めまい:医師が考える原因と対処法|症状辞典

めまい

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 立ち上がることができないほどの激しいめまいがある
  • 突然起こっためまいで、頭痛、吐き気、手足のまひ、しびれなどがある
  • コールタールやコーヒーかすのような嘔吐・便がある
  • 気が遠のくようなめまいが頻回に起こる

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 聞こえにくい、耳鳴り、耳が塞がったような感じがある
  • 起床時など、頭を動かしたときに数十秒の短いめまいがある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない

横須賀市立うわまち病院 総合内科 部長 兼 総合診療科 部長

神尾 学 先生【監修】

めまいは日常生活でよく体験される症状です。グルグルと回転するようなめまいや、フワフワとしためまいなどが代表的です。

  • 朝起き上がったときに激しいめまいが起こることが続いている
  • 自分の体や周囲がグルグル回転しているように感じる
  • 体がフワフワするように感じる

このような症状がみられたとき、考えられる原因にはどのようなことがあるでしょうか。

めまいの種類には回転性めまいと非回転性めまいがあります。回転性めまいは自分自身や周囲がグルグル回るように感じます。非回転性めまいには体がグラグラ揺れる動揺性めまい、フワフワするような浮動性めまい、立ちくらみが含まれます。

めまいには、耳や脳の中に原因があるものとそれ以外に原因があるものがあります。

めまいを起こす代表的な耳の病気には、以下のようなものがあります。

良性発作性頭位めまい症

起き上がったときや振り向いたときなど、頭の位置を変えたときに突然周囲や自分がグルグル回ったり、体がグラグラするように感じたりします。頭の位置を変えずに安静にしていれば徐々に改善し、長時間持続することはありません。また、耳鳴りや耳の聞こえが悪くなることもありません。

前庭神経炎

耳から脳に続く前庭神経が炎症を起こしている状態です。強い回転性めまいが突然出現し、数時間から数日続くことがあります。

メニエール病

耳の奧にある内耳の病気です。激しいめまいを繰り返し、多くは耳の聞こえにくさを伴います。回転性めまいが突然出現し、10分から数時間続きます。めまいに加え、耳鳴りや耳が詰まった感じ(耳閉感)を伴います。

突発性難聴

突発性難聴は突然に片方の耳が聞こえなくなることが特徴です(ほとんどが片側ですが、両側の場合もあります)。突発性難聴でめまいを伴うものは20~61%とされています。

めまいは脳の病気で起こることがあります。

注意の必要なめまい/脳血管障害・脳腫瘍

めまいを起こす病気で注意が必要なのは脳血管障害です。そのなかには、脳の血管が詰まる脳梗塞と血管が破れてしまう脳出血くも膜下出血があります。脳血管疾患以外にも脳腫瘍が原因のこともあります。

血圧が普段より上昇していたり、突然片側の手足に力が入らなくなったり、片側の顔の動きが悪くなったり、ろれつが回らなくなったりします。激しい頭痛を伴うこともあります。そのほか物が二重に見えたり、顔や手足の感覚がにぶくなったり、耳が聞こえにくくなったり、まっすぐ歩けなくなったりすることも多いです。めまいのほかにこのような症状があった場合は早急の受診が必要です。

めまいは耳や脳以外の原因で起こることがあります。

血圧の異常

めまいは、低血圧でも高血圧でも起こる可能性があり、起立性低血圧では立ちくらみを生じます。

また、比較的自覚症状が薄いといわれている高血圧ですが、場合によってはめまいの原因となることもあるといわれています。

不整脈

心臓疾患、特に不整脈で一時的に脳への血流が低下することがあり、その際気が遠くなるようなめまいを感じることがあります。頻回に起こるようであれば早急な精査が必要です。

貧血

貧血は、食事の偏りや妊娠、出産、生理、その他なんらかの出血する病気(消化管潰瘍や外出血など)、血液疾患などで起こります。全身倦怠感、疲労、動悸、息切れなどのほか、立ちくらみのようなめまいを伴うことがあります。

自律神経失調症

自律神経のバランスが崩れ、冷えやのぼせ、動悸など全身の症状が起こることが多いといわれています。耳鳴り、めまいが出現することもあります。

更年期障害

更年期にホルモン分泌が変化し、そのために全身の症状が出現します。症状としては、肩こり、疲労感、頭痛、のぼせや発汗が多く、めまいを伴うこともあります。

めまいを起こす病気で最も怖いのは脳の病気です。めまい以外の症状を伴う場合はもちろんですが、突然起こった初めての強いめまいは、脳の病気でないことを確認する必要があります。

これまで経験したことがある同じようなめまいであっても、めまいが続く、何度も繰り返すような場合には一度受診を検討してみましょう。耳の症状が主であれば耳鼻科への受診でよいですが、体の症状が主である場合や判断に迷う場合にはかかりやすい近くの内科やかかりつけなどで相談してみてもよいでしょう。診察時にはどういっためまいか、突然出現したものかどうか、めまいのほかにはどんな症状があるか、最近の生活の変化などを伝えることが大切です。

めまいの予防では睡眠不足にならないよう生活リズムを整え、嗜好品に注意する必要があります。

ストレスや疲労は、めまいの原因や悪化するきっかけとなります。心身のストレスが増えて自律神経のバランスを欠き、自律神経失調症を起こしてしまうこともあります。

疲れているなと思ったら

疲れを感じた際には睡眠を十分にとり、適度な運動をしましょう。また、趣味や気分転換の時間を持つなどすることも大切です。

アルコールやカフェインの取りすぎはめまいを悪化させる可能性があります。

飲みすぎたときは

アルコールを飲みすぎたときには水分を多めにとり、入浴は避けましょう。また、エナジードリンクなどカフェインを多く含む飲み物の取りすぎには注意しましょう。

タバコの吸いすぎもめまいの原因となる可能性があります。

タバコを減らすには

自分の意思でタバコを減らしたり、やめたりするのはなかなか難しいこともあるものです。

自分自身でタバコを減らせないときには、禁煙外来を受診し、治療をうけることができます。

日常生活上での工夫をしてもめまいがよくならないときには、一度病院で相談してみましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。