院長インタビュー

救急医療や急性期医療で支え、周産期医療で寄り添う地域密着の明石医療センター

救急医療や急性期医療で支え、周産期医療で寄り添う地域密着の明石医療センター
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

兵庫県明石市にある社会医療法人 愛仁会 明石医療センター(以下、明石医療センター)は、先進的な急性期医療や24時間体制の救急医療や周産期医療などに取り組み、長きにわたって地域医療を支え続けています。

近年は、総合内科と連携して多職種によるチーム医療を推進するほか、ロボット支援手術などを取り入れた高度な医療体制の構築に向かい邁進しています。同院の特長について、院長を務める大西 尚(おおにし ひさし)先生にお話を伺いました。

外観(過去記事転用・ご提供)
病院外観(明石医療センターご提供)

当院は、1923年に加古川第一陸軍病院として開設されて以来、長きにわたり兵庫県の東播磨医療圏で地域医療に専念しています。開院より順調に医療規模を拡充し、2009年に地域医療支援病院、2015年に社会医療法人の認定を受け、地域に根ざした病院として発展してきました。

現在は22の診療科と382床の病床をもつ明石市の中核的な病院として、急性期医療を軸とした幅広い診療を提供しています。特に救急医療、循環器医療や周産期医療については、明石地域の医療機関の中でも中心的な役割を担うようになりました。

当院の救急搬送の受け入れ台数は年々増加し、2023年度には5,900台を突破しました。その内訳をみると、明石市内で生じた心肺停止の患者さんの約7割をカバーしていることから、救急医療の“最後の砦”のような存在であると自負しています。

救急車(先方提供)
救急車(明石医療センターご提供)
救急センター(先方提供)
救急センター(明石医療センターご提供)

今後の取り組みとしては、2025年度にICU(集中治療室)の拡充を予定しており、さらに救急体制を強化する方針です。

近年、高齢化による高血圧弁膜症の増加などにより、心不全の患者さんが急増しています。当院は、以前から循環器内科や心臓血管外科に力を入れており、24時間365日の循環器ホットラインを開設していることや、両科でハートチームを形成し充実した医療体制で心疾患の診療を行い、緊急手術にも迅速に対応しています。さらに超高齢者や複雑な背景を持っている患者さんもいるため、総合内科と連携して多面的な診療を展開しています。

当院では以前より外科系手術の低侵襲化に力を注いできましたが、2020年より手術支援ロボット“ダヴィンチ”を導入し、ロボット手術・低侵襲手術支援センターを設置して、さらなる先進・低侵襲医療を提供できるように努めています。

現在、ダヴィンチは外科や産婦人科で活用しており、2024年10月からは泌尿器科にも取り入れて適用範囲を順次拡大していく予定です。

ダヴィンチによる手術(明石医療センターご提供)
ダヴィンチによる手術(明石医療センターご提供)

高齢化に伴い、複数の慢性疾患を抱える患者さんや多種類の薬を併用する患者さんが増えてきていますが、当院の総合内科では、そのような患者さんの病状を総合的に診断し、関連する診療科と連携して適切な治療を心がけています。

たとえば、大腿骨近位部骨折(だいたいこつきんいぶこっせつ)を専門とする当院の“ヒップフラクチャーセンター”では、2019年から総合内科医が主治医を務めています。大腿骨近位部骨折の9割は転倒で起こり、特に高齢者によくみられる疾患です。手術をすれば骨折を治すことはできますが、総合内科との連携によって転倒の原因となる疾患を見極め、骨折によって生じる新たな問題などを総合的に診断する必要があります。

そのため、同センターには総合内科や整形外科をはじめ、救急科、麻酔科*、集中治療科、リハビリテーション科、薬剤科、栄養管理科、患者サポートセンターなどが参加し、多職種によるチーム医療で質の高い診療を行っています。

チーム医療においては、診療看護師(NP)**も重要な役割を担います。当院には2名のNPが在籍し、(2024年10月時点)医療行為をサポートする立場として幅広く活躍しています。また、当院には総合内科の指導医が在籍しており、研修医の皆さんに対して充実した研修を提供できることも強みです。

*麻酔科標榜医……多田羅 康章先生他11名所属(2024年10月時点)。

**診療看護師(NP)……一般社団法人日本NP教育大学院協議会より認定を受けた看護師を指す。

明石市は“子どもを核としたまちづくり”を推進し、積極的な子育て支援を行っています。当院も周産期医療を年々拡充し、2017年には地域周産期母子医療センターに認定され、24時間体制で地域の周産期医療を担っています。

現在は年間1,000件*を越えるペースでお産を支援し、2022年からは麻酔科と連携して無痛分娩**にも取り組んでいます。当院は、お母さんと赤ちゃんに優しい病院を目指しており、地域周産期母子医療センターを“ママ&ベビーセンター”と称し、周産期医療に関する取り組みをインスタグラムなどのSNSで発信しています。

*お産件数(2023年度)……1,072件

**無痛分娩について……通常の分娩費用に加え、外来受診料(5,000円)、無痛分娩費用(100,000円)が加算されます(2024年10月時点)。

当院では毎月、地域の方々に向けて公開講座『すこやか広場』を開催しており、医師や看護師、管理栄養士などが健康に関する講演活動を行っています。そのほかにも“糖尿病教室”、“いきいき腎臓病教室”などのさまざまな取り組みを行っており、予防医療の観点からも地域医療に貢献できるよう努めています。

また地域交流の面では、育児サークル“ピース”を通じて地域のお母さんやお子さんが楽しく交流できる場を提供しています。

当院は、来院していただいた患者さんに“病気になったら、また来よう”と思ってもらえるような病院を目指しています。そのためには質の高い医療の提供はもちろん、患者さんへのきめ細かいサポートの充実も重要です。

また、職員にとって働きやすい環境や充実した研修体制を整え、モチベーションを高めることも重要です。私自身、院長と兼任している呼吸器内科の主任部長として、研修医を指導したり、若手の医師とともに困難な症例のディスカッションを行ったりしています。年長者として培ってきた知識や経験を新たな世代に引き継ぐことも重要な使命だと考えています。

当院は、これからも地域の中核を担う病院として地域医療を支え続け、職員一丸となって全力で医療の提供に取り組んで参ります。

*病床数や診療科数、医師、提供する医療の内容等についての情報は全て2024年10月時点のものです。

実績のある医師をチェック

Icon unfold more