萎縮の副作用があれば、膀胱を切除するしかないのか 以上
86歳、膀胱癌で手術後のBCG注入治療は必要か教えてください。
86歳で膀胱癌と診断され手術後BCG注入治療を勧められたのですが、介護施設の主治医に副作用が大変だから勧められないと言われ治療をお断りしたら再発・再発で1年間に3度の手術を受ける結果となりました。3月3日に手術をしましたのでまた1ヶ月後に治療を勧められると思います。癌は再発、転移するので治療が絶対必要だとおっしゃる先生と、高齢で進行がゆっくりなのに副作用が大変な治療をする必要はないとおっしゃる介護施設の主治医、知識や経験が全くない私はどちらを選択すれば良いのか悩んでおります。良きアドバイスをどうぞよろしくお願い致します。
膀胱がんでのBCGについて
来月からBCGを開始するのですが 1.BCGはやるべきか 2.一般に生じる副作用はどのようなものか 3.BCGは恐ろしい気がするのですが
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