群馬県前橋市にある医療法人社団善衆会 善衆会病院(以下、善衆会病院)は、1983年に上毛泌尿器科病院として開設しました。2018年には開院35周年を迎えた病院です。1985年と1990年に内科や外科、整形外科、放射線科などの診療科を増やし、その後も病棟の改修を行いながら増床してきました。1993年にはスポーツ医学研究施設を開設いたしました。2016年には、群馬県前橋市の新たな地に新病院を開設しました。
善衆会病院の特徴や地域に向けた情報発信について、理事長と病院長を兼任する木村雅史先生にお話を伺いました。
スポーツ整形外科では、膝のスポーツ障害として膝前十字靭帯損傷、半月板損傷、膝蓋骨脱臼に対する手術を行っています。ほかにも、スポーツ肩障害や足関節、肘関節の病気にも対応しております。また、比較的高齢者に多い腰痛や頚部痛といった日常よくある整形外科疾患の原因特定、治療、予防なども行っています。
治療では、一人ひとりの患者さんと治療方針や目標を相談したうえで、可能な限りそれぞれに適した方法を提案しています。
人工関節センターでは、股関節痛や膝関節痛、また肩関節痛をかかえる患者さんを対象に、人工関節手術や術後リハビリテーションを実施しています。
下肢関節の痛みは患者さんの動きを制限してしまい、身の回りのことをするのが億劫になるなど、日常生活に支障をきたすようになります。高齢化の進行によって、下肢関節痛に悩まされる方は今後増加すると考えられています。当センターは下肢関節痛の治療をつうじて、患者さんの一生涯の生活の質維持と向上に努めています。まずは、手術を行わない保存療法を考慮し、運動療法を積極的に行ってもらっております。
手術を行う場合は当院では、患者さんの仕事や家庭の都合などを考慮して、両足の関節手術を一度にまとめて行う「両側同時人工股関節置換術」を実施することもあります。
人工関節の手術では通常の手術以上に細菌感染に注意する必要があります。当院でも患者さんが術後感染症を起こさないよう対策をしています。たとえば、2019年2月現在、当院には手術室が4室あります。そのうち2室をバイオクリーンルームにして人工関節手術はそちらで行っています。そして、人工関節手術を担当するスタッフは宇宙服のような特殊な手術着や手術用ヘルメットを着用することで、塵や埃を手術室内に持ち込まないようにしています。
関節痛のみでなく手術に伴う痛みも、患者さんにとって大きなストレスになります。当センターでは、患者さんの苦痛を極力低減できるよう工夫しています。たとえば、手術そのものでは、術後の痛みを低減できるよう硬膜外麻酔や点滴注射などによるコントロールを行っています。また術後には、可能な限り当日から体を動かすよう患者さんに指導しています。これは、術後にベッドで安静にしていることで生じる深部静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)の合併症を発生させないこと、また、腰や背中の痛みを抑えるためです。
当センターでは、患者さんが手術を受けた関節や周辺の筋肉を正しく動かせるようにするため、術後リハビリテーションも実施しています。リハビリテーションでは、医師や看護師だけでなく、理学療法士や作業療法士などのリハビリスタッフによる指導を行います。
内科では、慢性腎不全の患者さんに対する人工透析を行っています。また、日本呼吸器学会の呼吸器疾患専門医と日本血液学会の血液疾患専門医が常駐し、地域医療に貢献しています。
泌尿器科では、腎臓や尿管、膀胱といった臓器のほか男性の前立腺、尿道、精巣などに対する診療をしています。
尿路結石症でなかなか排石しない方は、結石を粉砕するESWL(Extracorporeal Shock Wave Lithotripsy:体外衝撃波砕石術)を実施します。悪性腫瘍に対する治療も実施していて、前立腺がん、膀胱がん、腎臓がん、腎盂尿管がん、精巣がん、陰茎がんに対する化学治療を実施可能です。
泌尿器科では、可能な限り患者さんの希望を優先した診療をしています。患者さんからの希望があれば、同診療科に所属する別の泌尿器科医による院内セカンドオピニオンも実施可能です。
当院では、患者さんとそのご家族それぞれの立場に立ったわかりやすい医療の提供を実現すべく、職員一同日々の業務に励んでいます。
2011年からは、一般社団法人National Clinical Database(NCD)の主催するデーターベース事業にも参加しています。これは、医療機関で行われる手術や治療に関するデータを全国規模で収集することで、医療の質向上を目的とした事業です。患者さん個人が特定されることのないよう、情報に加工を施した状態で提供しています。また、データそのものも厳重に管理されているため、調査結果の流出から患者さん個人が特定されるようなこともありません。
当院では患者さんに対して、患者さんの持つ8つの権利を伝えています。
具体的には、公平に医療を受ける権利、ご自身の病気について知る権利、セカンドオピニオンを受ける権利、抑制されない権利、個人情報保護の権利、自分の意志で選び決定する権利、心身両面からの支援を受ける権利、退院後の生活を見越した治療・看護を受ける権利です。
看護師に対する教育では、クリニカルラダー制を導入してレベルごとの指導を行っています。クリニカルラダーレベルⅠにあたる新人看護職員研修では、チーム支援型教育、フォローアップ研修、定期面談により、基本的な臨床実践スキルの修得を目指します。ほかにも、看護研究発表会やケーススタディ発表会を定期開催しています。職場の雰囲気は明るく、わからないことがあれば周囲の人に相談しやすい環境が整っています。その結果、新人看護師に関しては、8年間離職率は0%となっています。(2019年時点)
毎年、看護学生約30名を対象にした「病院見学会」を実施しています。病院紹介やランチ交流会、若手スタッフ対談などを行っていて、来場した看護学生さんにとって入職後の姿をイメージする材料にもなっているようです。
職員に適切なワークライフバランスを保ってもらえるよう、さまざまな福利厚生を準備しています。職員食堂やマラソンやヨガといった部活動、職員親睦会などを定期開催しています。
子育て世代の職員も在籍しているため、育児に関わる福利厚生もあります。たとえば、職場復帰後のサポートとして、院内の「かえる保育園」では、0~3歳児までの子どもを預かっています。
善衆会病院は、群馬県前橋市やその周辺地域の皆さんの健康を支える病院になることを目指し医療を行い続けた結果、2018年に35周年目を迎えることができました。
今後も地域の皆さんのお役に立てるよう、スポーツ整形外科や泌尿器科診療をはじめ、総合的に皆さんの立場に立ったわかりやすい医療の提供に、職員全員で取り組んでまいります。
善衆会病院 理事長・院長
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。